著者:中村あやえもん
ページ数:106

¥380¥0

本書「ミステリー『トリック』の作り方」は、ミステリー作品や脱出ゲームを作りたい方向けに、「トリックの作り方」を説明した本(電子書籍)です

本書で書かれている方法を用いることで、良質で、かつ世界観にマッチしたトリックを短時間で作り出すことができ、より魅力的なミステリー作品を作ることができるようになるでしょう。

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■ この本の内容

私はこれまで制作監督やシナリオ理論作りをしていたこともあり、多くのシナリオライターさんや、シナリオライター志望の方と接する機会がありました。
もちろんその中には、「ミステリー作品を書いています」とか「ミステリーを書きたいんです」という人もいました。
ですが、彼らがそう言った後に続く言葉は、決まってこのようなものでした。

「でも、トリックが上手く作れないんです」

実際に私が調べてみても、トリックの効果的な構築法というのはありませんでした。
あったとしても、江戸川乱歩のトリック分類であるとか、「多くのミステリー作品を読みなさい」といった精神論であって、「システマティックな構築法」にまで踏み込んでいるのは皆無でした。
そういうこともあって、今回はミステリー作品や脱出ゲームなどにおける「トリックのシステマティックな構築法」ということで、理論を構築し、このように本を作ることになりました。

■ トリックを作るための、一つのアプローチ

本書では、トリックを構築する流れとして「常識反転法」という手法を提案しています。
以下で、その簡単な流れを説明してみましょう。

まず最初に、トリックとは、言い換えると「錯覚を起こすこと」です。
その錯覚を作り出すために、常識反転法では、まずは私たちが持つ「常識」に着目します。
私たちの常識こそが、錯覚を作り出す源になりうるからですね。

例えば、「火」に対して私たちが持つ常識を考えてみます。
「熱い」、「赤い」、「木に触れたら燃える」、「さわったらやけどする」、「木は黒こげになる」、「煙を出す」、「二酸化炭素を生む」など、様々な常識を発想できるでしょう。

そしてその常識に反する要素を見つけ出します。
「熱くない火もある」、「赤くない炎もある」、「木に触れても燃えないこともある」、「さわってもやけどをしない火や、さわり方のコツがある」、「煙を出さない火もある」、「二酸化炭素を生まない炎もある」……などを思いつくでしょう。
すると、そこから原理を導き出せます。
「熱くない火とは、どんな火があるだろう」とか、「火が赤くならない条件は、何だろう」、「さわってもやけどをしないには、どんなコツがあるだろう」という原理をウェブなどで探すか、もしくは物語中で自分で作り出すこともできます。
この原理こそが、トリックのタネになります。

次に、このトリックのタネをどの犯行段階で使えるかを分類します。
「火の柱がある部分は移動できない」という要素から移動性を錯覚させるのか、燃焼時間を錯覚させて時間をごまかすのか、殺傷能力をごまかして重体や焼死したように見せかけるのか、他の音をごまかすためにそれを行うのか、などですね。
そして、その「原理」と「何を錯覚させるのか」が決まれば、トリックは完成です。

このトリックをいくつも用意して、そのトリックを生かす環境作りや、読み手に類推させない隠蔽工作、カモフラージュなどを導き出します。
最後にそれらを物語として組み合わせることで、身近なものから多くのミステリー作品を生成できるようになるでしょう。

■ ミステリー作品のトリックをシステマティックに作る「常識反転法」の提案

このように、「常識」を元にトリックを発想することで、トリックの要である「錯覚」をシステマティックに、短時間でいくつもの種類を、効果的に導き出すことができるようになります。
また、世界観からアイテムを見つけて、そこから常識を発想できるので、例えば「雪のロッジ」や「古びた研究施設」、「病院」、「水族館」などの世界観にマッチしたトリックを、世界観にあるアイテムから発想できるようになるのです。
例えば雪のロッジでは、「雪」や「氷」、「つらら」、「ゲレンデ」、「吹雪の夜」、「たき火」などのアイテムがあるでしょう。
研究施設では、「地下室」、「液体窒素」、「ガスバーナー」、「ビーカー」などのアイテムがあるでしょう。
すると、それぞれの常識は何か、そこから発想して、トリックを構築してゆくわけですね。

そのため、世界観を壊すことなく、自然なトリックを生成できるようになるでしょう。
また、トリックを多く作ることができるため、事件と事件が密接に絡み合った「連続殺人事件」などの一見高度なトリックも、実は容易に作れるものだと分かるでしょう。

本書では、そのようなトリックの一連の作り方である「常識反転法」を提案しています。
この手法を用いることで、良質なトリックを短時間で作り、より魅力的なミステリー作品を量産できるようになるでしょう。
また、これはミステリー作品だけでなく、「脱出ゲーム」や「謎解きゲーム」などにも適用できるでしょう。

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■ 本書で学べる、「トリック」を作るためのテクニック

本書では、以下のような内容を学べます。

・ トリックをたった四つのステップで作れる、その超簡単な方法とは?
・ 誰もがうなるような巧妙なトリックを楽々作れる、「常識反転法」とは?
・ 世界観にマッチしたトリックを作るには?
・ トリックを一つにまとめて、事件に組み上げるには?
・ 一つの事件を簡単に作れる、「事件を組み上げる六つのステップ」とは?
・ 読み手にトリックを見破られないようにするには?
・ 伏線を作るには?
・ 読み手に気づかれずに、面白い伏線を張るには?
・ 「連続殺人事件」などの高度な事件を作るには?
・ 一つのトリックが没になった時、すぐにリカバリーするには?

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■ 目次

第一章 「常識反転法」によるトリックの作り方
  トリックを作る中間ステップとしての「常識」
  トリックを作る四つのステップ
  ステップ一: 世界観を決めて、そこにある要素(アイテム、特殊現象)をリストアップする
  ステップ二: 各要素に関しての常識をリストアップする
  ステップ三: 「反常識」リストを作る
  ステップ四: トリックの原理を作る

第二章 トリックを元にした事件の作り方
  事件を組み上げる六つのステップ
  ステップ一: トリックが有効になる環境を作り出す
  ステップ二: 事件の「一連の流れ」を作る
  ステップ三: 論理の「穴」を埋める設定を作る
  ステップ四: 解決のヒント(前振りと伏線)を作る
  ステップ五: 決定的証拠を作る
  ステップ六: トリックを隠蔽する方法を決める
  謎が解けた主人公と、犯人の対話で論理の検証する
  物語として仕上げる

あとがき

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