著者:永嶋良一
ページ数:55

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 本書は令和元年法改正に準拠しています。
 本書は、弁理士の方の座右の書、弁理士を目指す方の学習書、企業などで知財を仕事として扱う方の参考書、研究や技術関係の仕事をしている方の知財の指針・・・等になることを願って、特許法逐条解説第20版に基づいて執筆したものです。
 特許法を実際に読んだ方ならよくお分かりと思いますが、こういった法律は日本語の文章が羅列されているだけで、一目でポイントが分かるといった構成にはなっていません。
 特に特許法を理解しようとした場合、書かれている日本語をやみくもに順に読んでいくだけでは、なかなか理解することは難しいといえるでしょう。
 実はそこには、コツがあるのです。
 特許法の場合ですと(実は他の法律にも当てはまるのですが)、法律の文章の「主語は誰で(何で)」、「何を」、「いつ」、「どのようにするのか」を整理して読むと非常に良く理解できるものなのです。
つまり、特許法の条文を「主語」、「何を」、「いつ」、「する」の4つの項目に分解して読むと良い訳です。

 これを一例として特許法50条前文で見てみましょう・
 第50条前文は以下の条文です。

第50条
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

 次に、これを「主語」、「何を」、「いつ」、「する」の4つの項目に分解してみましょう。

〔主語〕 審査官は、
〔いつ〕拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、
〔何を/する〕
特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、(なければならない。)
〔何を/する〕
相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

 すなわち、「主語」、「いつ」に対して、二つの「何を」、「する」から構成されていることが一目瞭然になり、第50条が容易に頭に入ってきます。
 この本は、この観点から、特許法の第一条から第二百四条までを前記の4つの項目に分解し、4つの項目をもとに条文を表にして整理したものです。

 さらに、本書は以下のように構成しています。
1.条文を「主語」、「何を」、「いつ」、「する」の4つの項目に分解して表に記載しています。ただし、「主語」、「何を」、「いつ」、「する」に厳密に区分すると読みにくくなる条文については、読みやすさを配慮した区分にしています。
2.特許法の前半部では文節が分かりにくい表現がたくさんあります。このため、それらには■マークを挿入しています。
3.かっこ書きは色を変えて読みやすくしています。
4.特許法の前半部といった暗記や理解が難しい箇所では、適宜参考となるメモ書きや図表を入れています。

 本書が、わずかでも読者の皆様のお役に立つならば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。

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