著者:山崎 宏
ページ数:96

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コロナショックで打ちひしがれているのは、飲食業界や観光業界ばかりではない。悠々自適な在宅勤務でも収入が100%保証されている公務員や大企業組の一方で、中小企業以下のビジネスパーソンの多くが、今の仕事や職場からの脱出を模索している。

そして、意外に思われるかもしれないが、医師とて決して例外ではない。首都圏でも開業医の経営状態は芳しくない。とにかく患者が来ない。一年でもっとも稼げるはずだったインフルエンザと花粉症の季節。そこに緊急事態宣言による外出制限が重なったことで、資金繰りに奔走する開業医の姿も珍しくないのが実態である。さらに言えば、この状況は、例えコロナが過ぎ去ったとしても好転することはないだろう。

いにしえの中国に、こんな感じの諺があった。

大医、国を癒す
中医、人を癒す
小医、病を癒す
愚医、何も癒さず

現代に当てはめるとどうなるか。
糖尿病の患者で考えてみる。

愚医は、薬を処方して血糖値を下げる
小医は、異常値をもたらした原因を問診で突きとめ、「暴飲暴食を控えよ」と告げる
中医は、問題行動の裏にある生活上のストレスを聴きだし、「適職が見つかりますように」とエールを贈る
大医は、意志あるものが職に就けない現状を憂い、政府の誤った経済対策に警鐘を鳴らす

こんな感じだろうか。

翻って、巷の病医院はどうだろう。そこにいる医師たちは、99%が愚医になってしまうかもしれない。だがそれは当然の話である。現在の医療制度では、いくら患者の話を聴いてやったところでおカネにならないのだから。そんな暇があったら、次の患者を診察室に迎え入れたほうが得策だ。

しかし、である。幸か不幸か、新型コロナのおかげ(?)で開業医も変わらざるを得なくなった。何年もの間、従順に盲従していた生活習慣病患者たちが通院を控えたからだ。挙句、クスリなんて飲まなくたって、イヤ、飲まないほうが健康になることに気づいてしまったからだ。つまり、コロナが収束しても患者は愚医のもとへ戻ってはこない。都市部では、すでにそれが数字に表れている。

2024年。財務省と厚労省は大鉈を振るう。霞ヶ関でいうところのダブルインパクト。診療報酬と介護報酬の同時マイナス改定だ。次から次へと襲来する感染症のことを考えたら、トリプルインパクトである。となれば、愚医にしてみると、患者単価が下がるだけでなく、患者数もますます減っていくわけだ。まさしく、医療経営は冬の時代を迎えるのである。

これまでの貯えで生涯安泰の愚医はまぁいいだろう。問題は、この先まだ云十年と医業を続けていかなければならない還暦以下の愚医たちだ。団塊世代をはじめとする患者たちの情報武装化はかなりのものだ。健康をまもる術など、インターネットならタダで手に入る。認知症リスクを高める「薬漬け」の罠には引っかからない。愚医にとっては釣り堀同然だった健診・検診にも疑心暗鬼である。手術のハードルはもっと高くなるだろう。

さぁ。愚医たちよ、どうする?

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