著者:DAIKI
ページ数:29
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画家DAIKIの初期の作品集。ボールペンとサインペンを用いて、制作している。初期にはボールペンを用いた細かい作品が多く、その要素が多分に盛り込まれている。主にボールペンを用いていた時代から、サインペンによる色彩表現への過渡期の作品であり、DAIKIの作品の変遷を知る上で、興味深い時期の作品である。その後の作品は、ポストカードサイズの様々な素材の紙に、ポスターカラーで描かれていくことになる。制作方法はいたってシンプルで、様々な色や素材、模様のポストカード用紙から一枚選び、気の向くままにポスターカラーで線や点をのせていく。ポスターカラーはペンタイプのものを使用。主に使うのは極細~細字。20~30分ほどで出来上がる作品もあれば、数日かけて少しずつ塗り重ねる作品もある。決まったコンセプトを持って制作することはほとんどなく、そのときの気分、心の動き、たまたま手に取ったペンの種類によって作られていく。気分ののったときにしか制作しないので、一時期に一気に作られることもあれば、全く作らない空白の期間も多々存在する。作品集では、概ね制作順に収録され、インスピレーションの推移を楽しむことができる。
【作品の魅力】
一番の魅力は独特の色彩感覚である。DAIKIは色弱であり、多くの人に比べて認識できる色が少ない。しかし、あらゆる人が微細なレベルでは色を認識する程度が違っており、あらゆる人が違った色覚や輪郭で世界をとらえているとし、自身の色覚もまたその一つとして、気にせず制作している。自身では差異が感じられないような組み合わせも平気で用いており、一人ひとりが感じる色彩感覚は違うという認識のもとで配色しているため、人によっては異色の配色だと感じることもあるようである。それに加えて、独特の線の運び点の用い方も多く、それらが組み合わされて、不思議な空気感を作り出す。その結果として、どこか民族的な、原始的な文様や配色を連想させる作品も多く、どこかアフリカ的で、どこか日本的である。創作のきっかけとなり、大きく影響を受けているのが、シュールレアリストのisomeki氏である。自動筆記的な制作によって独自の世界観を表現する氏の作品群に触れたことが、絵画表現に取り組むきっかけになっている。美術愛好家として特に好きな画家はヒエロニムス・ボス、フランシス・ベーコン。制作者として特に好きな画家はアンリ・マティス、グスタフ・クリムト、パウル・クレー。彼らの色彩感覚、線や文様への関心に魅力を感じ、自身の作品を見つめる上で大きな影響を与えている。
【おすすめの楽しみ方】
- 電子書籍で購入し、画像で楽しむ。(Kindle Unlimitedでも読めます)
- 気に入った作品があれば、ペーパーバック(紙の本)で購入し、じっくり眺める。
- 公式InstagramやYou Tubeで画像や制作過程動画を楽しむ。
- 自分でもポストカードアートを描いてみる。
- 自分の作品をSNSで公開してみる。#postcardart
- DAIKIの個展で原画を楽しむ。DAIKIと会話を楽しむ。
【本のデザイン】
書籍は本が苦手な人でも読みやすいよう、文字が大きく、全体の文章量も控えめに設定されている。A5サイズで持ち運びにぴったり。電子書籍でも読めるほか、kindle unlimitedでも読むことができる。
【著者:吉村ジョナサン/DAIKI】
1984年生まれ。エッセイスト・詩人の活動(吉村ジョナサン名義)、即興卓上木琴奏者・ポストカードアーティストの活動(DAIKI名義)を行なっている。山形大学教育学部を卒業後、私立高校の国語教師として13年間務める。その後上京し、アーティスト活動を開始する。現在は塾講師を務めながら、多方面で表現活動を行なっている。
【吉村ジョナサンのエッセイ】
初期には、『睡眠随想集』や『香りのある生活』といった特定のテーマに絞った作品が刊行された。シリアスな内容をはらみながらも、全体的にはゆるやかに語られる。教師としての経験を活かした『受験生らしくなくっていい』、『知の教育』は、高校生や教育関係者へ向けられたメッセージの中に、現代の教育への批判的な内容がしのばせてある。音楽家としての立場から語る『即興演奏という語り』には、独自の音楽哲学が書かれており、演奏家として、音楽を愛するものとしての立場、芸術への立場が記されている。その他にも、日常のあれこれをつづった『都会の空』、『違和と共存』からも、吉村の世界観、独特の文体が感じられる。内容は込み入っているものの、論理的というわけでもなく、かといってわかりやすくもない文体に置いて行かれることもしばしばだけれども、そこに魅力がある。
【吉村ジョナサンの詩】
もともと短編の物語を書いていたものを、詩としてとらえたところから始まっている。そのような物語のような、詩のような創作物を詩集として刊行したのが、数々の著作である。最初の詩集『アロマ詩集』はほとんどが物語になっており、第二詩集『宇宙の本』も前半は物語になっている。その後、韻文的な要素が強いもの、メッセージ性が強いものも多くなっていく。そして、第三詩集『地平線』には多様な作風が見られることになる。物語として、エッセイとして、言葉あそびとして、それぞれの楽しみ方ができるのがおもしろい。
【DAIKIの作品集】
企画作品としては、アルファベットをモチーフにした『A to Z』、世界的なイベントであるインクトーバーへの参加作品を収録した『CRYSTAL to RISK』がある。初期の作品集としては『三行詩とポストカード』があり、作家活動はボールペン線画から始まっている。『Marine Sleep』はその線画から次のポスターカラーを用いた色彩表現への過渡期の作品が収録されている。次の『BALANCE』では、ポスターカラーを用いて点描や線を描いている。色彩と幾何学模様に向き合い始めた段階である。そして、『SCRAMBLE』では、様々な素材の紙を用いることで、質感を意識した作品群が生まれている。『CAPACITIES』では、アフリカや日本のトラディショナルなデザインをほうふつとさせる作品が多くなっている。基本的に下書きや構成などは考えず、即興的に描いていくスタイルをとっている。気分がのったときに描いていくタイプ。
【DAIKIの演奏活動】
10歳から打楽器を始め、その後、吹奏楽や管弦楽、アンサンブルに親しむ。紆余曲折を経て、35歳のときに、自分の何気なくやっていたことがフリーインプロビゼーションに近いことを知る。36歳から卓上木琴による即興演奏をYou Tubeに公開し始める。現在490以上の動画をアップしている。世界中の人に卓上木琴を楽しんでもらえる日を目指して活動している。主な使用楽器は木琴メーカーとして有名なコオロギの卓上木琴。
【公式ホームページ】
https://sites.google.com/yoshimuraart.com/home
シリーズ一覧
- 同シリーズの電子書籍はありませんでした。
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