著者:吉田右京
ページ数:303

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 トロント市のCNタワーの展望台で、長崎の電機会社の専務が毒殺された! 被害者のまわりには、中国マフィアを含む複数の容疑者の影がちらつく。犯人はだれか? 殺害の動機は? 警察庁からトロント大学へ出張中の美貌の科学者・北御門亜希が、この難事件に果敢に挑む!
【あらすじ】
 カナダ・トロント市のCNタワーの展望台で、橘電機工業(本社・長崎市)専務の杉谷祥司が変死した。アコニチン(トリカブトの毒)による毒殺だった。現場に居合わせた警察庁科学警察研究所の北御門亜希は、トロント中央署のブルース・チェン警部補の依頼で、捜査に協力することになる。亜希はトロント大学に研修出張中だ。
 亜希らは、まず杉谷の同行者の長崎総合大学准教授・倉成恒夫に事情聴取を行う。倉成と杉谷は、フォトニック・カナダ社社長の永野礼治と新しいタイプの電池、すなわち、色素増感太陽電池の共同研究を行うために、トロントへ来ていた。色素増感太陽電池は、従来のシリコン太陽電池に比較して数々の利点を持つので、実用化されれば、莫大な利益をもたらす。倉成らは、最近、実用化の目途をつける研究成果を得た。そこで、永野が共同研究を持ちかけたのだ。
 倉成の供述によると、杉谷とは事件当日の朝、ホテルで一緒に食事をしたあと、すぐに別れたという。当初、倉成を容疑者と考えていた亜希らは、壁にぶつかる。アコニチンは即効性の毒物だが、杉谷は倉成と別れてから約一時間後に死亡しているからだ。つまり、倉成が杉谷の食べ物に毒を盛ったのなら、杉谷は即座に死んでいるはずである。
 捜査の進行中、今度は、カナダ・キングストン市のホテル内で倉成がリシン(トウゴマの毒)で殺されかけるという事件が起きる。倉成は一命をとりとめるが、倉成の研究室の大学院学生が巻き添えを食って死亡する。
 二つの事件は、色素増感太陽電池の利益を独占しようとする永野の犯行と思われ、亜希とブルースは永野をマークする。しかし、捜査が進展しないうちに、今度は、永野の娘が色素増感太陽電池の技術を狙う中国マフィアに誘拐され、事件は混沌とする。
 亜希は中国マフィアのアジトに潜入して、永野の娘を助け出す。永野はお礼に、杉谷殺害の容疑者として、トロント日本通商会理事で、長崎出身の浜田淳二の名前を教える。亜希は長崎県警に依頼して、浜田の過去を洗う。亜希の依頼を受けた長崎県警の刑事は、二十年前、浜田の父の鉄工所が橘電機工業社長・橘竜太郎のはかりごとによって潰され、両親が自殺した事実を掴む。橘は杉谷の義父にあたるので、浜田の復讐の線も浮上する。だが、浜田の復讐とすると、倉成殺害未遂の説明がつかない。
 犯人は、永野か、浜田か、中国マフィアか、あるいはそれ以外の第三者か? 難事件を前に、北御門亜希の推理が冴える。 
【目次】
第一章 日本人の客死   
第二章 キングストン   
第三章 ナイアガラ   
第四章 第三の容疑者   
第五章 誘拐   
第六章 中国マフィアのアジト   
第七章 長崎港の水死体   
第八章 オンタリオの風   
【著者紹介】
1950年佐賀県生まれ。九州大学理学部化学科卒業。2016年まで佐賀大学教授。佐賀大学定年退職後、小説の執筆活動を開始。豊富な海外経験と化学の専門知識を活かした推理小説を手がける。本作で二作目。第一作は「プラハ殺人事件」(Kindle版、青松書院)。

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