著者:菅原秀幸
ページ数:66

¥1,800¥0

大学で使っている「自分探しの教科書」

プロローグ: 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
第一章 自分を作る一歩を踏み出そう
第二章 自分作りの第一原則
第三章 自分作りの第二原則
第四章 自分作りの第三原則
第五章 クランボルツ理論
第六章 キャリアアンカー理論
第七章 プロティアンキャリア理論
エピローグ:なりたい自分になれる

プロローグ: 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

 学生のみなさんから、「やりたいことが見つからない」という声を、よく耳にします。学生に蔓延している三大症候群を、ご存じでしょうか。本書を手に取られているあなたは、どれかにかかっているかもしれません。「ビジョンない症候群:No Vision Syndrome 」、「やる気ない症候群:No Motivation Syndrome」、「もっともっと症候群:More and More Syndrome」の三つです。
 将来像が描けないと苦悩する「ビジョンない症候群」、打ち込めるものがみつからず、やる気がでないという「やる気ない症候群」、自分に自信がなく、もっともっとと資格を求め続ける「もっともっと症候群」。本書は、これらの苦悩に決着をつけるための教科書です。教科書として不可欠な要素は、①普遍性、②再現性、③検証可能性の三つ。これら三要素を念頭において、自分探しをする際に役立つ原則と理論を、簡潔にお伝えしていきます。

 自分探し真っ最中の現役大学生と大学教員がタッグを組んで、大学生の目線で、話を進めていきます。スキル、ノウハウ、経験を中心とする、いわゆる自己啓発系といわれるジャンルとは、スタンスを異にしています。個人の経験に依拠したノウハウ本やスキル本ではありません。

 スキル、ノウハウ、経験は、限られた時間と、限られた空間でのみ成り立つことです。経験の一般化は、避けましょう。自分に役立ったことが、他の人の役に立つとは限りません。逆に、他の人に役立ったことが、あなたに役立つともいえないでしょう。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と、ドイツの宰相ビスマルクはいっています。

結論から先にお伝えしましょう。シンプルです。自分は探すものではなく、自分でつくるもの。そのために、行動が必要です。

自分を探し続けても、いつまでたっても、自分を見つけることは難しいのです。「自分探し」という言葉が広まってしまったために、なんの疑いもなく、「自分を見つける」とあなたは、思っているかもしれません。「自分探し」は、間違いです。正解は「自分をつくる」です。なりたい自分を探すのではなく、なりたい自分をつくりましょう。

そこで、とっても大切なこと。自分の姿は、自分では見られません。鏡に映し出すことによって初めて、自分を客観視できます。鏡とは、周りの人たちのこと。自分の姿を、周りの人たちに映し出すことによって、はじめて自分の姿を知ることが出来ます。例えば、自分では当たり前に出来ていることが、誰にでもあるはずです。ところが周りの人は、当たり前には出来ないのです。本人は、それが強みとは気づいていないことが、しばしばあります。

どんどん行動して、なるべく多くの人を鏡として、自分の姿を映し出してもらう。これが、自分づくりの最初の一歩です。

朝、起きて、目的地が決まっていなくて、家を出る人は、まずいないと思います。目が覚めたから、なんとなく家を出る、という人はおそらく皆無でしょう。大学生のみなさんなら、大学に行って講義に出る、バイトに行って働く、部活に参加する、などなど、家を出る時には、目的地が決まっているはずです。そこにたどり着く道順も、手段も決まっているはずです。ある時は地下鉄、ある時はバス、ある時は徒歩と。先に目的地が決まっていて、それから出発します。

ところが人生だけは、逆なんです。生まれてから、つまり出発してから、目的地を決めなければなりません。ここからは、(1)原理原則(迷いがなくなる不変・普遍のルール)、(2)定石(じょうせき=昔から最も良いとされてきた定番のやり方)、(3)テンプレート(ひな型・定型書式)の三つを活用して、自分づくりの歩を進めていきましょう。

考えてみて下さい。自分探しは、人類の歴史と共に、古くからある課題の一つといえるでしょう。これまでの人類の歴史を振りかえると、数えきれないほどの生命が、地球上に誕生し、そして去っていきました。これら無数の人たちが、自分探しをして、人生を送ったに違いありません。これらたくさんの人々の足跡をぎゅっと集約すると、自分探しの定石が出来上がります。無数の先人が試行錯誤を繰り返し、道を踏み固めてくれています。みなさんにとって、先人が踏み固めてくれた道を進んでいくことが、確実にゴールにたどり着く方法です

自分探しとは、本来、自分づくりです。その際の指針となるのが、使命です。使命とは、分解すると明らかなように、命を使うということです。みなさんは、何に命を使いますか。人それぞれ、命の使いかたは違って当然です。たとえば、ヘレン・ケラー女史はいいます。

「人生は胸おどるものです。そしてもっともワクワクするのは、人のために生きるときです」と。

みなさん、それぞれ人の役に立てる分野は違います。自分が得意とする分野で、人の役に立つとき、みなさんは自分の使命を知り、生きている意味を見出すのではないでしょうか。人の役に立つ、これが使命を知るための最初の一歩です。行動がともなわずに、いくら考えていても使命を知ることは難しく、自分づくりも、とん挫するでしょう。

とはいえ、使命がすぐに見つからなくても、不安になる必要はありません。中国の孔子大先生ですら「五十にして天命をしる」といっているではありませんか。孔子大先生ですら、天命を見つけたのが、五〇才なのです。われわれ凡人が、すぐに見つけられなくても当然です。探し続けたならば、必ずみつかります。

問題は、途中で使命を探すことを、止めてしまうこと。大学を卒業して社会人になると、時間に追われる日々が始まります。一週間、一カ月、一年は瞬く間に過ぎ去ります。そういう日々を何年か送る中で、パートナーを見つけて結婚。やがて子供が生まれ、ローンを組んで住宅購入。家庭をもつ幸せにひたり、一方で、住宅ローンの返済、教育費の積み立てと、日々の生活に追われるようになります。

そうして、いつしか自分の使命は、思考の外に行ってしまいます。「世界で最も哀れな人とは、目は見えても、ビジョンのない人だ」(ヘレン・ケラー女史)というように、ビジョンのない人、あるいは努力を止めてしまった人は、ヘレン・ケラー女史流にいうと、哀れな人です。

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