著者:水本 好彦
ページ数:278

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すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナ・ケア山山頂に建設された国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡です。その建設は1991年に始まり、10年近くの年月をかけて完成しました。その主鏡は8.2メートルで、当時世界最大の反射望遠鏡でした。
 すばる望遠鏡はコンピューター制御の天体望遠鏡ですが、現在では、コンピューターが望遠鏡にとって最も重要な要素の1つになっています。しかし、いくら高性能のコンピューターを使っても、その上で動くソフトウェアがまずければ、望遠鏡や観測装置が本来備えている能力を十分に引き出せません。
 つまり、コンピューターというハードウェアを満足に機能させるには、それ相応のソフトウェアが必要であり、ソフトウェアの善し悪しが望遠鏡の性能や信頼度を決定するのです。
 たとえば、以下のような重要なソフトウェアがあります。
 ・望遠鏡制御ソフトウェア:
  望遠鏡を目的の天体にすばやく向け、天体の動きに合わせて望遠鏡をなめらかに動かす
 ・観測装置制御・データ取得ソフトウェア:
  巨大なデジカメである観測装置を操作してデータを取り、ただちに画像データに変換して出力する
 ・データ解析ソフトウェア:
  得られた観測画像データに写っている目的天体を詳しく調べる
 それにもかかわらず、ソフトウェアは、観測結果の写真や望遠鏡、コンピューターといった機械と違って眼に見えないため、あまり紹介もされず、その存在自体が忘れられがちです。しかしながら、すばる望遠鏡の場合でも、このような高精度を要求されるソフトウェアの開発には、望遠鏡本体の開発と同様に、多くの人材と長い時間が必要だったのです。
 本書では、これらのソフトウェアをどんな人々がどのようにして作り上げたのか、開発を担当した当事者の立場から、その歴史と状況をソフトウェアの機能を織り交ぜながら紹介・解説します。
【目次】
第1章 天体望遠鏡の発展とソフトウェア
第2章 大型光学赤外線望遠鏡計画の時代背景
 2.1 1990年以前の世界の状況/2.2 日本の状況
第3章 日本での光学望遠鏡制御の進展
 3.1 188cm望遠鏡制御系の歴史/3.2 188cm望遠鏡制御系のパソコンネットワークによる制御 ほか
第4章 21世紀の望遠鏡を目指して
 4.1 すばる望遠鏡の建設が認められる/4.2 光学天文連絡会の活動 ほか
第5章 すばる計算機システム要求仕様の検討-「すか」の時代-
 5.1 いよいよ富士通との契約第1期(1994年2月~1996年3月)/5.2 富士通との会議 ほか
第6章 すばる望遠鏡の巨大データはどう扱うか?
 6.1 ハワイにも大きな計算機が必要/6.2 遅れて始まったデータアーカイブ:STARS ほか
第7章 ラストスパート
 7.1 ハワイ現地でのソフトウェア試験/7.2 観測装置を含めた実機試験が必要 ほか
付録 すばる望遠鏡観測制御システムの詳細

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