著者:小さなヨハネ
ページ数:20
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それはキリスト受胎のことではなく、聖母ご自身が母親(アンナ)の胎に受胎した時から原罪を免れているという意味です。しかし、ウィキペディアによれば、この説はカトリックでは認められていますが、ギリシャ正教では認められていないそうです。なお聖母の処女懐胎はどちらも認めているとのことです。
ではどう考えたら良いのでしょうか。
一般に原罪とは神から食べてはならないと言われた善悪の知識の木の実を蛇に誘惑されたイヴが食べ、それをアダムにも食べさせたことを言っていると思われます。
スウェーデンボルグはアダムとイヴが楽園から追放された一連の物語は、最古代教会の人々が自己愛と自己理知の誇りを抱いたために、神からいただいた優れた知恵を失ったことであると説明しています。その悪への傾向が原罪の意味であり、それは遺伝悪として子孫に受け継がれると言います。
今回はまずそのことについてご紹介します。遺伝悪については興味深く、機会があればまたご紹介したいと思います。次回は聖母がその遺伝悪(原罪)をお持ちだったのか考えます。ご一読賜れば幸いです。
最後にスウェーデンボルグの『天界の秘義』から遺伝悪に関する一節を引用させていただき、まえがきと致します。これにより彼は遺伝悪と原罪を同義としていることが明らかです。また、家族の、あるいは民族の気質、国民性の違いなどもこのことに起因していることが推察されます。
静思社/柳瀬芳意訳/イマヌエル・スエデンボルグ/天界の秘義313
「ここに最初の人について言われていることから、現今存在している遺伝悪は凡て彼から来たと想像されているが、その誤りであることが明らかである。なぜなら『人』の名の下にここに取扱われているのは最古代教会であって、それが『アダム』と呼ばれているときは、それは人が土地から発したことを、彼は主からくる再生により人間でないものから人間になったことを意味するからである。これがその名の起源と意義である。しかし遺伝悪に関わる事実は以下のものである。実際に罪を犯す者はことごとくそのことにより自分自身に一つの性質を生み付けるのであり、そこから発したその子供達に植え付けられ、遺伝的なものとなるのである。かくてそれは凡ゆる両親から、父から、祖父、曽祖父、その継続した祖先から降っており、かくて降ってくる各々の子孫の中に増大し、加重されて、各々の者の許に止まり、またその者が犯す実際の罪によりその者の中に増大しており、主により再生している者を除いては、何人の中にも無害になるほどには決して消滅していないのである。両親の悪い性向は明白にその子供達の中に残っており、かくて一つの家族は、実に一つの種族全体さえも、そのことにより他の凡てから区別されることが出来るという事実の中に注意深い観察者はこの真理の証明を見ることが出来よう。」
目次
まえがき
1.聖母の無原罪を認める宗派もあれば認めない宗派もある
2.原罪とは何か
3.エデンの園から追放された意味
4.アダムとイブとは最古代教会を意味
5.エデンの園はその教会の人々の知恵を意味
6.生命の木は主の神的摂理を意味し、知識の木は人間自身の深慮を意味
7.蛇は感覚的な人間の認識、目に見えないものは信じない、それは自己愛、自己理知の誇り
8.蛇の誘惑とは善と真理、愛と知恵は自分自身のものと思うこと、それは自分を神のようなものと思うこと
9.これは地獄に住む者らの信念、楽園から追放されることは知恵の剥奪を意味
10.裸身を隠すために用いたいちじくの葉は彼らの愛と誇りとを隠した道徳的真理を意味
11.ケルビム、冒涜させまいとする神のご配慮
12.原罪とは人間の自己愛、それは遺伝悪と呼ばれ、親から子へ伝わる、時代が下るに連れ増し加わる
13.なぜ神は食べてはならない木を植えられたか? 自主性と合理性
14.本来の自己愛や世間愛は人の役に立つためにそれらの愛によって自分自身や家族を健康、健全に保つためのもの
15.なぜ遺伝悪は子孫に伝わるのか?
16.神は不可能なことは課されない
17.遺伝悪自体で罰せられることはなく、自分が実際犯した悪によって罰せられる
18.悪そのものが受け継がれるのではなく、悪への傾向が受け継がれる
あとがき
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