著者:金居 真大
ページ数:190

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はじめ より

 さて、今回は旗本斉木家を継いだ斉木正蔵の話でございます。正蔵の元の名は『正造』と書きましたが、斉木家の養子縁組と同時に一字を改めました。実はこの名、斉木悠平が師と仰ぐ源円和尚の俗名でございます。改名に際し、悠平が是非その徳にあずかろうとこの名を継がせたと言うわけでございます。
 正蔵の実家は木曽屋という大きな材木問屋でございます。三男坊の正蔵は商才に長けておりましたが、なぜか幼き頃より武士にあこがれ、町の剣術道場で腕を磨いておりました。その思いが通じたか、大前屋久兵衛の仲立ちで、斉木悠平の旗本株を木曽屋が買い取り、養子縁組を経て念願の侍となりました。それも大身旗本斉木家の当主になったのでございます。
 自由奔放な町人暮らしから一転。しきたり、縛りの多い武家の世界に入った正蔵は、縁組から三年を経て勘定奉行所の勘定方となりましたが、なんとなんと、謹慎処分になってしまいました。斉木正蔵にどんな出逢いと別れが待っておりますか。
 今回も最後までお付き合い願えましたら幸いでございます。

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