著者:村田 英幸
ページ数:258
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投資事業有限責任組合契約法に関する裁判例
投資事業有限責任組合契約法の正式名称は、投資事業有限責任組合契約に関する法律 (平成10年法律第90号) です。 同法は、事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって、無限責任組合員と有限責任組合員との区別を約するものに関する制度を確立することにより、事業者への円滑な資金供給を促進し、その健全な成長発展を図ることを目的としています。 1998年(平成10年)に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律として制定されました。 平成16年法律第34号(平成16年4月21日公布)改正の際に、現在の法律の題名に改称されました。 略称は、LPS法。同法は、経済法、金融法の1つです。関連法令として、民法、商法、会社法、有限責任事業組合契約に関する法律(LLP法)、金融商品取引法などがあります。
目次
第1部 民事訴訟事件
第1章 中小企業等投資事業有限責任組合である被告から脱退した原告が,被告が組合契約の条項を形式的に適用して,原告の出資持分の全額即時払戻しを拒否しているのは権利濫用に当たるとして,原告の出資持分を直ちに全額払い戻すことを請求した事案
第2章 株式譲渡による企業買収の基本合意書の一方当事者がこれを破棄した場合において、信義則上の注意義務違反が認められた事例
第3章 本件は,被告Y1有限責任組合(以下「被告組合」という。)との間で,顧客紹介及びアドバイザリー業務に関する契約(以下「本件紹介契約」という。)を締結したとする原告が,本件紹介契約に基づき,被告組合に対し,買収の対象となる会社の情報を開示したところ,被告組合が,直接交渉等の制限条項に違反して,原告から情報開示を受けた会社の買収手続を進め,公開買付により株式を取得したが,かかる場合は,取引が成立したものとみなして,被告組合は,原告に対し,成功報酬を支払う義務があるとして,被告組合及びその無限責任組合員である被告Y2株式会社(以下「被告会社」という。)に対し,連帯して,公開買付価格の2%相当額に消費税相当額を加えた8878万8000円の成功報酬及びこれに対する株式取得の日の翌日である平成19年4月20日から支払済みまで遅延損害金の支払を求めるものである。
第4章 被告Y1,同Y2との間でM&A取引に関するアドバイザリー契約を締結した原告が,同契約の特約に基づいて,被告ら及び業務執行組合員であった被告有限責任事業組合に対し,連帯して成功報酬の支払を求めた事案
第5章 投資事業有限責任組合(以下,本件組合)の有限責任組合員であった原告ら(銀行及びリース会社)が,本件組合の清算人である被告に対し,本来原告らに分配されるべき残余財産の未払分を被告が取得しているとして,投資事業有限責任組合契約による残余財産分配請求権(主位的)・不当利得返還請求権(予備的)に基き,前記金員等の支払を求めた(本訴)事案。
第6章 Xが,理事会の決議に基づき投資ファンドに出資して損害を被ったのは,不適格なファンドに出資する旨の決議に賛成したためである等と主張して,理事長Yらに対し,出資金同額の損害賠償を求め,(第1事件),理事がその妻に不動産を贈与したのは詐害行為に当たるとして,同贈与の取消しと所有権移転登記の抹消登記手続を求めた(第2事件)事案。
第7章 本件において原告は,「原告は,投資事業有限責任組合契約を締結して被告の有限責任組合員となっているところ,同契約上の分配金請求権を取得し,その残額は4493万6387円である」旨主張して,被告に対し,同契約に基づく分配金請求として,4493万6387円及びこれに対する履行請求後の平成26年2月28日から支払済みまで遅延損害金の支払を求めている。
第8章 原告が,被告(被告会社の代表取締役)から被告組合に対する投資を勧誘され振り込んだ金員につき,騙されたとして不法行為等に基づき損害賠償等を求めた事案
第9章 被告Y2との間で,被告Y1組成に係る匿名組合投資につき,参加契約をした原告が,①Y1,Y2(Y1ら)に対し,計算期間の組合決算書に付帯すべき監査報告書,監査法人被告Y3作成に係る手続実施結果報告書の開示,Y3に対し,開示のためにY3が設定した制限の撤廃,②Y1らに対し,一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠し計算した組合決算書の作成等,Y3に対し適正な監査の実施,その監査報告書の作成等,③Y1らに対し,契約終了後も原告の出資金が拘束された事実の確認等を求めた事案
第10章 本件は,原告らが,(1)被告らは,原告らに対し,A(以下「A社」という。)への預金やB(以下「B社」という。)への投資という金融商品まがいの商品について,元本が保証された高利回りの金融商品であり,安全安心な投資であるなどと虚偽の事実を申し向け,原告らは,その旨を誤信して,預金又は出資金名目で多額の金員をだまし取られたなどと主張して,被告らに対し,共同不法行為による損害賠償請求権(民法719条)に基づき,連帯して,原告X1(以下「原告X1」という。)が損害の合計5006万7867円及びこれに対する平成25年8月6日(最後の不法行為の日)から,原告X2(以下「原告X2」という。)が損害の合計1818万4959円及びこれに対する同年2月14日(最後の不法行為の日)から,原告X3が損害の合計2111万0659円及びこれに対する同年4月5日(最後の不法行為の日)から,原告X4が損害の合計2399万5877円及びこれに対する同日(最後の不法行為の日)から,原告X5(以下「原告X5」という。)が損害の合計900万2174円及びこれに対する平成24年9月25日(最後の不法行為の日)から,原告X6が損害の合計1337万0256円及びこれに対する平成21年7月9日(最後の不法行為の日)から,原告X7が損害の合計500万7126円及びこれに対する平成25年7月23日(最後の不法行為の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,被告Y4(以下「被告Y4」という。)については,選択的に,(2)C投資事業有限責任組合(以下「C組合」という。)は,上記違法行為のための送金口座を提供する違法行為をしたから,被告Y4は,C組合の無限責任組合員として,原告X6,原告X7の損害について共同不法行為責任を負うと主張して,被告Y4に対し,共同不法行為による損害賠償請求権(民法719条1項)に基づき,原告X6については918万円及びこれに対する平成21年7月9日(最後の不法行為の日)から,原告X7については21万円及びこれに対する平成25年7月23日(最後の不法行為の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,(3)被告Y4は,平成20年6月3日から平成23年1月11日までの間,株式会社D(以下「D社」という。)の取締役として在任していたところ,被告Y4には,上記違法行為の1端を担ったD社が違法行為をしないよう監督すべき義務を負っていたにもかかわらずこれを怠ったという任務懈怠について重大な過失があり,これによって,原告X1,原告X6及び原告X7に損害を与えたと主張して,被告Y4に対し,会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき,原告X1については2373万0015円及びこれに対する平成25年8月6日から,原告X6については1215万4779円及びこれに対する平成21年7月9日から,原告X7については35万0425円及びこれに対する平成25年7月23日から各支払済みまで遅延損害金の支払を求める事案である。
第11章 本件の第1事件は,原告が,被告会社の業務執行社員(代表社員)である被告Y1及び同業務執行社員である被告Y2は,被告会社を業務執行組合員とするデータエクストラクションソフトウェア事業組合及びG-trade事業組合に係る各事業はいずれも全く実体がないものであったにもかかわらず,それらが実体を伴うものであることを前提に上記各事業に係る投資取引を行うよう勧誘し,出資金等名下に合計3014万円を出捐させたと主張して,被告Y1及び被告Y2に対しては共同不法行為又は会社法597条に基づく損害賠償として,被告会社に対しては共同不法行為又は同法600条に基づく損害賠償として,連帯して,2709万4377円(①上記出捐金から配当金として受領した544万5623円を控除した2469万4377円及び②弁護士費用相当額240万円)及びこれに対する不法行為日ないし請求日の後の日である平成28年11月1日から支払済みまで遅延損害金を支払うよう求めた事件である。
第2部 課税関係
第1章 a国で出資・設立したリミテッド・パートナーシップ(LPS)を介して請求人が得た損益は、当該LPSが利益の処分として行ったものではないから配当所得に当たらず、また、当該LPSが不動産賃貸を目的とする民法上の組合ということができず、請求人が主体的に本件不動産を賃貸に供していたと認められないので不動産所得に当たらないとし、請求人が当該LPSから得た分
そのほか
投資事業有限責任組合契約法の正式名称は、投資事業有限責任組合契約に関する法律 (平成10年法律第90号) です。 同法は、事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって、無限責任組合員と有限責任組合員との区別を約するものに関する制度を確立することにより、事業者への円滑な資金供給を促進し、その健全な成長発展を図ることを目的としています。 1998年(平成10年)に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律として制定されました。 平成16年法律第34号(平成16年4月21日公布)改正の際に、現在の法律の題名に改称されました。 略称は、LPS法。同法は、経済法、金融法の1つです。関連法令として、民法、商法、会社法、有限責任事業組合契約に関する法律(LLP法)、金融商品取引法などがあります。
目次
第1部 民事訴訟事件
第1章 中小企業等投資事業有限責任組合である被告から脱退した原告が,被告が組合契約の条項を形式的に適用して,原告の出資持分の全額即時払戻しを拒否しているのは権利濫用に当たるとして,原告の出資持分を直ちに全額払い戻すことを請求した事案
第2章 株式譲渡による企業買収の基本合意書の一方当事者がこれを破棄した場合において、信義則上の注意義務違反が認められた事例
第3章 本件は,被告Y1有限責任組合(以下「被告組合」という。)との間で,顧客紹介及びアドバイザリー業務に関する契約(以下「本件紹介契約」という。)を締結したとする原告が,本件紹介契約に基づき,被告組合に対し,買収の対象となる会社の情報を開示したところ,被告組合が,直接交渉等の制限条項に違反して,原告から情報開示を受けた会社の買収手続を進め,公開買付により株式を取得したが,かかる場合は,取引が成立したものとみなして,被告組合は,原告に対し,成功報酬を支払う義務があるとして,被告組合及びその無限責任組合員である被告Y2株式会社(以下「被告会社」という。)に対し,連帯して,公開買付価格の2%相当額に消費税相当額を加えた8878万8000円の成功報酬及びこれに対する株式取得の日の翌日である平成19年4月20日から支払済みまで遅延損害金の支払を求めるものである。
第4章 被告Y1,同Y2との間でM&A取引に関するアドバイザリー契約を締結した原告が,同契約の特約に基づいて,被告ら及び業務執行組合員であった被告有限責任事業組合に対し,連帯して成功報酬の支払を求めた事案
第5章 投資事業有限責任組合(以下,本件組合)の有限責任組合員であった原告ら(銀行及びリース会社)が,本件組合の清算人である被告に対し,本来原告らに分配されるべき残余財産の未払分を被告が取得しているとして,投資事業有限責任組合契約による残余財産分配請求権(主位的)・不当利得返還請求権(予備的)に基き,前記金員等の支払を求めた(本訴)事案。
第6章 Xが,理事会の決議に基づき投資ファンドに出資して損害を被ったのは,不適格なファンドに出資する旨の決議に賛成したためである等と主張して,理事長Yらに対し,出資金同額の損害賠償を求め,(第1事件),理事がその妻に不動産を贈与したのは詐害行為に当たるとして,同贈与の取消しと所有権移転登記の抹消登記手続を求めた(第2事件)事案。
第7章 本件において原告は,「原告は,投資事業有限責任組合契約を締結して被告の有限責任組合員となっているところ,同契約上の分配金請求権を取得し,その残額は4493万6387円である」旨主張して,被告に対し,同契約に基づく分配金請求として,4493万6387円及びこれに対する履行請求後の平成26年2月28日から支払済みまで遅延損害金の支払を求めている。
第8章 原告が,被告(被告会社の代表取締役)から被告組合に対する投資を勧誘され振り込んだ金員につき,騙されたとして不法行為等に基づき損害賠償等を求めた事案
第9章 被告Y2との間で,被告Y1組成に係る匿名組合投資につき,参加契約をした原告が,①Y1,Y2(Y1ら)に対し,計算期間の組合決算書に付帯すべき監査報告書,監査法人被告Y3作成に係る手続実施結果報告書の開示,Y3に対し,開示のためにY3が設定した制限の撤廃,②Y1らに対し,一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠し計算した組合決算書の作成等,Y3に対し適正な監査の実施,その監査報告書の作成等,③Y1らに対し,契約終了後も原告の出資金が拘束された事実の確認等を求めた事案
第10章 本件は,原告らが,(1)被告らは,原告らに対し,A(以下「A社」という。)への預金やB(以下「B社」という。)への投資という金融商品まがいの商品について,元本が保証された高利回りの金融商品であり,安全安心な投資であるなどと虚偽の事実を申し向け,原告らは,その旨を誤信して,預金又は出資金名目で多額の金員をだまし取られたなどと主張して,被告らに対し,共同不法行為による損害賠償請求権(民法719条)に基づき,連帯して,原告X1(以下「原告X1」という。)が損害の合計5006万7867円及びこれに対する平成25年8月6日(最後の不法行為の日)から,原告X2(以下「原告X2」という。)が損害の合計1818万4959円及びこれに対する同年2月14日(最後の不法行為の日)から,原告X3が損害の合計2111万0659円及びこれに対する同年4月5日(最後の不法行為の日)から,原告X4が損害の合計2399万5877円及びこれに対する同日(最後の不法行為の日)から,原告X5(以下「原告X5」という。)が損害の合計900万2174円及びこれに対する平成24年9月25日(最後の不法行為の日)から,原告X6が損害の合計1337万0256円及びこれに対する平成21年7月9日(最後の不法行為の日)から,原告X7が損害の合計500万7126円及びこれに対する平成25年7月23日(最後の不法行為の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,被告Y4(以下「被告Y4」という。)については,選択的に,(2)C投資事業有限責任組合(以下「C組合」という。)は,上記違法行為のための送金口座を提供する違法行為をしたから,被告Y4は,C組合の無限責任組合員として,原告X6,原告X7の損害について共同不法行為責任を負うと主張して,被告Y4に対し,共同不法行為による損害賠償請求権(民法719条1項)に基づき,原告X6については918万円及びこれに対する平成21年7月9日(最後の不法行為の日)から,原告X7については21万円及びこれに対する平成25年7月23日(最後の不法行為の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,(3)被告Y4は,平成20年6月3日から平成23年1月11日までの間,株式会社D(以下「D社」という。)の取締役として在任していたところ,被告Y4には,上記違法行為の1端を担ったD社が違法行為をしないよう監督すべき義務を負っていたにもかかわらずこれを怠ったという任務懈怠について重大な過失があり,これによって,原告X1,原告X6及び原告X7に損害を与えたと主張して,被告Y4に対し,会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき,原告X1については2373万0015円及びこれに対する平成25年8月6日から,原告X6については1215万4779円及びこれに対する平成21年7月9日から,原告X7については35万0425円及びこれに対する平成25年7月23日から各支払済みまで遅延損害金の支払を求める事案である。
第11章 本件の第1事件は,原告が,被告会社の業務執行社員(代表社員)である被告Y1及び同業務執行社員である被告Y2は,被告会社を業務執行組合員とするデータエクストラクションソフトウェア事業組合及びG-trade事業組合に係る各事業はいずれも全く実体がないものであったにもかかわらず,それらが実体を伴うものであることを前提に上記各事業に係る投資取引を行うよう勧誘し,出資金等名下に合計3014万円を出捐させたと主張して,被告Y1及び被告Y2に対しては共同不法行為又は会社法597条に基づく損害賠償として,被告会社に対しては共同不法行為又は同法600条に基づく損害賠償として,連帯して,2709万4377円(①上記出捐金から配当金として受領した544万5623円を控除した2469万4377円及び②弁護士費用相当額240万円)及びこれに対する不法行為日ないし請求日の後の日である平成28年11月1日から支払済みまで遅延損害金を支払うよう求めた事件である。
第2部 課税関係
第1章 a国で出資・設立したリミテッド・パートナーシップ(LPS)を介して請求人が得た損益は、当該LPSが利益の処分として行ったものではないから配当所得に当たらず、また、当該LPSが不動産賃貸を目的とする民法上の組合ということができず、請求人が主体的に本件不動産を賃貸に供していたと認められないので不動産所得に当たらないとし、請求人が当該LPSから得た分
そのほか
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