著者:本牧 公夫
ページ数:176
¥800 → ¥0
――明治25年に伊藤内閣の外務大臣に就任し、外交記録『蹇蹇録』の著者としても知られる人物は、次の誰でしょうか。
1.小村寿太郎、2.陸奥宗光、3.大隈重信
正解は本書「第四章 条約改正交渉の展開過程Ⅲ」をご覧ください。
幕末の欧米列強による武力を背景にした開国要求によって締結され、日本のナショナリズムを喚起し明治維新という政体変革へと至る契機となった不平等条約。本書はその不平等条約の改正問題について、明治立憲制の成立過程を対外関係の側面から「同時代人の証言」と「先達の研究の研究」を中心に考察した論考である。日本がいかにして西洋の衝撃を吸収し、西欧的価値観である文明化の強制を受入れ、日本的システムを構築していったのか、日本という国のかたちを明らかにする一書として、示唆に富む内容となっている。
[目次]
はしがき
はじめに
第一章 条約改正問題の背景
第一節 文明化と条約改正
第二節 明治立憲制と条約改正
第三節 明治ナショナリズムと条約改正
第二章 条約改正交渉の展開過程Ⅰ
第一節 改正交渉の経緯
第二節 岩倉大使・寺島外務卿の改正交渉
第三章 条約改正交渉の展開過程Ⅱ (井上外務卿・外相の改正交渉)一八七九年(明治十二年)九月~
第一節 条約改正予議会議
第二節 条約改正会議
第四章 条約改正交渉の展開過程Ⅲ 一八八八年(明治二十一年)二月~
第一節 大隈外相の改正交渉
第二節 青木外相、榎本外相の改正交渉
第三節 陸奥外相の改正交渉
第四節 小村外相の改正交渉
第五章 明治立憲制の思想的背景
第一節 近代立憲主義と明治立憲制
第二節 明治立憲制における憲法思想の特徴
第三節 プロイセン憲法と明治立憲制
第六章 明治立憲制の成立過程
第一節 明治前期における民権派の私擬憲法構想
第二節 「国会開設の詔勅」から「憲法発布の勅語」まで
おわりに
あとがき
参考文献
資 料
(一)日米和親条約(神奈川条約)
(二)日米修好通商条約
(三)日英通商航海条約・附属議定書(陸奥条約)
(四)日英通商航海条約(小村条約)
(五)大日本帝国憲法(明治二二・二・一一)
著者略歴
[担当からのコメント]
コロナ禍によって世界が揺れ動き、民主主義に対する疑念も生じつつある今、私たちはこの国のかたちをどうしていくべきなのかという大きな課題に直面しています。その意味で、近代国家としての日本のかたちの成り立ちをテーマにした本書は、過去に学んで未来を見るための格好の一書ではないかと思います。
[著者略歴]
本牧 公夫(ほんまき・きみお)
出生 1934 静岡県生まれ
学歴 1961 中央大学法学部法律学科卒業
職歴 1993 学校法人日本医科大学定年退職(大学事務部長)
論文 1998 『米中接近とキッシンジャー外交』(放送大学)
2015 『フランス革命の諸相』(放送大学)
著書 2005 日本近代における対外関係史の研究『条約改正問題と明治立憲制の成立』
(NDC(9):312.1 JP:20756309)
2021 『山県・陸奥・福沢・伊藤に見る近代日本(明治期)における対外(外交)認識の研究』
(978―4―86522―259―3)
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