著者:松田達也
ページ数:118

¥499¥0

本書はJavaアプリケーションを動かすための基本的な知識やチューニング項目、パフォーマンス向上のためのヒントなどを実際に筆者が経験した障害事例を通して解説していくものです。

ITシステムのインフラ環境の設計・構築・運用を担当するインフラエンジニア。

IT技術の幅が広がり、インフラエンジニアに求められるスキルの幅も広がっています。

サーバーやネットワーク、ストレージなどのIT機器からアプリケーションサーバー、DBMSなどのミドルウェアまで、アプリケーションを動作させるために必要な「基盤」を設計・構築し、運用する。

表立って目立つこともなく、まさに「縁の下の力持ち」のように、しっかり動いて当たり前と思われるような部分を担当することになります。

しかし、「しっかり動いて当たり前」と思われているがために、いざシステム障害が発生すると、周囲からの風当たりが強く、その叱責の厳しさに苦労するところがあると筆者は感じています。

アプリケーションの開発者からは、基盤がしっかりしてないからまともなパフォーマンスを出せないなどと言われ、「実装の問題では?基盤のせいにするな」などと口論になってしまったことも何度かあります。

ただ、その開発者の言い分も正しいところはあり、基盤の良し悪しによってシステムの性能や信頼性は大きく変わってくることは間違いありません。

それは裏を返せば、インフラエンジニアとしてのスキルを磨けば磨くほど、高性能・高品質なシステムを構築できるようになれるということです。

そのためにはコンピュータに関する深い知識が必要であり、分厚い技術書を何冊も読んで習得していかなければなりません。

しかしそれも専門用語ばかりで何が書いてあるのか読み取ることすら困難なことが多く、初学者にとっては苦労するところが多いはずです。

特にインフラエンジニアが担当する部分は、JavaやC言語を用いてのアプリケーション開発と違って、個人パソコンに開発環境を構築して、実際に触ってみるということがやりにくかったり、そもそもできないところがあります。

そのため、全体像が見えにくく、技術書に書いてある内容がうまくイメージできない。結果、学習効率が上がらないという側面は必ずあります。

では、全体像をイメージするためには、どうすればいいのでしょうか。

私はこの点について、実際のシステム開発・運用現場では、どんな構成の基盤を構築し、どのようなシステム障害が発生して、どのように対策しているのか、それを知ることが手始めのアプローチとして賢明であるのではないかと考えました。

まずは深すぎず、浅すぎず、広く知ることで全体像が見えてきます。

また、昨今のITシステムインフラでは幅広い技術が使われており、それら技術について知っていくためのアプローチとしても、システム障害事例から学んでいくのが良いのではないかと考えています。

現在のWebシステム開発では、Javaが採用されることが非常に多いです。

そのためインフラの知識を高めていくためには、Java実行基盤の知識は欠かせないものとなっています。

そこで本書では、Java実行基盤の知識を中心にシステムの仕組みや技術についての理解を深めながら、実際のシステム開発・運用現場ではどのような障害が発生しているのかをわかりやすく解説していきます。

前巻にあたる「システム障害事例から学ぶITインフラのキホン」の続編となっており、そちらをご一読頂いていることを前提とした構成となっております。

ただ、章立ては前巻から独立しているため本書からでも読み進められるようにしております。

ただ単に障害事例を紹介するだけでなく、なぜ障害が起きてしまったのか、その点を理解できるようになるまでの基礎知識を解説し、その障害を防ぐためにはどうすべきだったのかを考えながら、理解を深めていきます。

筆者が体験した障害事例を紹介しており、その際、どのように対応したのかという点も記載しております。

システムは綱渡り的に動いているという現場のリアルも併せて感じて楽しんで頂ければと思います。

ITインフラの設計構築や運用保守を担当するインフラエンジニア向けの内容となっておりますが、プログラマやアプリケーションエンジニア、社内SEなどITに関わる方にも通ずるところがありますので、ぜひ、最後までご拝読頂けますと幸いです。

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