著者:富岡秀雄
ページ数:241

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六編の短編からなる。新聞の書評などでも取り上げられており、高い評価を得ている。
カプリース:〔書評〕今時の若者が書くようなストーリーで驚いた。衝動的に音大に入学しバイオリンを特訓する若者が、祠から現れた古代神のような老人に技術上の願いを敵えてもらうが、その代償に戸惑うことになる。話の展開は安易とはいえ、楽器の奏法やパガニーニの楽曲など音楽の知識が豊富で楽しく読めた。【文芸評論家 清水良典】朝日新聞、二〇二〇年五月二八日、東海の文芸欄。
スコップとクワ:〔書評〕切り口が面白い。墓苑に愛犬と散歩に来た糞を取るクワを持った老人が、雑草をクワで刈る老人に注意されて喧嘩するうちに、中学時代の同級生と気づく。独白を交互に置いた構成でユーモアを醸し、その中で老いた男の意固地さと孤独をそっと滲ませた。【評論家、竹中 忍】中日新聞、二〇二〇年十一月三十日、中部の文芸欄。
インディアンサマー:〔書評〕晩秋の小春日和のことをインディアンサマーと、英語を話す各国ではよく使われるという。作者の心情と合っていたのであろう。物書きは母や父のことを一度は書くものだというが、この小説は十年前に亡くした父へのオマージュであろうか。父は自分の思い通りに同じ道を進んでくれると信じていたが、息子は父の思惑通りにいかない。それが親子の断絶につながる。父が年老いてから息子を訪ねて来るが、息子は当時の無念さを父に言う。父は反論も謝罪の言葉もなく黙って聴いていた。最後に見た父が小さく見えたという文に、息子の父への悔恨の情がにじみ出ていた。人生と言うのは、晩秋の頃やっと得心のいくものである。その頃にはもう父はいないのだ。【同人誌“弦”代表 中村 賢三】弦、110号

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