著者:元木 大地
ページ数:53

¥350¥0

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  学校で教えない、労働組合のお話
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・本作品は、労働組合結成のマニュアル本ではなく、新入社員だった私が体験した、就職先のブラック企業と戦った実話を描いた短編小説です。

・第28回 労働者文学賞 小説部門 入選作品

◆あらすじ◆
主人公である池田樹は、就職を機に実家の神戸を離れ、大阪の地元密着型の食品スーパーに就職する。
そこは1日14時間労働、その全てがサービス残業が常のブラック企業だった。
疲弊した樹に見かねた父は、樹に個人加盟ユニオンの紹介をする。
樹は、ユニオンの勧めで社内に労働組合を結成しようと奔走する。
ようやく社内に仲間が現れるものの、その仲間はユニオン加入5日後に自死してしまい、事態は思わぬ方向へ加速していく…

内気で臆病な青年が、思いやりと勇気を持って成長していく、ノンフィクションストーリー。

◆内容紹介◆
〜はじめに〜
『本作品は、私が体験した団体交渉(経営者と交渉する場)に至るまでの、事実に基づく短編小説です。
 私は2009 年、大阪の某食品スーパーに正社員として入社しました。
 入社一年も経たず、一日十四時間労働、すべてサービス残業という過酷な労働環境に慣れ、それが異常であると感じなくなっていました。
 幸運なことに私の父は労働組合関係の仕事に携わっていた為、見兼ねた父は、私に個人加盟ユニオンの仲介をします。
 私は個人加盟ユニオンに加入し、ユニオンの勧めで社内労働組合の結成に奔走するが、突如、仲間である同期が自ら命を絶ち、私は錯乱してしまう。という冒頭で、本作品は始まります。
 私は、彼を助けることが出来なかった事を今でも後悔しています。
 もし彼に、この言葉があったなら、彼は今でも元気だったのかも知れないと、私には感じられます。
 『逃げるは恥だが役に立つ』
 これは、ハンガリーのことわざで、「無理に立ち向かうよりも逃げた方が良い結果になることもある。大事なのは自分の戦う場所を選ぶこと」という意味だそうです。
 現状に固執せず、逃げることも選択肢に含めた方が、長い人生において良い結果をもたらします。
 いくら「恥」であろうが、一番大切なのは「命を繋げる」ことです。
 無理はしないで下さい。
 無理だと思ったら、逃げて下さい。
 繰り返しになりますが、何より大事なのは「命を繋ぐ」ことです。
 私達は「生」きる為、又、「活」きる為の手段として、労働をしていることを忘れないで下さい。本末転倒なことは避けて下さい。
 また、生き抜く為の手段として「逃げる」は有効ですが、「生きる」ことからは絶対に逃げないで下さい。
 例え今、未来に希望が見えなくても、生きてさえいれば、いつか明るい兆しが見えてくるかも知れません。
 希望の光を追いかけ続ける為に、今日を生き抜いて下さい。
 就寝前、目を閉じて深呼吸をして、広い視野と長い目を持ってよく考えてみれば、新たな選択肢が出てくるはずです。
 そして、あなたが選択した場所で、あなたが「いきる」為の戦いを再度始めればいいのです。
 この後悔の念が本作執筆の原動力となりました。また、私達同様にブラック企業に苦しむ若者の助けになればという想いも後押しとなりました。
 私は活字に馴染みが薄く、本作品の文構成や表現方法には悩まされ、多大な時間を費やしましたが、私としては懸命に作品と向かい合いました。
 当時の記憶の海を泳ぐ作業は苦しく、幾度となく涙が溢れ、挫けそうになりました。
 その度に彼の無念を想像しては、悔しさに震えながらも息を吹き返し、ついには書き切ることが出来ました。
 初めて書いた小説でしたが、これは私ひとりの作品ではなく、彼と共に書き上げた作品です。
 そして、本作品は『労働者文学賞二〇一六【小説部門】入選』を受賞し、労働者文学第79号に掲載されました。
 この度、更に多くの人々に読んでもらいたいと願い、電子書籍として発行した次第です。
 本作品が、あなたに勇気や希望を与え、あなたの行動する力となれば、私は本望です。』

◆読者感想◆
「作品は非常に素直な筆致で、むしろつたない文章という感じはまぬがれないが、飾ることのない文章は、新入社員で世の中の辛酸を体験するまでに至っていない樹には似合っているのかもしれない。
少しずつながら目覚めていく過程が描かれるのだが、樹の労働者としての成長過程には無理がなく、樹自身の心情描写などは地味で幼稚なところはありながらもリアリティを感じさせるところがなかなか良い。」
(『労働者文学』79号−「●小説/評論・ルポルタージュ部門 選評」 選考委員 加野康一氏の選評より一部抜粋)

「書店の棚が萌え表紙のネオリベ的な経済ハウツー小説で覆い尽くされている現状では異色作。もっと書き込んで長編化してほしいが、どうして大手文芸誌には、こうした“啓蒙的”で“前向き”な作品が載らないのか。」
(『図書新聞』3267号−「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一八回」 文芸評論家 岡和田晃氏の時評より一部抜粋)

◆読者の対象は、ブラック企業に苦しむ20〜30代を想定していますが、純粋に小説を楽しみたい方や労働環境を改善したい方、中高生や大学生でも読みやすい内容となっております。

◆労働組合を詳しく知らない読者向けに、組合の存在意義や労働者の権利、参考図書など、学ぶ機会を盛り込んでいますので、読めば学習の一助となります。

◆本屋に並ぶ「組合結成マニュアル」本との相違点は、結成における実際の障壁や苦労を、内気な主人公の心情をメインとしてリアルに描き、お伝えしている点です。
実際何が障壁となりうるのか、読めば参考となるのではないかと思います。

◆読み終えるまで要40分程度。

◆著者プロフィール◆
元木大地。1987年生まれ。専門学校卒業後、実家の神戸を離れ、大阪の地域密着型の某ブラックスーパーに就職。入社1年目に劣悪な労働環境から個人加盟ユニオンに加入。仲間の同期の自死を巡り団体交渉を繰り返す。入社2年後に未払い分のサービス残業代80万円を勝ち取り、退職。残業代を元手に新たに専門学校へ通い、労働組合のあるメーカー企業へ再就職。就職先では、組合委員長を就任。3児の父であり、現在は育児に奮闘中。

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