著者:古橋武
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 検定を繰り返すと有意差が出やすくなってしまいます.この有意差は間違った有意差であり,そのまま有意差ありと結論づけることはできません.この有意差が出やすくなることは,検定における多重性の問題と呼ばれます.本書の特徴は,理論はさておき,Excelのシミュレーションにより,多重性の問題を具体例により体験し,多重比較の各手法がどのようにして多重性の問題を解決しているかを理解できるようにしている点にあります.
 計算機の発達により統計的検定をシミュレーションにより体験できる時代となりました.多重比較とは何か?どのようなことが起きているのか?多重比較法とは何をどのようにして解決しているのか?まず,体験してみることが,多重性の問題とその解決法の考え方の理解に大いに役立ちます.多重比較の理論は統計理論を学ぶ上で大きな山となっていますが,理論の学習にはこの考え方の理解が道しるべとなります.本書はシミュレーションをもとに多重比較の各種手法の考え方を伝えることを目指しています.理論は他書任せです.
 シミュレーションはExcel2007を用いています.Excel2010, Excel2013でもそのまま利用できます.本稿用に作成したExcelのファイルは,全て次のURLよりダウンロードできます.

http://mybook-pub-site.sakura.ne.jp/Multiple_Comparison/index.html

 目次は以下の通りです.

1 はじめに

2 多重性の問題
 2.1 スチューデントのt検定のシミュレーション
 2.2 多重比較のシミュレーション
 2.3 データ群数,検定対象の事象数,
   ファミリー内の帰無仮説数

3 多重比較法
 3.1 シダックの方法
 3.2 ボンフェローニの方法
 3.3 テューキーの方法
 3.4 ダネットの方法
 3.5 有意水準の割り振り

4 上位検定と下位検定
 4.1 分散分析(上位検定)
 4.2 フィッシャーのPLSD法
 4.3 ヘイター・フィッシャーの方法
 4.4 ヘイター・フィッシャーの方法と
   テューキーの方法の比較

5 閉検定手順
 5.1 閉検定手順
  5.1.1包含関係
  5.1.2演算∩と閉じていること
 5.2 3群間の平均値の差の検定における閉検定手順
  (フィッシャーのPLSD法)
 5.3 4群間の平均値の差の検定における閉検定手順
 5.4 5群間の平均値の差の検定における閉検定手順
 5.5 閉検定手順がFWER ≤ αを保証する原理
  5.5.1 μ1 >> μ2, μ3, μ4の場合
  5.5.2 μ1 >> μ2の場合
  5.5.3 μ1 ≒ μ4 >> μ2 ≒ μ3の場合
 5.6 閉検定手順とヘイター・フィッシャーの方法
   ではどちらがよいのか?
 5.7 ホルムの方法
  5.7.1 閉検定手順
  5.7.2 ホルムの方法(閉検定手順の簡略化)
  5.7.3 ホルムの方法(対比較の場合)
 5.8 シェイファーの方法
 5.9 シェイファーの方法とヘイター・フィッシャー
   の方法ではどちらがよいのか?
 5.10 ダネットの方法のホルム版

6 FDR: さらなる閾値の緩和法
 6.1 FDRの定義
 6.2 BH法
 6.3 原理
 6.4 BH法のシミュレーション結果
 6.5 TST (Two-stage linear step-up procedure)法

7 課題

8 おわりに

著者紹介
1985年名古屋大学大学院工学研究科電気系専攻博士後期課程修了
現在 名古屋大学大学院工学研究科教授・工学博士
専門 電気工学,ソフトコンピューティング,感性工学

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