著者:木下 智雄
ページ数:311
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―教会の歴史からイギリスが見える―
英国教会を国教会とする国教会制度は、近代英国を形成するうえで重要な役割を果たしてきた。その一方で、非国教徒に対しては宗教的抑圧や公的権利の制限を行うなど負の側面も持っていた。近代になると非国教徒は自分たちに向けられた抑圧や不平等と闘うようになり、それはやがて国教会制度廃止運動となって20世紀初頭のウェールズにおいて結実した。本書では、約250年に亘るこの運動の源流と経過を辿りながら、国教会制度廃止運動が英国社会や宗教界に如何なる影響を与え、何をもたらしたのかを考察していく。英国教会史を補完し、英国の歴史と社会を学ぶうえで示唆に富む論考となっている。
[目次]
凡 例
序 章
第一節 問題点の所在と先行研究
第二節 章別構成と資料・文献について
第一章 国教会制度とプロテスタント非信従代表団の活動
第一節 国教会制度とその特徴
第二節 英国教会の攻勢と非国教徒の苦難
第三節 プロテスタント非信従代表団の結成とその活動(一)
第四節 プロテスタント非信従代表団の活動(二)
第二章 一九世紀の国教会制度廃止運動
第一節 プロテスタント協会の活動と自由協会の設立
第二節 自由協会の活動(一)
第三節 自由協会の活動(二)、英国教会側の反論、及び自由協会の意義
第三章 ウェールズ宗教状況と国教会制度廃止運動
第一節 一九世紀中期迄の宗教状況
第二節 宗教人口調査とウェールズ議員の活動
第三節 主教の反論とウェールズ英国教会の問題
第四章 ウェールズ国教会制度廃止法案とウェールズ聖公会
第一節 「ウェールズ国教会制度廃止法」の成立とその内容
第二節 ウェールズ聖公会の設立とその問題
第三節 ウェールズ聖公会の活動とその意義
終 章 結 論
付属資料 関連年表
主要参考文献一覧
ウェールズ関連地図
あとがき
著者
[担当からのコメント]
国家と宗教のあり方については、これからも歴史学のみならず社会学や法学といった様々な分野で重要なテーマであり続けるのではないかと思います。イギリスの社会史、精神史としても読みごたえのある本書、ぜひご一読ください。
[著者プロフィール]
木下 智雄(きのした・ともお)
1943年生まれ。1967年東京大学工学部電気工学科卒業。電気製造業に従事。
1999年、立教大学文学部キリスト教学科学士入学。神学博士。
訳書 D・ウォーカー編『ウェールズ教会史』(2009年、教文館)
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