著者:ドンバ・ワタラ
ページ数:74

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 食欲は睡眠欲及び性欲と並ぶ人間の三大欲求の一つである。食の選択は過去の食習慣や本能に任されている部分が多い。そのため、栄養摂取の知識が十分にあったとしたとしても、より良い健康習慣に結びつくることは難しい。一方で、行動経済学は、現実の人間がどのように選択・行動するのかを分析・究明することで、一定の傾向や法則性を見出す経済学の分野である。それ故に、本能に依存す食生活をより良くするには、行動経済学の知見を活用するのが最適である。

 本書では、健康的な食習慣のために、行動経済学をどのように利用すれば良いのか、そして食習慣を改善するために、どのような工夫ができるのかを中心に解説する。その際、「何を食べるか」「どう調理するか」よりも、「どう見せるか」「どう食べるか」に焦点を当てる。また、自発的に改善できるように、食の選択に関する認知バイアスを多く取り上げるとともに、健康的な食習慣のための小さな工夫の具体例を多く紹介する。

 本書から、以下の3点が理解できるようになることが期待できる。

1点目は、世界の中での日本人の健康状態と日本人の健康観についてである。日本人は、極めて健康的な生活を送っているにも関わらず、自分の健康状態を否定的に評価している人が多い。この自己否定的な健康観が肯定的な意味を持ち、これが日本人の健康状態を高めている。

2点目は、行動経済学の考え方、認知バイアスによる人間の行動原理、選択と行動のきっかけを提供する手法「ナッジ」についてである。人間は認知バイアスによって不合理な行動を行うが、一定の法則性があることから予測可能である。これを利用して、人々の周りの環境や状況を変えることで、人々が望ましい行動を取れるように促すことができる。そのための道具として、ナッジの6つの基本原則と、人々の行動を変容させる手段や方法を示した「MINDSPECE」を解説する。

3点目は、ナッジと認知バイアスを利用して、小さな工夫をすることで、無意識に人々の行動を変え、結果として、自然と健康的な食習慣が実現できるようなアプローチについてである。そのための実例として、「CANフレームワーク」、グーグル社の「行動変革の4P」、一般家庭での13点の簡単な工夫について解説する。

 こうした事例から小さな工夫を設計するコツを学び、家庭での食の選択と摂食行動が改善され、読者にとってより健康的な食習慣の形成の一助となれば幸いである。

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