著者:佐藤聡
ページ数:1210

¥1,250¥0

『朝鮮雜記』の発表は1894年。
これこそが世界初の朝鮮学、かつ日本初の民俗学だと考えている。一般的に、民俗学の開祖は1910年の『遠野物語』(柳田國男)と解釈されているが、『朝鮮雜記』の方が16年も早い。

現代人にとって、明治の旧字体、漢文調の文語体を読むのは至難の業である。しかしながら編者は、日本人ならまずは原文で読むことにトライすべきだと考える。なぜなら原文にこそ原作者の思いが詰まっているのだから。『朝鮮雜記』の作者、如囚居士の文才、教養、ユーモアは原文でないと伝わらない。しかしどうすれば抵抗感を減らせるかと試行錯誤した結果が本書である。『朝鮮雜記』は、157の節と50の短文を含んだ「雜俎」からなり、合計207の項目に渡って、当時の朝鮮の文化、朝鮮人の思考パターンを具さに分析し記録している。一つ一つが実に貴重な情報なのであるが、ジャンルごとにまとまっておらず、脈絡なくランダムに書かれたまさに『雜記』であり、頭に入って来づらいという難点がある。そこで編者の試みとして、この207項目を一旦全て分解し、類似のジャンルごとに32章に分け、スムーズに読み進められるべく節の並び替えを行った。原作の最終節にて、如囚居士の熱い思いが語られるのだが、これを尊重し、本書も原作の最終節に向かって進んでいく構成とした。よって節の順番が原作と一致しているのは最終節のみである。

現在、入手可能な『朝鮮雑記』は以下の三つがあり、本書は四つ目となる。
既に読んだことがある人にこそ、本書を手に取って頂きたい。

1、『朝鮮雜記』(如囚居士)(国立国会図書館デジタルコレクション)
縦書き、旧字体、旧仮名遣い、画像データ、解説なし。

2、『朝鮮雑記 Kindle 版 』(如囚居士(本間九介))
(歴史を伝える会(編集))縦書き、新字体、旧仮名遣い、解説なし。

3、『朝鮮雑記 - 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』
本間九介(著)クリストファー・W・A・スピルマン(監修・解説)縦書き、現代語訳、解説つき。

4、本書。
国立国会図書館デジタルコレクションの画像データから文字を起し、縦書きを横書きに変え、旧字体原文を完全に再現し、旧字のほぼ全てにルビ振り、用語の解説と当時の写真、社会情勢や関連する雑学を付記した。

【構成について】
本書は三部構成とする。
【第一部】
原文の節の順番、旧字、改行位置をそのまま再現。縦書きか横書きの違いのみ。飛ばし読みで構わないので、まずは原文をトライして頂きたい。なお原文にも少しのルビはあるが、敢えて付記しなかった。また検索しやすいように、原文にはない節番号を追加した。

【第二部】
節の順番を入れ替え、ルビを振り、改行箇所を大幅に増やした。当時の写真や風刺画、原文の挿絵などの画像を計193枚掲載し、状況のイメージが浮かび易いようにした。語彙や社会情勢の解説は、文中に記すと目障りになるため、各節が終わってからまとめて付記した。しばしばクイズ形式を用い、軽〜い感じで読めるので、怖がらなくても大丈夫。第二部の読了後には完全に理解できていることを約束する。

【第三部】
多くの日本人が長らく洗脳され、かつ彼の邦人のアイデンティティの根幹をなす、「古代日本に高度な文化を齎してやった云々」を徹底検証する。五大アイドルの阿直岐、王仁、德來、惠慈、曇徴とは誰か、曲解やデマの流布を仕掛けた日本側の戦犯三人は誰か、半島の古代国家の源流はどこか、日本とはどんな関係にあったか、半島は単一民族ではない、などを全99節にて解説する。

【引用について】
『朝鮮雜記』が、如囚居士の曲解や捏造ではないことを補完すべく、朝鮮を描写した以下の著作から多くを引用した。併せて一読をお勧めする。

1897年『Korea & Her Neighbours』(Isabella Bird)
1906年『最近朝鮮事情』(荒川五郎)
1907年『枯死國朝鮮』(新渡戸稲造)
1909年『満韓ところどころ』(夏目漱石)

1912年『朝鮮』(高浜虚子)
1918年『征虎記』(山本唯三郎)
1929年『巡査の居る風景』(中島敦)
1930年『D市七月叙景』(中島敦)

1998年『朝鮮紀行』(イザベラ・バード/時岡敬子訳)
2019年『韓国人が書いた韓国で行われている「反日教育」の実態』(崔碩栄)

【写真について】
主に米議会図書館(Library of Congress)、及びその転載媒体からの著作権フリー画像を掲載、また出所不明のものも含む。年代は概ね19世紀末から20世紀初頭、白人カメラマンが撮影したものが多い。三大撮影者は以下。その他、風刺画、浮世絵はネットから入手した。

【Frank G. Carpenter(1855-1924)】
米の紀行作家、写真家、地理の教科書の執筆者。世界中を旅し、膨大な量の写真を撮影。死後に娘が約16,800枚の写真を米議会図書館に寄贈した。

【Carlton Harlow Graves(1867-1943)】
米写真家。アメリカで写真印刷技術の向上に貢献した。

【Herbert G. Ponting(1870-1935)】
英の映画撮影技師。ロバート・スコットの南極探検隊にカメラマンとして随行。世界中を旅するが、三年間は日本に滞在。1910年に、写真集『この世の楽園 日本(In Lotus-land Japan)』をロンドンで出版。

それでは如囚居士のユーモア、美しい文語体をお楽しみください。

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