著者:大野 清美
ページ数:212

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走ることが大嫌いだった私が、50歳をすぎてから「人生後半になって初めて」ランニングを始め、たまたま応募した東京マラソンに当選したことから55歳で初マラソンに挑戦、4時間38分で完走しました。しかし、初完走後、しばらくして乳がん宣告を受けてしまいます。奇跡的に2年連続で当選していた東京マラソン。手術・放射線治療・抗がん剤治療を続けながら再び完走を果たしました。
その後は、練習を続けたものの記録は低迷、5時間台で走り続けていましたが、還暦を前に一念発起。遠距離通勤をしていた生活を変えるべく、職場近くにアパートを借りて練習時間を確保(その暮らしぶりは「やめ主婦はじめました!」(言視舎)という本で紹介)、上り調子になってきたときにコロナ禍で全ての大会が中止。しかし、自粛期間中もぼっちで練習を続け、ついに2021年、「還暦過ぎ」マラソン自己ベストを達成。さらに、2022年3月の東京マラソンでも自己ベスト(4時間7分)。ニューヨークシティマラソンへのTime Qualifier(制限時間内走者)の権利を得て出場権を獲得。年齢との闘いを続けながらさらに新記録を目指して日々走っています。
「はじめに」より
私は現在64歳です。これまでマラソンのレースに16回出場し、すべてのレースに完走しています。
こういうと、大抵の人は「昔から走るのが好きだったのですか」と尋ねます。でも、私は走るのが好きでも得意でもありませんでした。むしろ大嫌い。今でもランニングクラブのグループ練習の前など、「苦しいだろうなあ」「なんでこんな高校生みたいな練習、好き好んでやるんだろう」と、まずはいやいや練習を始めてしまいます。朝、起きた時も「今日一日ぐらいサボっても何も変わらない」「明日からがんばろう」「睡眠の方が大事よ」とか、なんとか「やらない理由」を考えつつ、「でも、やっぱり練習しなきゃ」と、ぐずぐずしながら、トレーニングウェアに着替えます。
そして、ランニングクラブのなかではビリで走ることもしばしば。
ビリでもいいのです。目標とする相手はただひとり、「昨日の私」なのですから。苦しくて、スピードをゆるめてしまうこともしばしばあります。でも、とにかく一旦始めたら練習だけはやりぬきます。やれば、できます。そして、練習が終わった時の達成感は格別です。「頑張った!えらい」と自分を褒めます。
50歳をすぎたとき、ある考えが浮かび、ランニングを始め、もう、十年続きました。いまだに得意とは言えませんし、ランニングが特別好きになったわけでもありません。でも、続いています。ふしぎなものです。
私はランニングの専門家ではありませんし、賞をもらうようなランナーでもありません。しかし、ランニングの本を書きたい、と思うようになりました。
こんなマラソンビギナーの私でも、そしてあいかわらず練習は苦しいけれど、なんとか続けてきたおかげで、さまざまなギフト(仲間、つながり、感謝、諦めない気持ち、前向きな生活、そして、体脂肪率の低下、骨密度や筋肉量の増加などの身体的効用)をもらったからです。50歳すぎてから始めたマラソンでこんなにたくさんの「人生の喜び」を経験するなんて思ってもみませんでした。
この本は、「ちょっと興味あるけど、マラソンなんて無理」と思っている方、また、「いつもマラソンを完走できなくて」と悩んでいる方に向けて「こんな私でもできたのだからあなたも絶対できるはず」とエールを送る気持ちで書きました。
人生百年時代。チャレンジはいつからでもできます。そして走ることに限らず、あなたがチャレンジできることはまだまだたくさんあります。
さて、本書はより多くの読者層に、また、最初から読まなくても興味のあるところから読んでいただきたいと思い、三部に分けました。
第一部は、多くの人に聞かれることなのですが、「50歳をすぎてから私がマラソンを始めた理由」、そして初完走に終わらなかったマラソンとの付き合い、何がなんでも続けようと思うきっかけになった乳がんとマラソンにまつわるお話をします。
第二部は、マラソンのススメとして、自分に実際におこった体組成の変化、健康、精神への影響などマラソンの効果や書籍から得た情報を中心にまとめました。
第三部は、これからマラソンに参加してみたいと思う方の参考になるように、まずは完走に至る練習プログラムを掲載しました。そして、二回目以降のマラソンや、還暦自己ベストを目指した練習、コロナ禍を経て七年ぶりの自己ベスト達成のためにやったことなど、主に練習に関する私の経験をまとめました。
そして、巻末付録としてこれまで出場した大会の体験記も記載しました。
楽しんで読んでいただければ幸いです。そして、これを読んだあなたと、いつの日か、レースでお会いできるようになればいいなあと願っています。
目次
はじめに
第一部 なぜ走るのか
第1章 なぜ50歳から走るようになったのか?
(1)人生の折り返し
(2)東日本大震災で元の木阿弥
(3)うなかつランニングクラブ
(4)鎖骨骨折!
(5)東京マラソン初当選
第2章 抗がん剤治療と東京マラソン
(1)乳がんの告知
(2)手術とその後の治療経過
(3)大阪マラソン
(4)抗がん剤治療開始
(5)副作用と闘いながらの練習
(6)大会直前の練習
(7)東京マラソン当日
(8)走ったからこそ、乗り越えられた
第3章 抗がん剤治療の終わりと新たなマラソン人生の始まり
(1)十日間の断食保養
(2)遠征はたのしい
(3)人生の移り変わり
第4章 還暦自己ベストをめざして
(1)ランニングクラブに参加する
(2)主婦をやめる
(3)骨折と介護
(4)コロナ感染症蔓延とランニング
第5章 サブ4をめざす そして新たなる挑戦
(1)年齢との闘い
(2)東京マラソン2021
(3)シックススターへの挑戦
(4)日本全国レース巡り
第6章 ふりかえりーなぜ走るのか?
第二部 ランニングのススメ
第1章 ランニングの効用
(1)体組成の変遷
(2)創作活動
(3)乳がんと運動
第2章 ランニングクラブに入ってみよう
(1)ひとりではできないことをやる
(2)アプリだって「ランニングクラブ」
(3)どこに行っても仲間がいれば
第3章 大会参加のススメ
(1)とにかく申し込んでみよう!初めての大会
第4章 マラソンと読書
(1)村上春樹「走ることについて語る時に僕の語ること」
(2)マイケル・クローリー「ランニング王国を生きる」文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと
(3)クリストファー・マクドゥーガル「BORN TO RUNウルトラランナーVS人類最強の走る民族」
(4)スコット・ジュレク、スティーヴ・フリードマン「EAT & RUN 100マイルを走る僕の旅」
(5)ジョンJ・レイティwithエリック・ヘイガーマン「脳を鍛えるには運動しかない」
(6)岩本能史さんのマラソン関係の本
第三部 初心者のマラソン完走法
第1章 初マラソン55歳 完走までのトレーニング
(1)初マラソン完走計画
(2)準備期の練習
(3)基礎的走り込み期の練習
(4)仕上げ期の練習
(5)調整期の練習
(6)初心者の初マラソンレース練習まとめ
第2章 マラソン前日の過ごし方、当日の走り方
(1)前日の過ごし方
(2)レース当日
第3章 長期間練習するための飽きない練習法
(1)レースに出る
(2)峠走に挑戦する
(3)体調が悪いとき
第4章 フルマラソン完走のコツ
(1)右肩上がりとはならなかった…
(2)素人のフルマラソン走り方の基本
第5章 ランニングの道具
(1) シューズ
(2)ウェストポーチとスマホ
(3)ランニングのためのアプリ
(4)GPS時計
巻末付録 出場マラソン大会体験記
著者について
1958年大阪生まれ大阪育ち
津田塾大学学芸学部英文学科卒業。TOEICコーチ、通訳案内業、翻訳士。1995年37歳で米国コロンビア大学国際関係学大学院に留学、小学生・幼稚園児の3児をワンオペで育てながら卒業。1997年帰国後、フリーランス翻訳者、国会議員秘書、NGO勤務などを経て自然科学研究を行う研究所に勤務。研究支援職として現在に至る。
2011年、学びの場を求めて経済評論家・勝間和代さん主宰の勝間塾に入塾。マラソンと出会う。2014年乳がんの告知を受け、抗がん剤治療をしながら東京マラソンを完走。その後、本格的にブログを書き始め、活動と発信の場を広げる。

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