著者:矢口 新
ページ数:227

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みなさんは日本政府のコロナ対策が行き当たりばったりだとは思われないだろうか? 緊急事態宣言で日常生活の継続に急ブレーキをかけたかと思えば、Go To などで急いで加速させ、再度感染者が増えれば、急ブレーキをかけているからだ。また、通常の日常生活に戻るにはワクチンが必要だと言いながら、日本では自前のワクチンすらない。

その大きな要因の1つには日本政府にはカネがないことだ。予算が限られているために打つ手打つ手が中途半端になる。それでも政府は民間のカネを当てにし、返済の当てのない借金を増やしつづけているが、いずれは民間の資金でも穴埋めできなくなる。このままでは、年金や医療を含めた日本の社会保障制度は崩壊する。日本人は死ぬまで働きつづけることを義務づけられる。日本政府は過去に預金封鎖し、国民の資産を没収した前歴を持っているのだ。

どうしてこうなったのか? それは日本の税収が30年以上も増えておらず、経済規模の事実上のピークも20数年前だからだ。こんな国は世界を見渡してもほとんどない。

1988年度の税収は50.8兆円で、税収に消費税が加わった1989年度から2019年度までの31年間の平均税収は50.7兆円だ。この間、日本経済は1.41倍(円建て)に、世界は4.42倍(ドル建て)に成長した。仮に、日本が世界の標準並みに成長し、1988年当時の税制でそのまま税収増があったとしたなら、2019年度の税収は(50.8X4.42=)224.5兆円に達していた。それが現実は、58.4兆円だった。そして、2020年度の税収は55.1兆円の見込みに対して、歳出は175.7兆円の見込みで、赤字幅は120兆円を超える。

しかし、未来は変えられるのだ。本書では数多くのデータをもとに日本が衰退した要因を特定し、それを取り除くことで「日本が幸せになれるシステム」を提案する。

過度に悲観することはない。日本の一般国民も政府も、お荷物ではなく当てにできるパートナーになってほしいと日本に望んでいる同盟国も喜ぶ、解決策があるのだ。まともに経済成長し、企業が競争力を回復し、国民の所得が上がり、税収が増え、社会保障制度や教育に資金を使える可能性が高い方法があるのだ。

その提案が実現不可能な「夢物語」か、それとも単に「知らなかった」だけか、より良い日本にするための判断を下すのは、私たちだ。次世代の方々が税制の意味を理解したうえで消費増税を受け入れるのならば、それはそれで仕方がない。しかし、私は国民が正しく判断できる材料を与えられてきたとは思えないでいる。

本書は、グラフを見るだけでもこれまで知らなかった事実を知ることができる、読む価値のある1冊だと信じている。

2021年 春

矢口 新

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『日本が幸せになれるシステム』目次

まえがき:税収増が見込めない税制

第一章:日本を破壊した税制

1.税率を上げても増えない税収
2.消費税収は成長率、所得税収、法人税収とトレードオフ
3.消費税は経済成長を止めた
4.アベノミクスによる成長率はほぼゼロ
5.いざなみ景気の税収面での貢献はネガティブ
6.世界経済のミラクルは、日本から中国に変わった
7.アベノミクス、真の成果は?
8.雇用形態の変容
9.世界から乖離していく日本の実質賃金
10.名目賃金のターニングポイントも消費増税と一致
11.1997年から資金供給量は11.2倍
12.日銀は「物価しか見ていない」
13.銀行の預貸ギャップが290兆円に
14.マイナス金利政策の導入
15.アベノミクスは金利市場を破壊した
16.民間から政府への所得移転
17.物価の推移
18.消費増税でディスインフレに
19.消費税では社会保障費を賄えない
20.借金頼みの財政
21.消費税導入は法人税率引下げとセット
22.法人税率引下げで得たもの
23.赤字企業も急増
24.消費税は売上から天引き
25.所得税
26.個人住民税
27.One For All, All For Oneの虚実
28.格下げ
29.膨らむ公的債務残高
30.ギリシャやイタリアは緊縮財政
31.日本は113カ国中、113位
32.純債務残高でみると?

第二章:つくられた貧富格差拡大

33.つくられた貧富格差拡大
34.貧富格差の拡大は止められる!
35.日本の税収推移
36.日本の税収構造
37.デンマークの税収推移
38.デンマークの税収構造
39.スウェーデンの税収推移
40.スウェーデンの税収構造
41.OECD内32カ国の政府支出
42.日本、デンマーク、スウェーデンの財政収支の推移
43.主要国の所得税率の推移
44.世界の法人税率の推移
45.財政黒字の国は一握り
46.通貨の価値

第三章:崩壊前夜の社会保障制度

47.日本の公的社会保障支出
48.社会保障費の内訳と財源
49.高齢者の年金依存度
50.国民健康保険
51.1人当たり医療費
52.政府の教育支出
53.社会保障関係費の推移
54.国民負担率の推移
55.ダイヤモンドになったピラミッド
56.日本人の死亡原因
57.厚生労働省の見積もり

あとがき:衰退から繁栄へ

参考資料

著者紹介:矢口 新(やぐち あらた)

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