【無料で読める】怨霊首

「宮中に皇太夫人宮子を見舞った玄昉、眠る夫人の横顔に弥勒菩薩の美しさを見た、まだ十五，六歳の玄昉は心を奪われ、以後煩悩に苦悩する。
　師は玄昉の苦悩を救うため、またその才を惜しみ、また玄昉自身もその教義に強く感銘を受けた「三階教」を更に深く究めたく、玄昉を遣唐使として大唐・長安へと送った。
　長安に着いた玄昉を待っていたのは、絶望と、地獄の闇に閉じ込められたような、ただただ虚しいだけの、圧し殺されるような長い時間。
絶望の中、玄昉は光明を見い出した。「三階教」の修行僧に出遭ったのだ。だが国禁である「三階教」を学んでいることが露見し、玄昉は投獄された。
玄昉は同じ遣唐使船で渡唐した留学生吉備真備の財と尽力によって石牢から救出される。
玄昉は秘薬・大麻の効能に魅入られ、この薬効でもしや宮子夫人の病を快癒させることが出来るのではとその研究に没頭する。しかし大麻は庭に植えるさえ国禁」