著者:矢野初美
ページ数:48

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私が彼と知り合ったのは、今から2年半ほど前の事です。
新しく透析を導入になった日の担当でした。
事前に病棟から、全身に入れ墨の入ってる元やくざだ!という情報が入っていて、
どんな人がやってくるのかと思っていましたが、
サングラスをかけて入室し、こちらの声掛けにもあごで返事をするような態度で、
まさに!という感じでした。
両小指は第一関節から先はなく、歯には、ダイヤ?が埋め込まれていて、
喋るたびにきらきらしていました。
言葉は荒く、大声でスタッフを読んだり文句をいうし、
想像していた通りあんまり関わりたくはないタイプだというのが、その時の私の第一印象でした。
彼女同伴でやってきていましたが、彼女はずっと、廊下の長椅子に座らされていて、
女性に対する態度の面でも、本当に「最悪」の一言でした。
透析を始めたばかりの頃は気分が悪くなったり血圧が不安定になりやすく、
又、初めての透析だったので、
頻繁に血圧測定や状態の確認をしたり透析についての説明をしなければならなかったのですが、
勿論、聞く気は全くなく、血圧測定の声掛けをするたびに、
「あ?」と言われ、針先を確認しようとするとしなくていいと言われ、
その日の勤務は苦痛で仕方ありませんでした。
目次
第1章 プロローグ
第2章 患者と看護師
第3章 彼氏と彼女
第4章 癌再発と治療
第5章 今とこれから

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