著者:鴨井 慶雄
ページ数:158

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[商品について]
――盲人事業家・五代五兵衛が自力で盲唖院を設立する決意をしたのは、次の誰の講演だったでしょうか。
1.ベーブ・ルース、2.グラハム・ベル、3.チャールズ・チャップリン
正解は、本書第1章の「盲・聾唖教育の進展」をご覧ください。
先の見えない混迷の時代に、「明治の精神」や「日本の強み」という言葉で私たちは何を受け継ごうとしているのか。憲法改正の動きを含め、日本はどこに向かおうとしているのか。そうした現状の中で今を正しく見る目を持つために、本書では明治以降の150年を平和・自由・人権というキーワードを軸に振り返り、日本国民がどのように平和を願い、自由を探し求め、生きる権利を勝ち取る闘いをしてきたのかを、特に社会的矛盾が集中しやすい子どもと障害のある人の教育・福祉・生活・権利に焦点を当てて振り返る。自由で平和な社会を願う全ての人の贈る一冊。

[目次]
序 章 平和・自由・人権をキーワードに
この3つをキーワードにしたのは
日本の子育てと障害のある人
寺子屋の教育と障害児
社会の変動
第1章 明治維新から第1次世界大戦まで
明治維新の改革と近代化
新政府の成立
諸改革の推進と民衆生活
貧困な福祉施策
慈善主義の盲・聾唖教育
自由民権運動と教育統制
自由民権運動
復古的教育政策
教育勅語の発布
帝国憲法体制と近代天皇制
政党の時代へ
大日本帝国憲法の制定
日清・日露戦争と社会の変動
日清戦争
産業革命と社会の変化
日露戦争と韓国併合
社会問題と社会運動
「富国強兵」の病歴
教育制度の拡充と整備
教授内容の画一化
子どもの健康
不就学対策
盲・聾唖教育の進展
盲・聾唖教育の分離と義務化・公立化運動
精神薄弱児の教育・福祉
病弱児教育とハンセン病対策
第2章 第1次世界大戦から世界恐慌を経て日中・太平洋戦争へ
第1次世界大戦
大戦前後
ワシントン体制
大正デモクラシー
働く女性の進出
米騒動と社会改造のための運動
関東大震災と震災下のテロ
普通選挙法と治安維持法
自由主義教育と修身の授業
盲・聾児童の就学奨励
特殊教育の変容
世界恐慌から日中戦争へ
世界恐慌の波及
満州事変と国際的孤立
日中・太平洋戦争
泥沼の日中戦争
第2次世界大戦
太平洋戦争
絶望的抗戦による戦死者
手厚い傷痍軍人援護
人間扱いされない中で
戦時中の子どもと生活
教育の崩壊
戦時下の障害児・者
第3章 新憲法から朝鮮戦争を経て安保改定へ
占領軍のもとでの民主化と政策転換
民主化と日本国憲法の制定
「冷たい戦争」と占領政策の転換
戦後の教育改革と逆コースの動き
盲・聾教育の義務制と就学猶予・免除制度
精神薄弱児・肢体不自由児の教育保障運動
就学奨励法と全点協運動
多様な障害児の教育保障
身体障害者の福祉と労働
精神障害者・精神薄弱者の福祉と労働
日米安保体制の形成
朝鮮戦争を契機に再軍備
サンフランシスコ講和条約と「55年体制」
軍人恩給の復活と国民年金
教育の管理体制の強化と母親運動
勤評・安保の闘い
勤評反対闘争
安保闘争
日韓条約の批准
高度成長下の社会運動と教育
所得倍増計画
民主的運動の発展
公害問題の多発
全国一斉学力テストと高校全入運動
教科書統制の強化と自主編成運動
「愛される障害児」
「特殊教育」から「障害児教育」へ
障害種別を超えた運動
身体障害者雇用促進法
第4章 ベトナム戦争から構造改革・新自由主義へ
70年代、高度成長の矛盾の高まり
高度成長の矛盾
沖縄返還と日中国交回復
革新自治体の誕生と老人医療費の無料化
堀木訴訟
ベトナム戦争
石油ショックと労働運動の後退
能力主義教育の強化
教科書裁判と民主的教育運動
大学進学や就職差別をなくす運動
17年ぶりの職場復帰
養護学校義務制実施へ
身体障害者雇用促進法の改定
80年代、「戦後政治の総決算」
軍事化・「社公合意」と革新統一の分断
臨調「行革」路線
新自由主義路線の登場
多国籍企業化と「構造改革」路線
教育臨調
人権保障問題の進展
国際障害者年を契機に
90年代以降、日米同盟の強化
湾岸戦争・PKO協力法
バブル崩壊後の社会状況
90年代のゆとり教育
青年期教育への進学保障
欠格条項の見直し
第5章 21世紀を迎えて
「戦争できる国」へ
「構造改革」の推進と矛盾の広がり
「戦争できる国」への道
「ワーキング・プア」の広がり
新自由主義の教育改革
教育基本法の改定
障害児教育の改革と障害者運動の高まり
特別支援教育へ
契約制度への転換と支援費制度の導入
学生無年金障害者訴訟
障害者自立支援法の攻防
名ばかりの「障害者総合支援法」
第2次安倍政権のもとで
改憲に向けて軍事的な政策の強行
アベノミクスの成長戦略
震災の被災者救済と原発ゼロへ
深刻化する教育問題
虐待・いじめは止まず
教職員の長時間労働
障害者差別の克服に向けて
特別支援学校のマンモス化
教育への「合理的配慮」
放課後等デイサービス
優生思想の反省
障害者雇用率の水増し問題
終 章 平和・自由・人権の21世紀に
到達点――じぐざぐしながらも共同の力と粘り強い運動で前進してきた
これから――現状をしっかり把握し、歪みをただしていこう
あとがき
引用・参考文献
著者略歴

[出版社からのコメント]
いま私たちが享受している自由や人権は、当たり前のように得られたものではなく、長い歴史の中で多くの闘いを経て得られたものです。いまという時代を見るとき、私たちは改めてこのことに深く思いをいたす必要があるのではないかと思います。本書を通じて、多くの方が明治以降の日本の歴史を振り返り、時代を見る目を養う一助としていただければ嬉しく思います。

[著者略歴] 鴨井 慶雄(かもい・よしお)

1931年、台湾新竹市生まれ。京都大学教育学部卒業。大阪市立盲学校教諭、大阪市立難波養護学校教諭を経て、大阪千代田短期大学講師・助教授・教授・副学長。全国障害者問題研究会副委員長、社会福祉法人さつき福祉会理事長、社会福祉法人ヒューマン福祉会理事長などを歴任。
主な共・編著に、『明日を呼ぶ子ら』(明治図書)、『この子らと生きて』(新日本新書)、『完全参加をめざす教育』(全障研出版部)、『障害児学級実践ノート』(労働旬報社)、『ともに育つ学級・学校づくり』(クリエイツかもがわ)など。

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