著者:夕焼け5丁目
ページ数:34

¥280¥0

(本書より抜粋)

今年に入って休職をした。
 
ここ数年蓄積したストレスで、メンタルのアップダウンはずっと続いていて、どこかで崩壊するだろうなという予感はしていた。
 
コロナ禍で在宅勤務に切り替わって、人に直接会わないことで楽になった部分もあった。だけど逆に、オンラインミーティングのストレスや在宅勤務でのオンオフ切り替えの難しさ、変わらぬ成果物の期限のプレッシャーなどで精神的な消耗は続いていた。
 
ささいなことでイライラのピークに達したり、自分の沸点が低くなっていることを感じていた。常にローな気分で、夜寝る時には明日が来なければ良いのにと思い、朝起きた時には今日もまたゴミみたいな1日が始まると思っていた。
 
人生ってこんなんじゃないよなと思いつつ、オンラインミーティングに入れば会社用の仮面に切り替えてヘラヘラして、仕事できないと思われたくないから成果物も期限内にできるだけディテールにこだわって提出していた。
 
でもある日オンラインミーティングを終えた時、度々感じていた惨めな思いに耐えきれなくなり、体調不良ということにしてその日は休みを取ることを上司に伝えた。家にいると息がつまりそうだったのでとりあえず出かけた。
 
リセットが必要なのは明らかだった。休む時間がほしい、考える時間がほしい、いつもタスクに追われて追い詰められている、とにかく余裕がほしい。やりがいなんていらないからストレスのない毎日がほしい。
 
プライベートでも小さなタスクが降ってくると、頼むからもう自分にタスクをふらないでくれと思っていた。仕事もプライベートもタスクだらけで息が詰まって限界だった。とにかく一回休んで、全部リセットしたかった。
 
次の日も体調不良で休むと伝え、PCは開かなかった。その次の日も体調不良で休むと伝えた。体調不良で休むと連絡すること自体ストレスだったから、連絡はメールだけですませた。二日分まとめて休むと伝えることもあった。
 
一週間休んでいる間に考えて、まずは一回仕事を辞めようと思った。
 
幸い貯金もあるし、数ヶ月休んで、その間に好きなことをして、仕切り直しても良いだろうと。一週間休んでいる間に、上司に退職を伝えるメール文面まで書いて、次の金曜には送信しようと思っていた。
 
その間に、退職するにしても金銭面でなにか良い方法はないか、失業手当を早めに受給する方法はないかとか調べていた。その時に傷病手当金というものを見つけた。退職する代わりに休職すれば、休職中は最大一年半の間、毎月傷病手当金がもらえるというものだった。
 
休職という仕組みの存在は以前から知っていたが、まわりにどう思われるかというのが気になって選択肢に入れていなかった。プライドだけは一丁前に高いから、休職したら同僚にどう思われるか考えたら、休職なんて選択肢は存在しなかった。
 
だけど今回ふと思った。プライドよりお金と生活の方が大事じゃないか?くだらないプライドより毎月お金が入ってくる方が良い。ましてや在宅勤務でほぼリアルでは顔を合わせることのない同僚にどう思われようが知ったことではない。どうせもう二度と会うことのない人間たちだ。
 
そう考えた時に、退職じゃなく休職をすることに決めた。

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