著者:千川ともお
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「超観光冒険アンコールワット街道口」は、意外な国境の観光と冒険のスポットだ。そんな価値ある例えにしたい。
 プノンペンやアンコールワットという有名な場所では、贅沢な食べ物があちこちに点在し、これほど立派な地域は他にない様子になって来ている。毎日毎日レストランをグルメ感覚で訪れることが出来るようになっている。
それに対して、無名の地方都市は、食べ物に窮することも多い。これは何を意味しているのかというと、こんなことになるのではないだろうか。
有名になりつつある首都、古都などの観光地と、無名の地方の間では、食事面や行動面で、気の使い方が随分異なる。首都や繁栄する古都に比べて、地方は異なるものにならざるを得ない。飛行機でプノンペンやシアヌークビルを訪れ、帰路も飛行機で帰る場合なら、飛行機事故や陸上の交通事故が発生しない限り、多くの贅沢を満喫できるくらいになっている。が、主要幹線以外での陸路での往復となると、偶然にも地方の無名の町や村などを通過することになり、その間に思いもよらない出来事に遭遇するということになるかもしれない。
 で、そんな中、案外足を運ぶことの出来る意外な場所が出てきているのだ。かつては考えられないような場所に入れるようになってきている。内戦の頃に知られ、決して入ることも想定できなかったような国境でさえ、今やこれほど容易に通過出来るのかとあっけに取られる。それに、目の前の交通の便利の良さに驚かされたりもする。
もちろん、全然変わっていないという場所もあり、一概に言えないことも多々ある。場所場所での落差があり、時々刻々に変化する情報の変化にかかわる疑問というものも出てくる。が、新たな変化を見逃すことは出来ない。
だから、カンボジアは、カンボジア流のスローなテンポでユックリとではあるが、確実に外国からの訪問者にとって動きやすい状況に変わりつつある気がする。
そんな概略を、ここでは添えておきたい。
それで、こんなことを言いたい。
この本の最後の章で取り上げる、メコン川にかかわる第5章以外は、まだまだ観光と断言出来る場所にはなっていない。「カオプラウィハーン」は国境の対立が、タイ側とカンボジア側で勃発するまでは、ほぼタイ国内でも優れた観光スポットとして知られてきていた。タイ国内で、タイの人でさえ行きたがる憧れの土地のように映ってきていた。タイの旅行会社でのことである。
「いつか訪れたい」
と、話されたのを思い出す。
バンコクの旅行会社で、タイの老婦人と少しの話をしたときの会話である。
日本で旅行パンフレットに、この土地の案内が出てきていたのも見かけている。そんな時代なのである。それが2008年に現地で、国境紛争として発砲事件に急変するとは予想すらしていなかった。が、タイ・カンボジア国境の経済活動の一部として、改めて観光スポットして脚光を浴び、再開することは間違いないことと思われ、この本の中で取り扱うことにした。
コーンの滝とストントレンに向かう道筋は、観光というほどには交通機関がまだまだ大変なようだ。冒険という呼び方が似合う。コーンの滝そのものは、観光に値するほどよく知られているが、その南部に位置する領域は野性的な匂いがするからだ。
コーンの滝よりさらに南側にあるストントレンに行く道筋は、スピードボートが走り出し、往来が便利な時代なのだが、まだまだ自然が豊富で、人の手にさらされない良さが、広々としたメコン川の風景を目前にして、身体中に伝わってくる。まさに冒険の雰囲気が四方八方に漂っているところだ。
そのことの証として、新種の亀が見つかったことが報道されている。亀の甲羅がやわらかいのが特徴といわれるもので、メコン川の領域に特別に生息しているといわれている。コーンの滝が観光地化されている様子があるのに対して、国境からストントレンは生物学的にも冒険の匂いがする様子なのだ。内戦が原因で、人々が寄りつきにくいという逆説的な意味で、豊かな自然が保護されてきたというわけだ。
一方、この本の後半部に、ベトナムとカンボジアの海側の国境の記録を記している。ここは近年、国境が開放された土地だ。ハーティエンというこの地域は海産物も豊富な場所である。近くに観光の名所として知られる島もある。このハーティエンに向かうのに、交通の便が少し不便だという体験をするのだが、おそらく近い将来段々と有名になりそうな海側の魅力的な国境である。
 以上、これを始めの言葉にさせて頂きたい。

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