著者:平野 悠
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 かなたの2度目のデートもこれから性愛が始まるというタイミングで、子どもが発熱したとの知らせがかなたの携帯に届いてまたぞろ頓挫した。一度あることは二度ある。
 凛との食事の日、凜から立木に連絡があり、おチビが熱を出したためクラブ吉野はお休みしますとのことだった。食事はキャンセルになるものと思っていた立木は凛がゆかりを代わりに向かわせる手配をしたと聞いて安堵した。ゆかりとの食事は久しぶりだ。思えばゆかりとは宇宙の始原から定められた関係にあった。BTSのDNAを体現している。
 立木とゆかりがクラブ吉野のルームで寛いでいると、伊崎が立木に会いたいと小料理屋小雪の綾乃を通して知らせてくる。立木はクラブ吉野にいるのですぐには行けない、と返答する。しばらくして、よっくんが血相を変えて駆け込んで来る。伊崎が女連れでやってきたとのことだ。立木はゆかりの気持ちを確認してよっくんに案内していいよ、と言う。ほどなくして、伊崎はしのを伴ってルームに現れる。伊崎は立木の隣にいるゆかりを見て複雑な表情をするも団欒のひとときを過ごす。伊崎は小説の進み具合を訊く。立木は愛のうそまことシリーズは19巻まで出版して20巻を書き出している旨を伝えた。伊崎は感服する。だが、伊崎の本心は別のところにあることがいずれわかることになる。
 伊崎は未だゆかりへの想いを断ち切れずにいた。立木はゆかりとの婚約破談の理由をゆかりから聞き出してほしいと伊崎から頼まれる。立木は気乗りしないものの、ゆかりのマンションの近くの喫茶店サンシャインで会い、伊崎の要望を伝える。ゆかりの回答は伊崎の独占欲であった。立木はその回答を伊崎に会って伝えると、伊崎は否定する。挙句の果てにゆかりと直接会わせてほしいと要求する。立木は内心うんざりしながらもゆかりと会ってその旨を伝える。ゆかりは伊崎と会わなければ伊崎が立木に絡むと思い、立木が一緒であればということで承諾する。いよいよ立木とゆかりは伊崎と会うことになる。だが、伊崎はゆかりの回答を否定する。伊崎はゆかりにかつての自分とは異なる人間になるので付き合ってほしいと迫る。ゆかりは断る。
 ある日、瑠璃という差出人から立木の携帯にメールが届く。要約すると次のようなものだ。

 自分は白血病を罹患していて余命いくばくもありません。だから、貴方に二千万円を贈与します。自分には親から贈与された資産は十億円あります。税対策も専門家が担当しています。綺麗なお金です。
 立木は瑠璃のメールに何度も対応するも、二千万円は自身の口座に振り込まれることはなかった。
 ひなが処女を捧げる相手は立木しかいないということで極上の精力剤を入手し、立木を呼び出してラブホテルに向かう。だが、極上の精力剤は立木には効き目がなかった。そんな立木に業を煮やしたひなは瑠璃の一件を暴露する。伊崎に頼まれてやったのだと言う。
 驚いたことに伊崎は立木を小料理屋小雪に呼び出し、瑠璃の正体がわかった旨を告げる。
やがてひなが現われ、伊崎はひなが瑠璃の正体だと明かし、ひなに謝罪しなさいと言う。ひなもすかさず伊崎のおじさんに頼まれたからしただけよと言い返す。立木は伊崎に詰め寄ると、伊崎は小説のネタになればいいと思っただけだと弁明する。立木は伊崎からゆかりとの関係を疑ってのことではないという言質(げんち)を得る。
 立木はサンシャインでゆかりと会い、瑠璃の一件を話す。ゆかりは呆れ返る。だが、ふと立木はインスピレーションを得る。伊崎が立木とゆかりの関係を疑わなかったというのは関係を持ってもいい、ということだ。
 果たして立木とゆかりは男女の関係に発展するのだろうか。

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