著者:惣田 昱夫
ページ数:91
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―バイオマス先進国・ドイツに学ぶ―
再生可能な生物由来の資源として化石資源に代わりうるバイオマスは、日本でも「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、本格的に実行される段階にきている。しかし、バイオマスによる新エネルギーの開発は、廃棄物利用が主なシナリオの基本になっており、いくつかの具体的なバイオマス事業も未だ多くの問題を抱えている。
本書は、日本のそうした現状を踏まえ、長年、廃棄物関連の研究や業務に携わってきた著者が、バイオマスにおいて先進的な取り組みをしているドイツを訪ね、世界で初めてバイオエネルギーのみで運営されているユンデ村や、それを支えた大学の役割、ドイツエネルギー生成会社の実状等を明らかにし、日本のバイオマスエネルギー政策やバイオマス研究に活かそうとする調査報告書である。
[目次]
はじめに バイオマス村-ユンデを訪ねて
第1章 バイオマス村―ユンデ
1.1 バイオマス村が実現するまで
1.2 設備概要と設備能力
1.3 運転上の問題
1.4 村民のメリットと原価構成
1.5 年間費用と事業収益
第2章 バイオ村―ユンデの開設とゲッチンゲン大学の役割
2.1 ゲッチンゲン大学の役割
2.2 エネルギー作物の育成と契約栽培
2.2-1 エネルギー作物の育成
2.2-2 エネルギー作物の契約栽培
第3章 個人と企業のバイオマス発電
3.1 個人経営のバイオマス発電
3.1-1 養豚農家3世帯の施設概要
3.1-2 ガス組成
3.1-3 事業収益
3.1-4 原価構成
3.2 企業のバイオマス発電
3.2-1 WURZERUMWELT社の概要
3.2-2 WURZERUMWERT社の設備概要
3.2-3 WURZERUMWERT社の事業収益
第4章 ドイツのバイオマス――再生可能なエネルギー、バイオマスの現状と未来
4.1 ドイツのエネルギー状況
4.2 再生可能エネルギーの割合、農業とバイオガスの役割
4.3 バイオガスの潜在的生産能力、未来への展望
4.3-1 バイオガスをガソリンの代わりに使う
4.3-2 これからはもっと規模の大きいプラントも
4.3-3 バイオエネルギー村
4.4 再生可能エネルギーのインセンティブ
4.4-1 再生可能エネルギー法
4.4-2 その他の再生可能エネルギーの市場インセンティブ
4.4-3 再生可能エネルギーの開発研究
4.4-4 発酵の残滓利用のメリット
第5章 ドイツのエネルギー作物栽培と日本の状況
5.1 エネルギー作物(energy crops)とは
5.1-1 エネルギー作物と食糧問題
5.2 世界のバイオマスエネルギーの増加とエネルギー作物栽培の動向
5.3 日本のエネルギー作物栽培と将来の可能性
5.3-1 日本においてE10が実施された場合のCO2削減効果
5.4 日本のバイオマスエネルギー
5.4-1 バイオマスの現状
5.4-2 バイオマス利活用例
あとがき バイオマスの発展を願って
●バイオ村プロジェクト関係資料-1
●バイオ村プロジェクト関係資料-2
●バイオ村プロジェクト関係資料-3
[出版社からのコメント]
「脱炭素社会」への取り組みが各国で行われている中で、日本も更なる前進が期待される今、行政と住民が一体となったユンデ村の取り組みは私たちに大きな示唆を与えるものだろうと思います。地球温暖化の防止対策や環境汚染など、喫緊の課題をいかに克服していくかを考えるうえで、本書が多くの方の一助となれば嬉しく思います。
惣田昱夫(そうた・いくお)
1945年満州生まれ。1969年静岡大学農学部を卒業、1970年神奈川県庁勤務。肥飼料検査所を経て、衛生研究所(衛生工学部)、環境科学センター(環境工学部)で廃棄物問題に取り組む。1990年厚生省ドイツ廃棄物調査に参加し、ドイツのDSDや廃棄物行政を調べる。以後、ドイツの廃棄物問題を研究する。また、微生物を利用した環境浄化技術の開発に取り組む。1993年世界初の「酸アルミニウム耐性菌」を発見。1995年農学博士授与、2000年環境科学センター・環境工学部副部長、2004年から静岡理工科大学教授に就任、現在に至る。
(執筆分担/はじめに、2章、5章、あとがき)
佐藤俊二(さとう・しゅんじ)
1959年北海道稚内市生まれ。1977年3月北海道、稚内大谷高等学校を卒業し、同年4月株式会社巴商会に入社。磯部営業所長を歴任し、現在、同社企画開発室長。企画開発室では、バイオガスの有効利用等の環境をテーマとした将来ビジネスの可能性について調査、企画立案を行っている。
(執筆分担/1章、3章)
Annette Schoerner (アンネント・シャーナー)
ボン大学日本語翻訳専攻。東京での語学研修ならびに在日ドイツ商工会議所勤務。その後、ドイツのヴァイエンシュテファン専科大学において園芸研究。ドイツ、日本両国の各地で多年草、樹木ならびに造園の研修を重ねた(研修地:ガイスマイヤー、フライジング、静岡柑橘類実験ステーション/静岡、荒木造園設計事務所/大阪、等)。カール・デュイスベルグ財団、ドイツ学術交流会、文部科学省(日本)の各奨学金を受ける。東京大学において研究継続。研究員として日本企業に勤務。2000年独立し、有限会社イリスを日本に設立、代表取締役として事業を展開し、現在に至る。早稲田大学理工学部、国立音楽大学非常勤講師。化学合成農薬の代替技術、有機・融合栽培、植物採録に関心を持つ。その他多くの専門刊行物に執筆ならびに講演等を行っている。
(執筆分担/4章)
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