著者:仲野マリ
ページ数:53

¥800¥0

2022年、N H Kの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりました。
三谷幸喜が書いた今回の大河ドラマは、源頼朝が伊豆で挙兵するあたりから始まります。「平家物語」や「義経記」「源平盛衰記」そして「曽我物語」あるいは「愚管抄」などがネタ本になっていると思います。

注目したいのは、出てくるキャラクターの多くが歌舞伎ファンなら「どこかで聞いたことがある名前」であることです。作品によってはほんのチョイ役、並び大名の1人としてしか認識のなかったあの人、この人が、実は「そこにいるべきストーリーを持っていた」ことに気づかされるはず!
「それであの人は、そういう性格に描かれているのね!」
「ただの悪役かと思ったら、結構大した人物じゃないか!」
……と、新しい発見があり、歌舞伎ファンにとってはますます歌舞伎が好きになる1年になるのではないでしょうか。

また、あまり歌舞伎をご覧にならない方は、大河ドラマで「名前」とキャラクターが身近になった今こそ、歌舞伎に親しむチャンスです。

この本は、鎌倉武士が登場する歌舞伎作品について、あらすじや見どころを紹介しています。取り上げている演目が劇場でかかったり、シネマ歌舞伎が上映される時、予備知識を持ってからご覧になりたい方は、ぜひ参考になさってください

目次

歌舞伎の中には、鎌倉武士の物語が満載!
大河ドラマで「名前」とキャラクターが身近になった今こそ、歌舞伎に親しむチャンス!

第一章 歌舞伎と義経の深〜い関係

「義経千本桜」
   敗者は平氏だけではない。悲劇のヒーローの苦悩〈源義経・佐藤忠信・静御前〉
「碁盤忠信(ごばん・ただのぶ)」
   史実から物語へ~いくつもの忠信物語~〈源義経・佐藤忠信〉
「勧進帳(かんじんちょう)」〜その後の義経一行の逃避行。
   弁慶を主役に、「安宅(あたか)の関」を越せるかどうかのスリルとサスペンスを味わう

第二章 驕る平家の世の中で、息をひそめて生きる源氏

「梶原誉石切(かじわら・ほまれのいしきり)」
   頼朝からの信頼篤い「梶原景時」のもう一つの顔〈梶原景時・大庭景親・俣野五郎〉
「一條大蔵譚(いちじょうおおくら・ものがたり)」
   清盛を欺いた男~阿呆のふりをしてでも生き抜くぞ!〈一條大蔵長成・常盤御前〉
   演じ手で見比べる古典の妙味
「阿古屋」
   頼朝をつけ狙う悪七兵衛景清の女を捕らえ、拷問!?〈畠山重忠・岩永左衛門・榛沢六郎〉
   舞台上で実際に三曲を弾く! 特別すぎる空間
「熊谷陣屋」
   「二心」を疑われた転職組・熊谷直実の悲しいすぎる決断〈熊谷直実・源義経・平敦盛〉
「実盛物語」
   生まれたばかりの木曽義仲を救った男・斎藤実盛
   敵味方を越えて語り継がれる人物の共通点

〈コラム〉「ひらかな盛衰記」に描かれた梶原景時の2面性
   長男を勘当した梶原景時〜「源太勘當(げんだ・かんどう)」〜
   義家→義朝→頼朝と渡ったお家の重宝が、なぜ梶原景季の手に?
   「逆櫓(さかろ)」〜義経と論争できる景時の知略

第三章 君は曽我兄弟を知っているか?

「寿曽我対面」
   父の仇・工藤祐経を目指し、敵陣に乗り込んでいく曽我兄弟
   ひな壇にオールスターキャストが勢揃いの華やぎ〈小林朝比奈・梶原景時・梶原景隆〉
   「あの工藤祐経が、こんなに出世して!」
「矢の根」
   縁起物を並べて楽しむおおらかな祝祭劇〈曽我五郎・曽我十郎〉

第四章 鎌倉将軍の物語
   
「大商蛭子島(おおあきない・ひるがこじま)」
   女に目がない源頼朝? 異色の源氏再興旗揚げ秘話〈源頼朝・文覚上人・政子・辰姫*〉
   平安時代に「寺子屋」ってどういうこと?
   伊東の娘と北条の娘のはざまで
「頼朝の死」
   「俺はお飾りか!」母政子に仕切られる将軍頼家の苦悩〈源頼家・政子〉
   歌なし舞なしセリフのみの「新歌舞伎」で綴る近代的な心理ドラマ
「修禅寺物語」
   将軍の「死相」が能面に顕れる〈源頼家〉
   人間の「業」の深さに圧倒される

おわりに
   「きっかけは大河ドラマ」で歌舞伎に興味を持った方へ

○歌舞伎便利サイト

*(注)「辰姫」とは伊東祐親の娘の役で、「鎌倉殿の13人」では八重(新垣結衣)にあたる

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