著者:将軍様
ページ数:180

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  北の山地から『費』『都督』の軍旗を翻した一団が現れ、中腹辺りで止まる。北東のは『蒋』、東からは別道を通って来たのか関興が出て来る。

 おいおい俺だけの為に三万やそこらは居るぞ! 

「島右将軍へ申し上げる、私は費偉都督、貴公を陛下の前にお連れするように使わされました。大人しくご同道願えないでしょうか?」

 孔明先生が常日頃口にしていた後進の一人ってわけか。納得の指揮能力だ。

 関興が軍勢を押し出して「そのような言は無用。力づくで連れ帰れとご命令ください!」相変わらずの態度を示して来る。

 あんな奴でも一応指示には従うつもりがあるようだ。

「断る。俺にはやらねばならんことがある。孔明先生の力になると誓ったその日から、誰の掣肘も受けんと決めた」

 どれだけ圧力を受けようと、どれだけ不利に立たされようと、俺は俺の意志を貫く!

「されば! 丞相をお助けする為に!」

「くどい! なんと言われようと俺はこのような形で従うつもりはない!」

 孔明先生、やはり首都で捕らわれているわけか。いくらなんでも害するまでは無いだろうにしても、かなりの危機に瀕しているのには違いない。

「その気はないと言うではないか。では力づくだ! 者ども、掛かれ!」

 関興将軍がここぞとばかりに軍勢を進ませる。費偉も止めるようなことはしなかった。

「封、ご領主様を連れて離脱するんだ!」

 李信が親衛隊を引き連れて、数十倍もいる関将軍の部隊に切り込んでいく。李封が騎馬の手綱を曳いて、無理矢理に山へ向かわせようとした。

「舐めるな、島介はここに居るぞ! 全員掛かってこい! これで逃げるなら死んだ方がマシだ! 軍に染まり数十年、これが限界というならそれで結構。無様な生き恥を晒すより、志を後進に残すだけだ!」


単身三国志の世界に入り込んでしまった、現代の軍人、島龍之介。
彼は身一つで生き抜いた軍隊の経験を活かし、自らの私兵を育て上げた人物。
ある日、夢の世界に入り込んでしまう。
どれだけ辛く苦しいことがあろうと、仲間を信じ己を信じて疑わない。

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