はじめての狸囃子入門: 清原修志処女ブンガク作品集

ライター兼イラストレーターを生業とする清原修志の処女作品集。短編小説やメルヘン、ポエム、雑文53本と筆者解説、著者によるイラストやコラージュで構成された全124ページ。
著者は出版社で100年以上の歴史がある栄養学系の雑誌「食生活」の編集長を務めていた。若手時代は「アンパンマン」でお馴染みのやなせたかし氏や、「やぶ医者のつぶやき」シリーズがコミックやドラマ化されて人気を博した森田功氏らの担当編集者も務め、超短編ストーリーやメルヘンを門前の小僧として学習してきた。
掲載作品はいずれも、ブログやInstagram、Facebook、ラジオで公開され、好評を博したもの。数多くの作品の中からバラエティに富んだものを散りばめた。イラストやコラージュも著者自身で手がける。
やなせたかし氏が「食生活」で連載していた「やなせメルヘン」は、「アンパンマン」とは一味違う、大人向けメルヘンだった。森田功氏の「やぶ医者のつぶやき」は、医学的知識に裏付けられた、内科医のヒューマンストーリー。本書の作品には、彼らの影響が色濃く出ているものの、踏襲と呼ぶわけにはいかない、まったくの脳天気なオリジナル。ストレートに笑えるものから、ひねりにひねった変化球ものまでさまざま。おふざけから人情もの、前衛的なものまでが交錯して暴れまくる。これはエンタメなのか、それともブンガクなのか？
まさか、これが狸囃子なのか？