著者:村上宣寛
ページ数:162

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 最初に屋久島を訪れたのは 1999 年の 12 月末である。たまたま、雪が降り、酷い目に遭ったが、その後も懲りもせず何度も出かけた。大学の勤めの関係で、3 月末の訪問が多い。2012 年が最後のようだ。2009 年から夏にアメリカに通い始めたこと、鹿児島の従兄弟が死去し、立ち寄って 旧交を温めることもなくなった。だんだんと屋久島から足が遠のいた。そういう訳で、この本に掲載されていることは最新の情報ではない。筆者の個人的思い出をベースにまとめてある。
 筆者は職業的ガイドでもないし、完全無欠のガイド本を書く必要も感じない。ただ、ガイド本としても、ある程度は使用に耐えるかと思う。もちろん、まとめるに当たってネットからの最新の情報を追加した。
 屋久島では伝統的に登山道のことを歩道と呼んでいる。すなわち、歩 道 = 登山道である。一般的なコースは、白谷雲水峡か荒川登山口から入り、縄文杉を経て宮之浦岳を縦走し、淀川(よどごう)登山口に下りるものである。このコースは人も多く、歩道も整備されている。逆に、このコース以外では歩道が不明瞭なことが多い。屋久島では猛烈に雨が降るので、登山道の状況は毎年変化する。
 有名なコースを歩くだけなら地図も要らないと言われる。しかし、地図とコンパス、できれば高度計 (高度計付き腕時計) は必要である。少し探検しようとする人は、独立型 GPS や緊急連絡用にイリジウム衛星機器Garmin GPSMAP 66iなどを持っていって欲しい。その他の機器については「ハイキングの安全学」(第 4 版、Kindle, Paperback) に記載したので、参考にして頂きたい。屋久島の森は深いので、いったん森の中に迷い込 むと、脱出できなくなる。
 小屋周りのテント泊は公認されているし、奨励されている。それ以外の場所では、証拠隠滅型 (LNT: Leave No Trace) のキャンプをしてほしい。雨はバケツをぶちまけたように降る。フライの耐水圧は 3,000mm 以上で、構造的に換気がよく、素早く張れる物を選ぼう。耐水圧が強いと 結露が多いという間違った記述も散見されるが、耐水圧と結露は無関係である。
 屋久島の歩道の図も作成した。屋久島関連でフリーの地図を探したが、満足なものがなかった。やむえず、筆者が国土地理院地図 (電子国土) に細心の注意でルートといくつかの固有地名を書き込んだ。最近は規制が緩和され、見開きのページに掲載されない限り、無許可で掲載可能になった。記入したコースは GPS のトラックとして表示できる。

目 次
第 1 章 楠川から白谷層雲峡
楠川歩道/楠川前岳/ 愛子岳
第 2 章 白谷雲水峡から楠川分かれ
白谷雲水峡/辻峠を経て/協力金問題
第 3 章 荒川口から縄文杉
荒川歩道
第 4 章 縄文杉から花之江河
縄文杉から宮之浦岳/宮之浦岳から淀川登山口
第 5 章 花之江河からヤクスギランド
安房歩道(花之江河登山道)/太忠岳
第 6 章 尾之間から淀川登山口
蛇の口滝ハイキングコース/尾之間歩道/尾之間温泉/千尋滝/本富岳
第 7 章 栗生から花之江河
旧栗生歩道/栗生歩道
第 8 章 永田から永田岳
永田歩道
第 9 章 大川の滝から宮之浦
西部林道
第 10 章 歩いていない歩道
益救参道/湯泊歩道/坪内海中温泉/花山歩道/語源

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