著者:水野 宙
ページ数:655

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2020年もコロナの影響下「見えない法則全重賞」は下半期までたどり着きました。

しかし、残念ながらながら「見えない法則全重賞」はこの号が最終号となります。
ここまでご愛読いただきまして誠にありがとうございました。

終了の原因はいろいろありますが、京都競馬場の改修工事に伴い2年以上重賞レーススケジュールと開催競馬場が移動することで、見えない法則にも影響が出ることが大きいです。
それから、時代に逆行して文章量が増えすぎたために、情報量が多すぎて予想の妨げになっているのではないかとの考えに至りました。
今一度、原点に立ち戻り見えない法則を考え直してみたいと思います。
なお、「見えない法則G1」に関しては続けて出していく予定ですので、引き続きよろしくお願いします。

今年、上半期は牡馬牝馬のクラシックを共に最強ノーザンファームの生産馬が獲れませんでした。
牡馬は皐月賞、ダービーをノースヒルズが生産したコントレイル。
牝馬でも桜花賞、オークスを長谷川牧場が生産したデアリングタクトが獲りました。

コントレイルはディープインパクト産駒、デアリングタクトはエピファネイア産駒で、皮肉なことに種牡馬は共に社台スタリオンの馬でした。

コントレイルと同じ年に生まれたディープインパクト産駒は145頭いましたが、コントレイルの母ロードクロサイトはダート短距離の未勝利馬でした。
兄弟、近親にもオープン馬がいないこの牝系からなぜか無敗の2冠馬が生まれました。
ノーザンファームや社台グループには3冠牝馬を含めた名牝が居並ぶ中、なぜこの馬がこんなに強い馬に出来上がったのか?
この謎を解くヒントは、牝系1号族s記号(遠縁にスクリーンヒーローやダイナアクトレスがいる)の牝系血統にあると考えます。

また、63年ぶりとなった無敗の2冠牝馬デアリングタクトもエピファネイアの初年度産駒で母デアリングバードは未勝利馬ながら、牝系の祖母に桜花賞3着のデアリングハートがいるクラシック牝系1号族l記号でした。

2頭に共通しているのは母が未勝利馬ということと、ファミリーナンバーが1号族です。
ファミリーナンバーはクラシックに強い牝系からナンバーを振られているわけですから、1号族というのはクラシックに一番強いファミリーとして過去に設定されました。
現代競馬では19世紀に作られたファミリーナンバーを予想に使うことに意味がないと考える予想家の方もいらっしゃいますが、今年のクラシックを制した2頭は牝系血統の有効性を証明するものと考えます。

逆に父ディープインパクト、母アパパネという3冠馬どうしを掛け合わせた配合の馬、3頭に重賞の勝ち馬はいません。
これが血統の不思議です。強い馬同士を掛け合わせても必ずしも強い馬ができるわけではありません。強い種牡馬の能力を上手く引き継ぎ、素質を開花させる牝系との組み合わせ、相性、そして、全兄弟でも能力に差が出るように生まれてくるタイミングまでが影響しているようです。

同じ父でもここまで能力差がつくのは単に母や母父だけの力差ではなく「遠い先祖から受け継いできた見えない能力差」があると考えています。

何が作用するのか?まだ完全には解明はされていませんが、優秀な牝系は種牡馬の力を引き出す確率が高いことは間違いありません。

血統というと種牡馬と母父ばかりが目立ちますが、馬券を獲るためには牝系の研究をおろそかにしてはいけません。

競馬は調べれば調べるほど、新たな発見やドラマ、因果や法則のような「競馬の不思議」にたどり着きます。

競馬は知れば知るほど楽しくなります。
そのレースをどう解くか?
下半期の重賞63レース(プラス凱旋門賞)を皆様と一緒に楽しみたいと思います。

ここから下はいつものように「見えない法則」のコンセプトです。

みんなが忘れた勝ち馬穴馬「見えない法則」の考え方の基本は

「過去を学ばないものは過ちを繰り返す運命にある」

という哲学者の言葉にある。

競馬は小さな変化を伴いながら毎年繰り返される記憶のゲームである。
去年とほぼ同じ月に同じ場所で同じ条件のレースが行われる。
だが、ほとんどの人は去年のレースのことを全く覚えていない。
その結果、また、危ない人気馬を信じて悶絶してしまう。

「見えない法則」は単に過去のデータを解析しただけの本ではない。

「人気馬はなぜ人気を裏切り、なぜ穴馬は突っ込んでくるのだろう」

という疑問を重賞レースごとに追求してみた。

そもそもなぜ人気に推されたのか?
人気の根拠は何か
人気馬が人気馬であるのはいかにも走りそうな馬の要素を満たしているように見えること。
専門紙や競馬サイトの見解に多分に影響を受けてしまう。

情報の多い時代、馬券を買う人の多くは「自分は人よりも競馬が上手い」と思っている錯覚がある。
しかし、

「一番信用できないのは自分だ」

信用できない自分よりも過去に起きた事象を丹念に追ってみることで、見落としている事実に気づくことができるのではないか。

なぜ大穴を開けたのか、なぜ人気がなかったのか?
その前兆は、因果は、何処かにヒントはないのか。
穴馬が走る原因に事前に気がつくことができないのかを徹底的に調べてみた。

結果だけ見ても全く見えてこない穴馬の激走要因。

なぜ、評価が低かったのか。
それは当時の競馬マスコミの論調だったのか、近走着順が嫌気されたのか。

なぜ、突然走ったのか。
生産牧場や調教師など人間が関与していることなのか、馬場適性、コース適性、馬番、脚質、騎手との相性、馬具、ローテーション、種牡馬、牝系血統、天気や温度の季節要因なのか等々、様々な仮説を立てて因果関係を調べた。

対象レースがGⅠのみだった過去作と違いは今回、GⅠ、GⅡ、GⅢの障害を除くJRAの全重賞が対象レースだ。
GⅠレースは全ての馬が目標にしてベストな状態に仕上げてくるために、「G1を叩いて調整中」のような馬はいない。レースの条件やハンデも決められたとおり差がなく設定されている。それは非常に平等な条件であり、毎年のレースの比較もシンプルだ。
しかし、GⅡ、GⅢのレースはGⅠの前哨戦で完調手前あったり、ローカルであったり、非根幹距離であったり、種類の違う別定戦やハンデ戦もある。
要素が入り乱れる比較の難しい重賞からできるだけシンプルに要点だけを抽出した。

「情報不足は補える」

初心者でもベテランでも、きっと、何か役に立つ、気がつく、馬券になることを祈願して制作した、ラジオNIKKEI賞から始まりホープフルSまで全63レース(プラス凱旋門賞)の「見えない法則」だ。

競馬の楽しみが少しでも深くなってくれたら幸いである。

 
 2020年夏
水野 宙

成績、配当などは必ず主催者発行のものと照合してください。
馬券は自己責任においてご購入をお願いいたします。

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