著者:ハンデウン
ページ数:63

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〝韓隠し〟を指弾し真実の古代史を追い求める新解釈

小説日本書紀41武烈 武烈の暴虐譚は朝廷混乱の極大化

序言 〝飛び越し〟は日本史学界の得意ワザ
 前著『小説日本書紀40仁賢 仁賢の島郎は島王こと武寧王』では、仁賢の実像が武寧王であるという驚天動地の考証を明らかにしたのじゃが、当時の倭地は百済王族が本国の争乱を避けて渡来し、成長していく場であったことを意味し、それは、倭が沸流百済そのものであったことを暗喩しているのじゃ。
 この『日本書紀』シリーズでは、〝韓(から)隠し〟を指弾し、日本古代史の真実を追い求めているのじゃが、『神皇正統記』に「昔日本は三韓と同種なりといふ事のありし彼書を、桓武の御代に焼き捨てられしなり」という所業以来、〝韓隠し〟が常態化したと思われるのじゃ。
 その〝韓隠し〟が極に達したのは、明治時代からの近代で、皇国史観を煽りたてた曲学阿世の輩どもは、韓地からの文明移植を断ち切って、脱亜入欧の世界に入りこみ、得意然として韓地の歴史を否定したのじゃ。
 とんでもない悪業と断罪せざるをえないのじゃが、それに対する抗議は大きな声にはなっていないのじゃ。未来志向が強調されて、〝一銭の得にもならない〟というような視点で過去を顧みようとしないのじゃ。
 日本の歴史を、騎馬民族による征服王朝と見る史観は、大きな説得力があるにも関わらず、〝当然の法理〟であるがごとくの日本列島自生論を展開して、征服王朝説をかき消しているのじゃ。それが大きな流れとなって、その流れに棹させば、ツマハジキされるというのが日本史学界の本流のように感じられるのじゃ。
 唐国、辛国などの用語は韓国の異表記だと指摘されているのじゃが、つまり〝韓隠し〟の用語だと見られているのじゃ。〝大陸〟という用語も〝韓隠し〟に利用されているのじゃ。
 例えば、古墳から遺物が発掘された場合など新羅の影響があるとされる場合でも、〝大陸〟からの影響があったなどとされるのじゃ。大陸といえば中国を暗喩し、新羅の場合は半島という表記になるのが明治時代以降の普通の表記だからじゃ。
 平安時代に「日本紀講筵と竟宴」という宮廷行事の学習が設けられ、全国の官僚が出席して『日本書紀』の講義を受けたということじゃ。そこで、『日本書紀』の解釈が定立したと考えられるのじゃが、韓地からの影響を軽視、あるいは無視し、日本自生の事績にするための解釈があれこれ試みられたと思われるのじゃ。
 そして、時代を経るごとに、『日本書紀』に多く見える韓地との関係を、主従を逆転させて、あれやこれやと朝貢のような形にし、日本の文明・文化も中国の影響を受けて発達したように曲解して解釈しているのじゃ。遣唐使のことは大々的に紹介するのじゃが、遣新羅使については黙殺しているのじゃ。
 それを、〝飛び越し〟と言わずしてなんというのかのお。商売の世界では、〝飛び越し〟はご法度のはずじゃが、日本史学界はその〝飛び越し〟を得意ワザとしているようじゃ。今回の『小説日本書紀41武烈 武烈の暴虐譚は朝廷混乱の極大化』ではどのような真実が浮かび上がってくるのかのお。
 なお、底本は、宇治谷猛現代訳『日本書紀』じゃ。漢数字は引用文を除いてアラビア数字にしたので了承願いたいのじゃ。〔追〕尊称の尊・命・神などは引用文などやむを得ない場合を除いては省略し、天皇は大王に、皇子は王子に、皇后は正妃に、媛や皇女は姫に、それぞれ表記しているので了承願いたいのじゃ。  2020年10月 ハンデウン
 目次
序言 〝飛び越し〟は日本史学界の得意ワザ
〈武烈紀〉 大略
『古事記〈武烈記〉』 大略
横暴を極めた平群真鳥は大伴金村に討伐された
当時の朝廷は沸流百済による百済系大和王朝
多くの人が集まる海石榴市は歌垣の場でもあった
歌垣で武烈が求愛した影姫は平群鮪と通じていた
大伴氏族もアマノヒボコの後裔であることを暗喩
韓語系ヤマト古語とはどいう言葉か
意多郎は昆支王に関係する人物か
日本語は韓地からの渡来人の韓語から派生した言葉
武烈・末多王・雄略の暴虐
 武烈の暴虐 東城王(末多王)の暴虐 雄略の暴虐
暴君はいつの世にもいたはず
武烈の暴虐記事は王朝断絶を意味するのか
大王権限を掌握していた平群真鳥
武烈朝に純陀太子(聖明王)の子の斯我君が渡来
渡来人の子孫が倭画師という姓
『古事記』には歌物語や暴虐譚がない
『日本書紀』はなぜ暴虐譚を掲載したか
韓国連は物部真鳥か平群真鳥か
物部韓国連は但馬とも関係が深い
〝韓かくし〟の異説があれこれと
渡来人子孫の改名は国風文化のはしり
結語 韓語系ヤマト古語が転訛して日本語に
横暴を極めた平群真鳥は大伴金村に討伐された

 武烈の和風諡号は小泊瀬稚鷦鶺(おはつせのわかささぎ)で、雄略の大泊瀬幼武(おはつせのわかたけ)と仁徳の大鷦鷯(おおさざき)の諡号を受け継いでいるのじゃ。春日大娘を母とする小泊瀬稚鷦鶺(おはつせのわかささぎ)こと武烈は、大人になると、裁きごとや処罰を好み、法令にも詳しく、日の暮れるまで政務に従事したのじゃ。冤罪のものを見抜き、無実を明らかにすることもあり、訴えを処断することがうまかったのじゃ。
 その一方で、一つも良いことを修めず、さまざまの極刑を詳しく調べ、いろいろな悪事を行ったので、国中の人民らはみな震え恐れたのじゃ。
 仁賢が崩御すると、大臣平群真鳥がもっぱら国政をほしいままにし、日本の王となろうと欲したのじゃ。表向きは太子(武烈)のために宮を造ったのじゃが、完成すると自分らが住み込んだのじゃ。ことごとに奢り高ぶり、臣下としての節度をまったくわきまえなかったのじゃ。
 武烈は、大臣平群真鳥に擁立されたものと思われ、真鳥はそのもとで権勢をふるったのじゃが、武烈は、真鳥の専横を快く思っていなかったと思われるのじゃ。そこで、大伴室屋のあとをついだ大連大伴金村に、なにかと相談したのではないかと思われるのじゃ。
 武烈が太子であった時、物部麁鹿火大連の娘である影姫を娶ろうとし、海石榴市で求愛の歌を交わしたのじゃが、影姫が、大臣平群真鳥臣の子である鮪と通じていたことえを知った武烈は大いに怒り、大連大伴金村に兵を出させて、乃楽山で鮪を殺したのじゃ。さらには真鳥の家を囲み、火を放って焼き、真鳥とその一族の者を全員殺したのじゃ。
 武烈朝の最大の権力者であった平群真鳥は、横暴を極めたため、大連大伴金村によって討伐されたのじゃ。そのことを、河内王朝=平群氏、近江王朝=大伴氏という対立で見て、平群真鳥は大王家に敵対する勢力であったとするのじゃが、河内王朝と近江王朝の対立ではなく、内訌の次元の問題なのじゃ。

結語 韓語系ヤマト古語が転訛して日本語に

 前著『小説日本書紀40仁賢 仁賢の島郎は島王こと武寧王』で考証した昆支王のことじゃが、昆支の表記は、昆岐、混支、それに山ヘンに昆という字も使われているのじゃ。そうした表記の違いや、昆支王の後裔とされる飛鳥戸造が近つ飛鳥に土着し、飛鳥戸神社の祭神として昆支王を奉斎していることなど、今なお多くの謎を残していると指摘されているのじゃが、それは、〝韓かくし〟の結果というものじゃろ。
 そうした〝韓かくし〟によって、日本の古代史は魑魅魍魎の世界となっているのじゃ。日本列島の歴史は、韓地からの渡来人によって形成されたにもかかわらず、つまり、弥生人と称される韓地からの渡来人が、現在の日本人の先祖であるにもかかわらず、日本人の始原を縄文時代に置く日本列島自生論を展開しているのじゃ。とんでもない前提の錯誤を犯しているのじゃ。それでは、真実の歴史が浮かび上がってくるはずがないのじゃ。
 〝韓隠し〟を指弾し真実の古代史を追い求める新解釈の『小説日本書紀』シリーズ第41弾の今回の『小説日本書紀41武烈 武烈の暴虐譚はは朝廷混乱の極大化』でも追い求めたのじゃ。遺跡の多くを中国(大陸)に結び付ける〝飛び越し〟を日本史学界は得意ワザにしているような感がある風潮のなかで、武烈の暴虐譚などは事実ではなく、作文だというのじゃ。
 武烈の時代は、平群真鳥が、大王のように振舞ったといい、そうであれば、下剋上も横行した混沌とした時代であったことになるのじゃ。顕宗・仁賢・武烈は同一人物で百済武寧王であるという説も提起されており、それは、武寧王が倭国の大王であったことも意味し、であれば、平群真鳥が「日本の王になろうとした」という表現は、倭国王武寧王のいない倭地で、大王位を乗っ取ろうとしたという意味になるのじゃ。
 とまれ、平群真鳥は、大伴金村に討伐されたことになるのじゃが、紛らわしいのは、神社伝承に出てくる物部真鳥という名前じゃ。物部真鳥は、物部麁鹿火とどういう関係になるのか、あるいは平群真鳥とは同人なのか、別人なのか。皆目、見当がつかず後考に委ねるしかないのじゃ。
 大伴氏族は、角鹿(越路)を背景にした氏族であったということが明らかになったのじゃが、 角鹿はツヌガアラシト(都怒我阿羅斯等)と関係が深い地で、アマノヒボコ(天日槍)とも同人(神)格とされるのじゃ。であれば、大伴氏族と繋がるものがあると見られ、あるいは大伴氏族はアマノヒボコの後裔であることを暗喩するのじゃ。
 韓語系ヤマト古語のことについて言及したのじゃ、韓語系ヤマト古語とはどいう言葉であったのか、よくわからないのじゃが、韓語が転訛して別の発音のような語になった言葉を意味しているものと思われるのじゃ。

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