著者:作家カフェバー
ページ数:70

¥1,250¥0

『作家カフェバー物語2 量子コンピュータ開発』
 2020年作品、150枚。

「著者紹介」
 作家カフェバー(ペンネーム)。1969年秋生。同名の小さなカフェバーのオーナー。好きなこと・趣味は、ジョギングと福岡・久留米の個人飲食店巡り。著書に『作家カフェバー物語1~8』(各作品150~250枚)。

「お薦めの順番」
 登場人物達の成長を時系列で楽しまれたい方は、
『佐多岬へ』(“What a wonderful story!”= アメリカ人読者より)
『走り屋たち』
『23歳』
『π』(著者25歳時作品)
『芸術工学部カフェバー』
『新国家建設』(オオキミさん登場)
『ロケット開発』
『量子コンピュータ開発』
 の順で楽しまれることをお薦めします。

〈以下、1~8作共通、内容紹介。1、2作「あとがき」より〉

『作家カフェバー物語1 ロケット開発』
「あとがき」
 物語の最初でも書いたが、人は神様から与えられた80年、90年を、夢のあることと、それらを実行に移すことを考えながら、ずっとワクワクドキドキ生きられればそれが最高の人生ではないだろうか。
 宇宙規模のスケールで考えてみたい。このちっぽけな地球の表面で、点にも満たない我々一人ひとりは、毎日夢やワクワクすることよりも他のことを考えて生きなければならない理由など、全くないのだ。
 物語中でも述べたが、我々人類が宇宙を目指すべき本当の理由は、その実際の活動以上に、そうすることで一人ひとりが普段から宇宙規模でモノを考え、自分の存在の儚さや貴重さを考え、些事にとらわれない心を養えるようになることにあると考えている。
 幼年時代、宇宙に関する世界の出来事で一番心が躍ったのは、NASAが打ち上げたパイオニア10号、11号(1972-3年)やボイジャー1号、2号(1977年)だった。後者は、現在(2019年)でも、貴重な情報を地球に送り続けている。つまり42年間、仕事を続けているわけだ。
 僕にとって、この事実以上に、自分の仕事を40年、50年、そしてそれ以上続けようと心を鼓舞し、勇気付けてくれるものはない。
 カール・セーガンの言葉ではないが、木星からはこの地球上の下らない「つぶやき」など一切見えまいし、聞こえまい。
 仮に、毎日のニュースの8割が「宇宙」に関する明るい話題になれば、人々の意識や世の中の雰囲気は大きく変わっていくだろう。

  *

 私事になるが、毎日、一日の仕事や食事を終えた夜中、自分の店のカウンター席に落ち着き、1時間程コーヒーを飲みながら、原稿用紙に様々な夢を紡ぐ作業を楽しみにしている。それは、その時々に興味関心のあることについての日記付けという意味合いもある。この宇宙物語も、そのような作業から生まれた。
 2年前、48歳の誕生日を迎えたが、とにもかくにも30年間社会作りに参加したというささやかな自負から、心身共にかなりラクになった。
 あとは年下のバリバリ世代に任せ、筆者達の世代はそこに少しの「付加価値」を添え続ければいい。
 心身共にラクになると、遊び心が芽生えてきた。そこで、自分がぜひ読んでみたいと思うような「投資家」視点の宇宙物語が見つからないことから、1年程かけて、自らその物語を創り出してみた。
 粗削りな部分も多いと思うが、宇宙ベンチャーという、現在展開中の領域の物語を紡ぎ出すという作業は、また1つのベンチャー(冒険)である。細部の不手際には目を瞑ってもらえればと思う。
 分量は、参考文献紹介部分も含めて200枚となった。その参考文献代の意味で、当店でのコーヒー2、3杯分の値段で頒布してみようと思った。
 この物語に接した時、筆者が心から楽しんで書いている様子を感じて頂ければ、物語のストーリーを理解されるより余程嬉しい。筆者と同じように、コーヒーを片手に、しばらくの間、愉快な気持ちになって頂ければさらに嬉しい限りである。

   *

 個人・団体を問わず、投資家が求めるのは、投資から数年以内の確実な「出口」である。細分化された諸分野を広く見渡せる起業家が、本文に書いたような数年間で10倍程度のリターンを返せる宇宙事業をシミュレートできれば、その夢のある事業に投資したいという者はきっと現れるだろう。
 起業家側から見ても、有人飛行を除く小型ロケット・人工衛星の開発・打ち上げ・運用に関し、法整備がなされつつある現在、他分野の事業と同等に、宇宙分野においても、自らの構想を実現できる環境が整ったといえるだろう。
 投資家、起業家共に、今や、もしもの時に失うものは、それぞれの「投資資金」、「時間」くらいのものだ。それは、他分野での起業の際の条件に等しい。

   *

 最後に、ここにおいて、特にアメリカや日本で、国からの支援よりも個人やチームの資金や才能をメインとし、宇宙を目指している幾つかの民間企業に、心から敬意を表したい。
 また、予算等のリソースが限られている中でも、その開発に勤しみ続けている地方大学等に在籍するロケット研究者達にも、同様の敬意を表したい。
 この小さな物語が、人々の宇宙への興味を刺激し、宇宙事業への支援者を増やす一助となれば、幸いである。

 2019年秋 作家カフェバー

『作家カフェバー物語2 量子コンピュータ開発』
「あとがき」
 投資家目線では、前回の『ロケット開発』同様、「量子コンピュータ開発」は非常に魅力的な分野だ。量子コンピュータについては、「誤り訂正」という大きな課題が存在するが、人が「課題」と認識している「課題」は、いつかは解決可能だ。案外、皆が思っているよりも早く、量子コンピュータが日常的に使われる日が来るだろう。

   *

 それでも、前回の『ロケット開発』よりは、投資家はそのリターンを気長に待つことが求められるだろう。
 終戦直後に設立されたばかりの小さな通信機メーカーの株を買い、その後長く買ったことも忘れ、気付いたらバブルでそれが1万倍になっていたという投資の王道スタイルに倣おう。
 今、量子コンピュータの会社に投資し、株を少し分けてもらい、それを買ったことを忘れよう。数十年後位に持株が1万倍にまで膨らめば(その時はその会社の株を持っていたことをぜひ思い出そう!)、100万円の少額投資でも100億円に増える。
 インフレ分を考慮しても良い投資だ。また、未来の成長分野への投資は、立派な社会貢献の一つでもある。

   *

 さて、前回『ロケット開発』のあとがきで「原稿用紙に書いている」とあったのを読んで、読者の一人から「作家カフェバーさんって、今でも原稿用紙に書いているんですか?」と訊かれたが、その通りである。最初は原稿用紙に書き、それからWordに打ち込んでいる。
 原稿用紙に書くのは、毎日少しずつでも書き進めるとその分量が増えていくのを手で触って確認できるからで、それが作業の励みとなることもあって、大昔からそうしている。
 そういえば、僕が若い頃最初に書いた物語が、分量では本作と同じ150枚だった。それは1991年、21歳の時で、作品はその年齢の常として、御多分に漏れず恋愛物語だった(おっと、これは余談)。
 とにかく150~250枚位書けば、一つの世界を構築できる。それが僕の心の深い部分を満たす様で、それが好きで大昔からこのような作業を続けている。

   *

 それから、僕が神様へ感謝しているのを読んで、「神様を信じているんですか?」とも質問されたが、もちろん信じている。ただし、僕が信じているのはいわゆる一神教の神様でなく、僕達の周囲にいる(と僕が思う)木や空や水等の「万物の神様」である。
 僕の住む市内には神社やお寺や教会が沢山あるが、僕にはそのどれも同じもののように見える。このように書けば、僕の抱いている神様観がお分かりになるのではないだろうか。
 それらも尊いのだろうが、僕が体の奥深い部分から本物の敬意を感じるのは、近くの公園に聳え立つ樹齢何百年の大木に対してである。そして時に、空・雨・風・光にもそれを感じる。

   *

 今回も、先の『ロケット開発』同様、とても愉快な気持ちで書いた。
 上の通信機メーカーの設立趣意書の言葉を借りれば、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる「量子コンピュータ」の「開発」」の話にしばらくの間没頭した。
 その際、自分の気持ちとして、あまり「きれいな」、「内容的にまとまった」ものを書きたくないなと思っていた。粗削りでもいいから書きたいことを思いっきり尖がった形で、それこそ量子コンピュータ開発のベンチャー企業の実機開発のような形で書きたいと思った。
 前回と同じく、量子コンピュータという現在発展中の領域で物語を紡ぎ出す作業もまたベンチャー(冒険)である。その意味で、この物語は未だβ版だ。
 先の「あとがき」にも記したが、読者の方々に、創作中のこの僕の愉快な気持ちを本物語中に感じて頂けるなら、ストーリー自体を理解されるよりも余程嬉しい。
 昔から、夢のある話を考えたり、人にしたりすることが大好きだ。通信機メーカーにも、物語にも、「夢」を追う時、何らかの神様が降りてくるようだ。
 本作も、多くの方々に楽しんで頂けることを願っています。

 2020年2月 作家カフェバー

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