著者:加納 啓良
ページ数:207

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[商品について]
――現在、「天然ゴム」(natural rubber)と呼ばれているのは、次のどの樹液を原料とするものでしょうか。
1.インドゴムノキ、2.パラゴムノキ、3.クワガタノキ
正解は、本書第5章「【天然ゴム】自動車産業に不可欠な天然素材の大産地」をご覧ください。

ASEANによる経済統合の動きで工業国型へと徐々に変化しつつある東南アジア諸国は、かつて農産物や鉱産資源など一次産品の重要な生産・輸出国であった。では伝統的な一次産品輸出国としての東南アジアの姿は失われたのだろうか――。本書では、そうした視点のもと、コーヒーや砂糖、金属鉱物、天然ゴム、エネルギー資源などの東南アジアの代表的な一次産品に着目し、グローバル化する経済における東南アジアの役割を、その産業構造の光と影に目を向けつつ解明していく。

[目次]
はじめに――国際分業と東南アジアの位置・役割
第一章【コーヒーと茶】 世界市場を席巻するベトナム・コーヒー
オランダ東インド会社とコーヒー
強制栽培制度とジャワのコーヒー
「さび病」危機と中南米コーヒーの台頭
東南アジアの茶栽培
インドネシア・コーヒーの復活
スペシャリティ・コーヒーの出現
ベトナム・コーヒーの台頭
第二章【砂糖】 世界的な消費増大と産出・輸出大国タイ
ジャワの植民地砂糖産業
花形輸出商品の盛衰
アメリカに囲われたフィリピン砂糖産業
戦後、砂糖産業の再編成
タイの砂糖産業の台頭と躍進
第三章【米】 「緑の革命」により大増産に成功
東南アジアのプランテーション産業と米貿易
砂糖輸出と米輸入の相関関係
「緑の革命」と東南アジア米作農業の変貌
人口増加と米輸入量の相関関係
第四章【スズ・ボーキサイト・鉄鉱石・銅・ニッケル】 最先端産業を支える金属鉱物の宝庫
世界的に重要な金属鉱物
マレー半島のスズ鉱業
インドネシアのスズ鉱業
資源開発の「光と陰」
ボーキサイトとアルミ精錬工業
掘り尽くされた鉄鉱石
インドネシアの銅鉱山
インドネシアとフィリピンのニッケル
第五章【天然ゴム】 自動車産業に不可欠な天然素材の大産地
東南アジアにおけるゴム栽培の発端
自動車の発明とゴム需要の急増
第二次世界大戦以前のゴム栽培
ゴム農園企業の非植民地化と小農生産の拡大
一九六〇年代以降のゴム生産
天然ゴムの輸出入
世界のタイヤ産業の現状
第六章【石油・天然ガス・石炭】 世界のエネルギー源を左右する三つの国
オランダ領東インドの石油
インドネシア独立後の石油産業の再編
インドネシア石油鉱業の黄金時代
マレーシアとブルネイの石油鉱業
インドネシアの石油純輸入国への転落
天然ガスの生産と輸出
インドネシア石炭鉱業の台頭
石炭鉱業企業のプロフィール
石炭鉱業と環境破壊
第七章【ココナツとアブラヤシ】 アジアの食卓に必要な食用油の原産地
ココナツとコプラ
コプラとヤシ油の地位低下
アブラヤシ栽培の導入
マレーシアが主導したパーム油生産
パーム油の躍進、ヤシ油の衰退
インドネシアのパーム油生産は世界一
アブラヤシ栽培の功罪
おわりに――東南アジア経済史の「明暗」
著者略歴

[出版社からのコメント]
東南アジアというと、どの様なイメージを持っているでしょうか。経済と歴史、この2つの視点から見えてくる東南アジアの姿は果たしてどの様なものでしょうか。私たちの生活とも切り離せない東南アジア経済の実像を、ぜひ本書を通じて学んでいただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
加納 啓良(かのう・ひろよし)

1948年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。アジア経済研究所を経て、東京大学東洋文化研究所教授。インドネシアを中心に東南アジアの経済・社会・歴史を研究。現在、東京大学名誉教授。1076〜78年、1987〜88年、1998〜99年の3回にわたり、インドネシアに長期滞在して調査研究に従事。主な著書に『東大講義 東南アジア近現代史』(めこん)、『現代インドネシア経済史論』(東京大 学出版会)、『インドネシア繚乱』(文春新書)、『インドネシア 21世紀の経済と農業・農村』(御茶の水書房)などがある。

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