著者:平井哲男
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(はじめにより抜粋)
私は19歳で神経症を発症し、21歳の時、森田療法という日本では最も有名な神経症の治療を受けるため、76日間入院しました。対人恐怖症と雑念恐怖症、摂食障害でした。そして、そこを退院してからも森田療法を実生活の中で実践し、完治しました。その後、現在に至るまでその症状は出ていません。 (当時、私が治療を受けたのは、今は亡き森田療法の第一人者、鈴木知準博士です)

現在では神経症という言葉はあまり使われなくなりました。不安障害、強迫性障害、パニック障害、摂食障害等、広く「障害」と呼ばれるようになりましたが、言葉の違いこそあれ、その「障害」、神経症を私が完治した実体験をもとに書いた本です。当時の私の病名は対人恐怖症でしたが、今は社交不安障害に変わり、雑念恐怖症は強迫性障害の部類に入るかと思います。
病名はその時々で言い方は違っても、基本的な治療法は変わらないと私は考えます。

本書は以前、神経症で悩んでいる方々のお役に立ちたいと願い、自身のHPで公開するため、試行錯誤と推敲に推敲を重ね、書き上げた文章です。(HPからこちらへ移転しました)
今回、Kindle出版するにあたり、再度読み返し、加筆・修正と新たに書き下ろしを加えて、今でも十分通じるよう再構成しました。

なお、「神経症」という表現は悩んでいる方々の力になりたいと切に願い、全力を注いで書いた当時の私の強い思い入れを残すため、あえて今変えることなく、そのまま使うことにしました。

私は精神科医でもなく、カウンセラーの資格を持っているわけでもありません。ただ私はその当時、相談する人もなく、一人でつらく苦しい思いをしていました。それどころか、森田療法に出会うまでは神経症という言葉さえ知らず、こんなものを抱えている人間は世の中で自分一人だろうと思い込み、苦しみ悩んでいました。それゆえ、今この瞬間にも苦しみ悩んでいるであろう多くの人たちのために、私自身の完治体験をもとに、できる限りの助力をしたいと思うのみです。

本書を読んでいただければ、神経症までいっていない人、もしくはその症状が比較的軽い人であれば、かなり良くなる人がいるかもしれません。それを願うとともに、昨今のコロナ禍の状況も鑑み、ここでは単に神経症の人たちばかりではなく、いろいろな心の悩みを持っている人たちにも、その悩みを解く一つの解決法、または対処法になれば良いと考えています。

私の場合は、神経症を乗り越えると心が自由になり、自分の目標が見えてきて、その目標に向かって一直線に進むことができるようになりました。それゆえ、神経症に苦しみ、悩んでいる方々が一日も早く治ることを願い、私なりに精一杯、その治療法を書きました。本書が苦しみ、悩んでいる方々にとって、一筋の光となれば幸いです。

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