著者:井上信行
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『アニメーターの老後』の主人公は原画、作画監督、絵コンテなどを経験した五十代のアニメーター名村英敏です。
 若手の躍進に押され、仕事も失っていくなかで、地元の父が逝去。弟は残された母の面倒を見ることになるが、東京にいる名村英敏自身は何も出来ず、警備員の仕事で日銭を稼ぎながらアニメーターを続ける、という物語です。若い方には実感がないかと思いますが、そこそこの年齢の方は身につまされるかと思われます。
 物語と書きましたが、基本的にはエピソードの羅列、名村英敏がいままで見てきたアニメーションに対する語りが多く、明確な起承転結はありません。内容は主人公の境遇を反映して、地味で起伏がありませんが、カタルシスはそれなりに発生します。
 ページ数は単行本(18行40字)換算で380ページ、文字数はあとがきや章タイトル込で21万文字、読了に7時間程度かかります。余白率は23%、台詞率は9%と、割りとぎっしりと文字(主に地の文)で埋まっていますので、読書感はそれなりに重めです。
 昭和四十年代からのアニメーションの歴史を振り返りつつ、いくつかのアニメへの評論、ゲームとアニメーションの絵コンテワークの違いなどに振れた部分もありますので、ゲーム・アニメ・漫画好きなひとにおすすめします。作品への言及は、過度に批判的なものはありませんので、ファンであっても警戒せずに読めると思います。ただし、語っているアニメや漫画が古く、若い人が読む際には歴史の授業を受けているような気持ちになるかもしれません。

 さよならおやすみノベルズのサイトに試し読みのコーナーを用意しております。
 こちらに全6章中の1章を公開しています。
 https://sonovels.com/

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