【無料で読める】懐疑論としての『精神現象学』

１．ヘーゲルの『精神現象学』における諸現象知の否定的叙述を推し進めている原動力として、〈懐疑の精神〉に注目して、これを、イエナ時代の初期に書かれたヘーゲルの論文を分析することを通して明らかにし、『精神現象学』の生成過程を解明する。
２．次に、そこで明らかになった視点を、主に『精神現象学』の「緒論」の分析を通して論証し、『精神現象学』が懐疑論の完遂に他ならないとみることによって、『精神現象学』の叙述の背後で働いている懐疑否定の力を取り出す。
（小林道憲〈生命の哲学〉コレクション10　所収　『ヘーゲル「精神現象学」の考察』第一篇　第一章　第二章　ミネルヴァ書房　2017年）