著者:王木亡一朗
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今日の天気が雨で良かった、と思わないでもない。もし雲ひとつない青空から、日の光が燦々と差していたら、私のこの胸の内も、いくらかは違っただろうか。ただただ眩しいだけのそれを、疎ましく思っただろうか。人の気も知らないで、まるで何かを祝うかのように晴れた空を恨めしく思っただろうか。いま降っているこの雨は、私の気持ちをいくらか重くしているのだろうか。でも、ずっとずっと抱えてきたこの気持ちが、どういった気持ちなのかは、私自身ですら判らない。けれど、たかだか天気なんかで変わるわけがないことは、私自身が一番よく判っている。
十七年間、服役した父を、私は迎えに行く。
父は私のために、人を殺したのだ。
幼い頃に性被害に遭った娘と、その犯人を殺して服役した父親。
家族は、再生への道を、どう歩むのか。
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