著者:平野 悠
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凛と食事してクラブ吉野のルームに入る。凛が手荷物を置きに席を去るのと入れ替わりにかなたが現われる。かなたはシングルマザーだ。凛はバツナシのシングルマザーだが、かなたはバツイチのシングルマザーだった。再婚の意思はなく離婚後に付き合った男もいなかった。立木とかなたは感性と考え方が同じであることがわかる。立木はかなたと食事の約束をする。立木は美弥の運気がかなたを引き合わせたように思う。
立木は道楽園でかなたと食事した後、クラブ吉野のルームで大型液晶テレビとスマホを接続してBTSの「Ma City」のユーチューブを再生する。J・HOPEのパーツに光州事件を想起させる歌詞がある。
俺は全羅南道光州
俺はKIAに乗ってエンジンをかけて狂ったように 跳ねる
見たろ情熱いっぱいの
俺は光州のホシギだ
俺を見たいなら七時に集合
みんな押せ
〇六二 五一八
〇六二は光州の市外局番、五一八は光州事件が起きたまさにその日を指す。
立木はBTSが特異なのはメッセージ性があるゆえんと思う。実際、BTSの楽曲を通して韓国現代史を学ぶ。韓国現代史は独裁と民主化がせめぎ合う歴史といえた。光州事件は光州市がある全羅南道出身の政治家金大中(民主化の象徴)を独裁政権が口実を設けて逮捕し、裁判にかけたことで学生、市民の怒りが爆発する。最も強い抵抗が光州であった。独裁政権の軍が容赦なく光州市の学生、市民を殺戮する。
凜もかなたも光州事件は知らなかった。知らなくても何ら不思議ではない。
ひながある企みを秘めて立木を阪急東通りの喫茶店スワンに呼び出す。処女を捧げたいと言い張っていたひなはラブラブでも構わないと心変わりを立木に示す。そこに偶然を装ってケンちゃんが現われる。ひなはケンちゃんとはただの知り合いと言いながら、いざ、スワンを出てみると、立ち去ったはずのケンちゃんが待ち構えていた。ケンちゃんはひなを抱きかかえるようにして連れ去る。ひなもまたケンちゃんの女でもあるかのような振る舞いを立木に見せつける。立木は茫然自失になる。そこにかなたが現われる。近くのブティックで仕事をしていてお使いの途中だった。立木は地獄で菩薩に会ったような救済を覚える。
立木はその夜、かなたと食事することにした。立木はかなたとは仲良くなれそうな気がする。果たして、立木はかなたと男女関係になることができるだろうか。
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