資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができる本: ～「withコロナ時代」の２つの方法～ (RailfanGuide文庫)

■資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができる本
～「withコロナ時代」の２つの方法～

目次

はじめに

第1章：資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができるとは？
1.「旅行業」の主な資格
2.添乗員・旅行会社の実情
3.ガイドマッチングサービスと旅行業法

第2章：新旧が交錯するガイドマッチングサービス
1.Travee（トラビー）サービス終了の衝撃
2.差別化が難しいガイドマッチングのシステム

第3章：代表的なガイドマッチングサービス
1.「Airbnb（体験ホスト）」
2.トリップアドバイザー
3. aini（旧TABICA）
4.じゃらんnet
5.アクティビティジャパン

第4章：コロナ渦での体験ガイドの活動
1.オフライン（リアル）体験予約がなくなった
2. 臨時措置のオンライン体験
3. もう一つあった資格不要の方法

第5章：with/afterコロナの体験ツアー
1.コロナ年表での体験ツアーの動向
2. 「withコロナ時代」のハイブリッド展開
3.オンライン体験からの誘客
4.オンライン体験とオフライン体験の比較表

おわりに

＜はじめに＞
皆さんは、大型観光バスの定員をご存知ですか？
正座席が45人、補助席が10人として定員55人くらいでしょうか。
（正座席が49人、補助席が11人で定員60人のタイプもあります。）
1981年に開催された、神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア‘81)見学の千葉発の夜行バスツアーで、私が読売旅行の大学生添乗員アルバイトをしていた頃は、正座席がいつも満員でした。
グループ申込みの人数が急遽、増えた時などは、お客様に了承を得て補助席を使って夜の千葉を出て、早朝、神戸に着く時などもありました。
「withコロナ時代」の今では、考えられない「3密状態」のバスでした。もう二度と、このような時代は来ないのかもしれません。

約30年従事したIT業を卒業し、自身の経営する会社の定款を観光事業に変更した時、最初に執筆したのが2019年3月出版の『資格がなくてもインバウンドのツアーガイドになれる本』でした。主にインバウンド向けのガイドマッチングサービスを解説しました。
そして、業界の流れにあわせてアップデートするために、2019年12月に初めてKindle本で出したのが、この『資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができる本 』です。こちらでは、主に日本人向けのガイドマッチングサービスの解説をしました。今回（2022/2/22）で、4回目のアップデートになります。
この2冊は、リアル（オフライン）体験を想定したものでしたが、この2020年2月に水面下では歴史を変える出来事が起きつつありました。
それは、2019年末に中国・武漢で肺炎患者が初めて確認された新型コロナウイルスです。猛スピードで世界中に拡大し、あらゆる国の社会や経済を破壊しました。
特にオリンピックを控えた日本においては、旅行業、宿泊業、運輸業、飲食業などの観光産業が最も盛り上がっているタイミングに新型コロナウイルスの直撃を受け、ほんの数カ月で観光産業は天国から地獄に落ちました。企業の倒産が相次ぎ、失業者があふれはじめました。
3冊目の『AirbnbやTABICAオンライン体験の作り方』は、まさに東京2020オリンピックが1年延期になったタイミングで出したものです。
初版は2020年5月で、3回のアップデートを経て2022年2月に「オンライン体験の概要」とタイトルを変えた改訂版になっています。

そもそも私がこのシリーズを書き始めたのは、地元ガイド（ホスト）と旅行者（ゲスト）を結びつけるガイドマッチングサービスに興味を持ったからです。旅行者にはインバウンド（訪日外国人）だけではなく、日本人も含まれます。全世界で数百以上はあると思われる、このガイドマッチングサービスを使えば『資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができる』と思ったからです。

2018年夏のインバウンド向けのガイドマッチングサービス「Airbnb（体験ホスト）」の登録を皮切りに、「トリップアドバイザーViator」、「アクティビティジャパン」、2019年3月からは、主に日本人向けのガイドマッチングサービス「aini（旧TABICA 」でも自身の企画した体験ツアーを展開してきました。

また、私は、インバウンド向けと日本人向けのハイブリッドガイドを目指してきました。新型コロナウイルス流行の前、ハイブリッドガイドとは、インバウンド向けと日本人向けの混合を意味したつもりでした。ここに来て、もう一つの要素が混ざり始めました。それは、「リアル（オフライン）」と「オンライン」。
新型コロナウイルスの影響で、2020年2月中旬からインバウンド向けも日本人向けも、ガイドマッチングサービスを使った体験の予約がどんどんキャンセルになり、どのガイド（ホスト）もリアル（オフライン）体験の参加者がゼロになりました。
リアル体験の売上がなくなった日本と外国のガイドマッチングサービス会社にとって、臨時の位置づけだったオンライン体験が、短期間に大きな進化を遂げ、恒常的なコンテンツになりました。

今回の『資格がなくても「旅行業」や「観光業」ができる本 』アップデートでは、以下のコロナ渦の状況を踏まえて、オフライン（リアル）体験や、ガイドマッチングサービスの動向、旅行業法との絡みを整理したいと思います。