著者:こころ たまき
ページ数:71

¥385¥0

調査報告書(依頼主しか読めないヒミツ)、探偵クイズ、探偵7つ道具の3大特典つき。

作家・こころたまきのもう一つの顔。 それは私立探偵。
任務はご依頼人に真実をお伝えすること。
日々、ご依頼人と共に歩み、時には共に悩み、心を痛めながらもその事実を追求し、たどり着いた「真実」を提供する。

一人の女性の成長を通して、読者のみなさまの毎日にエールを送れたらと思います。

上巻あらすじ
外見にも、家族にもそれなりに恵まれ、新潟県の実家で、両親や兄からの愛情をたっぷり受けて育った、何不自由ない平穏な少女時代、大学進学を機に上京し、勤務先のアパレル会社で知り合った、新鋭のファッションデザイナーの夫「清野(きよの)健吾」との豊かな結婚生活。順風満帆な人生を送ってきた、主人公の清野すずなだったが、二〇代最後の年のある晴れた日、突然、健吾から、「好きな人ができた」という理由から離婚を切り出される。さらに、健吾の浮気相手と思われる「J.Sayaka」こと「佐々木ジョンソン紗耶香」という人物が、大学生時代に、恋人の大谷雅也を奪う結果となった相手である「燈子(とうこ)」に瓜(うり)二つだということを知ってしまう。複雑な思いを抱えながらも、すずなは、小島探偵事務所の門を叩き、社長の中澤典秀と、探偵の佐藤笑子に、健吾の浮気調査を依頼する。
浮気調査を担当することになった佐藤は、浮気相手である紗耶香の誕生日に、提携しているカリオス探偵社の野崎と東山の協力を得て、すずなの夫、健吾の尾行調査を実施し、健吾と紗耶香の接触現場を捉える。佐藤は、すずなにその事実をLINEで報告しながら、すずなの胸中を想う。

本編
健吾が事務所を出たという連絡が来てから、一体、どれくらいの時間が経ったのか、それすら考えることも、もはやけだるかった。
その時、再びLINEの着信音が短く鳴った。健吾が女性と合流した旨のメッセージと共に、佐藤笑子から送られた二枚の写真を見た時、流れることを止めていたかのように、冷たく滞っていた体中の血液が、再び沸き立つような感覚を覚えた。
写真の中に、紗耶香、あの「J.Sayaka」という女がいた。
栗色の髪が肩で踊るように巻かれ、すらりと伸びた手足が活かされるように計算されたコーディネート、透けるような白い肌に、燈子と瓜二つの端正な顔が刻まれている。ただ、一点を除けば、紗耶香は完璧そのものだった。

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