著者:外山恭一
ページ数:296
¥700 → ¥0
12作目『小説 魔手 Ⅱ(七十三歳の原点)』を上梓します。母親真理子は、12月13日、98歳になり、息子の清が、73歳という関係性の中、50篇の物語が、ランダムに展開していきます。当作は、小説では4作目、半ドキュメンタリーの『交叉』を含めると5作目となります。73歳という位相は、周りで寿命が尽きて、生命の灯を消していく光景を、20例近くまざまざと見せつけられた原点にあります。小説1作目の『おーい 伍東』においては、これからというときに、60前後で無念にも生涯を閉じてしまった友人たちを描きましたが、73歳の原点に立つと、生きる使命をまっとうして去っていった観を強く感じます。彼ら彼女等は、日常の流れの中で、静かに消え入ったようにも観られました。
しかし、それは、『小説 魔手Ⅱ』のなかでは、全編にわたる流れであって、主題は、老い込んで益々進行していく認知症の母親と、統合失調症を患いながらも、踏ん張って生き抜いている妹総子と、うつ病からの回復過程で、将来を見据える長女かなえを軸とした、魔手にとり憑かれた血族の物語であります。魔手Ⅰでは、清個人が、社会との係わりにおいて、周りでウヨウヨしている魔手に翻弄され、ときには魔手を断ち切って生き抜いてきた姿を描写しましたが、今作では、清と僅かながらも、血が通いあう血族がたどってきた運命的な人生を、オムニバス的に50篇に区分けして、描きました。
となると、きわめて私小説的なタッチとなってしまっていますが、『小説 魔手Ⅱ(七十三歳の原点)』は、あくまでも観念小説です。否が応でも心的現象が、あちらこちらへと飛び散っていく血族の物語です。これまで『心的現象論 本論(吉本隆明)と閨房哲学(マルキド・サド)』などで、思想的に展開してきた心の蹉跌を、自分に当て嵌めて、周辺部の曲がりくねった過去・現在を俯瞰する物語に仕上げるのを実現できたので、この紹介文を書くにあたって、過去から曳きずってきたこだわりが解消できて、胸をなでおろしているところです。
73歳の清にまとわりついてきた観念小説が描いたものは、決して特定の個人に関するものだけではありません。あなたも、あなたも、振幅の強弱はあっても、それぞれに背負い込んでしまった宿痾を、如何にはぎとっていくか?という「生き抜いていく」肝腎カナメの生活の知恵を提示しようとしたものです。それは、読んでみれば納得すると思われるでしょうし、筆者からも、是非読んでいただきたいと願っております。
僕の電子書籍は、それほど売れていないとはいえ、小説以外の思想的書籍は、定期的に読まれています。小説は、身内からは、絶大な評価をいただいていますが、見ず知らずの読者には、なかなか読んでもらえていないのが実情です。しかし、思想書、小説、それぞれは、人生と時代の連続性に関わりながら、その地点・地点をプロットしてきたものだし、これからもそうしていくつもりです。ですから、『小説 魔手Ⅱ(七十三歳の原点)』を是非、手に取っていただきたいと願っております。
しかし、それは、『小説 魔手Ⅱ』のなかでは、全編にわたる流れであって、主題は、老い込んで益々進行していく認知症の母親と、統合失調症を患いながらも、踏ん張って生き抜いている妹総子と、うつ病からの回復過程で、将来を見据える長女かなえを軸とした、魔手にとり憑かれた血族の物語であります。魔手Ⅰでは、清個人が、社会との係わりにおいて、周りでウヨウヨしている魔手に翻弄され、ときには魔手を断ち切って生き抜いてきた姿を描写しましたが、今作では、清と僅かながらも、血が通いあう血族がたどってきた運命的な人生を、オムニバス的に50篇に区分けして、描きました。
となると、きわめて私小説的なタッチとなってしまっていますが、『小説 魔手Ⅱ(七十三歳の原点)』は、あくまでも観念小説です。否が応でも心的現象が、あちらこちらへと飛び散っていく血族の物語です。これまで『心的現象論 本論(吉本隆明)と閨房哲学(マルキド・サド)』などで、思想的に展開してきた心の蹉跌を、自分に当て嵌めて、周辺部の曲がりくねった過去・現在を俯瞰する物語に仕上げるのを実現できたので、この紹介文を書くにあたって、過去から曳きずってきたこだわりが解消できて、胸をなでおろしているところです。
73歳の清にまとわりついてきた観念小説が描いたものは、決して特定の個人に関するものだけではありません。あなたも、あなたも、振幅の強弱はあっても、それぞれに背負い込んでしまった宿痾を、如何にはぎとっていくか?という「生き抜いていく」肝腎カナメの生活の知恵を提示しようとしたものです。それは、読んでみれば納得すると思われるでしょうし、筆者からも、是非読んでいただきたいと願っております。
僕の電子書籍は、それほど売れていないとはいえ、小説以外の思想的書籍は、定期的に読まれています。小説は、身内からは、絶大な評価をいただいていますが、見ず知らずの読者には、なかなか読んでもらえていないのが実情です。しかし、思想書、小説、それぞれは、人生と時代の連続性に関わりながら、その地点・地点をプロットしてきたものだし、これからもそうしていくつもりです。ですから、『小説 魔手Ⅱ(七十三歳の原点)』を是非、手に取っていただきたいと願っております。
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