【無料で読める】経済の終わり: The end of the economy

「私たちの現代の経済システムは、もはや当初の目的を達成するようには機能していません。ゆえに、この使い古された欠陥システムを捨てて、単純で効率的なものに切り替える必要があります。これは、富の幻想をめぐる無益な争いを終わらせ、永遠の平和を人類にもたらすための、社会の革命です。」　現代の経済システムは、何の解決策も見いだせないまま破綻しようとしているのでしょうか？いや解決策はあると、この無名の哲学者（？）は問いを返します。そのためには前提を疑うのだと、そうしてこそ真の解決を見出せるのだと。現代経済の前提としておかれている（私的）所有制度と通貨制度、この二つの制度の欠陥こそが、経済を破壊する真の原因だと喝破します。かつてマルクスは（私的）所有を否定しようとしました。しかし、筆者は所有権そのものの否定ではなく、誤った制度設計の修正でよいのだといいます。この制度の問題は税制の改革によって補正できるのだと。また、古代から続く通貨制度は、権力の分配であるがゆえに、これを巡る闘争を生み出しました。しかしこの制度の致命的な欠陥を克服する手段を、人類はようやく手に入れようとしていることを筆者はまたここで示唆しています。キャッシュレス化の動きやフィンテック技術が、仮装通貨や単なる決済手段の合理化にとどまらず、この制度の欠陥を克服する手段として用いられるならば、確かにそうなのかもしれません。筆者はさらに言います。現代批判の対象とされている「資本主義」とは何なのかについて。今語られているのはそのイメージだけで、真の姿を未だ誰も明らかにできてはいません。システムの生み出す結果を補正するための手当てが、乱雑なつぎはぎとなってしまったために、何が本質的なシステムなのかをもはや誰も理解できなくなってしまったのです。筆者いわく、「資本主義」は資本の概念とそれに基づく生産システムがあるだけで、通貨と所有という二つの誤った制度がその運用を歪めているだけなのだと。新たな哲学者の出現を、いま経済学者たちは望んでいます。それに呼応して、筆者が哲学の問いを投げ返そうとしているのでしょうか？もしかしたら、この短く簡潔なエッセイが世界を変えるきっかけとなるかもしれません。筆者がいう革命への出発点として。