著者:まるちゃん
ページ数:58

¥389¥0

「あっ、また言葉が出ない…」
吃音のある人の日常です。

焦り、苦しみ、恥ずかしさ、いろいろな感情が混ざります。
メニューを注文するのに一苦労。

「ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ・・・・・・あっ、や、やっ、ぐっ、や、やっぱりうどんをお願いします。」
やっとの思いで注文したあとは、下をうつむき恥ずかしくて顔をあげることはできません。

言葉が出ない時は、息ができないため顔は真っ赤で額は汗でぐしゃぐしゃです。

「またやってしまった・・・」
牛丼が食べたかったのに、途中でうどんに言い換えてしまいました。

「その場からすぐにでも逃げ出したい」
そんな気持ちが影響し、言いやすい言葉のメニューを選んでしまいました。

「言葉が詰まる自分は情けない」、「人よりも劣っている」、「上手くいかないのは全部言葉がでにくいせいだ」などネガティブな感情に押しつぶされそうになったことがたくさんあります。

わたしは、物心がついた頃から吃音があります。吃音のある生活が始まって25年が経ちます。
今は、周りの人に助けてもらいながら7年間会社員として働くことができています。

もしかすると、書籍を読んでいるあなたも吃音のある人に出会ったことがあるかもしれません。
吃音のある人に、

「もっとゆっくりしゃべったほうがいいよ」
「言葉が上手に話せないのはみんなよくあることだよ」

「心配しすぎだよ」と優しく声かけをする方もいれば、どう声かけをすれば良いかわからない方もいらっしゃるかと思います。
吃音のある人は、詰まる言葉を避け、苦手な言葉を言い換えながらお話をしていることがほとんどです。

そのため、周りからすると、
「上手に話せているよ」

「言葉が少し詰まるけど全然気にならないよ」
「そんなこと気にすることでもない」と声かけをする方もいらっしゃるかと思います。

吃音は上手に話せる時もあれば、話せない時もあり、ゆっくり話せるときもあれば、話せない時もあります。
また、言いにくい言葉を避けることによって、

「また上手く言えなかった」
「本当はこれが言いたかったのに…」

といったように自己肯定感の低下にもつながります。
話す場面や話す人によっても言葉の出にくさは左右されることがほとんどです。

そんな曖昧さを抱える吃音。
常に症状があるわけではないことは、周囲の人からすると理解を得にくい一面を持っています。

さらに、その曖昧さがゆえに「吃音とどう向き合えばいいか」と気持ちを固めるのが難しく、悩みをどんどん深くしていきます。

本書は、

・コンプレックスを抱えている自分を受け入れることができない
・難しいことをどうやって伝えたらよいかわからない
・説明しても相手になかなか理解してもらえない

そんな悩みをもつ、あなたにぴったりの書籍です。
書籍を読み終えたときは、

・困難なことに対してはこうやって向き合えばいいのか!
・心の持ち方が少しわかった!

といったように、何かのきっかけやヒントとなれば幸いです。
本書は、吃音の治療方法については触れていません。

吃音に悩み、もがき、向き合ってきた吃音者の物語です。
目次を読み、自分の時間が奪われそうだと感じたらそっと本を閉じてください。

自分自身の難しさに立ち向かい、認め、伝え、知ってもらう。決して平坦な道のりではありませんでしたが、人生を振り返る良いきっかけとなりました。

この書籍を読んでいただいたあなたに少しでも心が軽くなるヒントを知っていただければ大変嬉しいです。

【目次】

まえがき

第1章.吃音症と私~吃音と向き合ってきたストーリー①~
1.わたしについて紹介
2.執筆した理由
3.吃音とはなにか?

第2章.つらかった過去~吃音と向き合ってきたストーリー②~
1.話しにくさの自覚
2.吃音という言葉を知る
3.電話の恐怖

第3章.今と未来を変える~吃音と向き合ってきたストーリー③~
1.自分の居場所を見つける
1-1.自分の体験を話す経験
1-2.自己開示の経験
1-3.人に認めてもらう経験

2.読者に伝えたい-心が軽くなる3つのヒント
2-1.少しだけ自分に向き合う時間を作る
2-2.背伸びをしない
2-3.これまでの辛い経験はすべて生きる糧につながること

3.一人で悩まないで語り合える仲間を探す

あとがき

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