著者:帯刀 益夫
ページ数:251

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[商品について]
――江戸時代の変化朝顔をゲノム解析したところ、ある特殊な遺伝子が突然変異の発生に関わっていることが分かりました。その遺伝子とは、次のどれでしょうか。
1.プラスミド、2.トランスポゾン、3.コスミド
正解は、本書「5.エピジェネテイックメカニズムはどのように成立したか」をご覧ください。
キリンの首はなぜ長いのか。ダーウィンが適応進化仮説によって乗り越えようとしたこの問いは、未だに世界中の研究者や子どもを持つ親を悩ませ、生物学が飛躍的に発展した現在も決着がついていない。適応進化、エピゲノムなど、キリンの首の謎を通して生物学の発展を辿るとともに、今後の生物学に求められるシステム生物学的アプローチの実践を試みた一冊。

[目次]
はじめに
1.遺伝学の歩み
ラマルクからダーウィンへの時代
ラマルクの功績
ダーウィンによるラマルクの評価
ワイスマンの生殖質説
メンデルの遺伝の法則の再発見
20世紀の遺伝学
ダーウィンとメンデルを統合した「近代合成」という進化理論
多様性と適応進化を生み出す有性生殖
20世紀の生物学は生体分子の振る舞いとして理解しようとした
バラの花の色
サントリーの青いバラ
1遺伝子=1酵素説
遺伝子も分子の振る舞いとして理解できる
オペロン説
遺伝子クローニングにより遺伝子を操作できる時代に
大腸菌で成り立つことは象でも成り立つか?
木村資生の「中立説」
21世紀初頭の「ヒトゲノム」の完全解読
21世紀はゲノム科学の時代
2.ゲノムが解き明かすキリンの長い首のなぞ
キリンに最も近い動物はオカピ
首の短いオカピとキリンの中間型の首をもつキリンはいたか
キリンの首をのばすのに働いた自然選択圧は何か
偶然に長い首を持ったとするとどうなるか
キリンは高血圧に耐えられるはず
キリンのゲノムは首の長いことを説明できるか
キリンとオカピはゲノムも最も似ている
遺伝子の適応進化を表わす「正の選択」の求め方
首の骨の長さを決める遺伝子
首の骨を長くする遺伝子FGFRL1の進化
心血管系の適応と関連する遺伝子
キリンの食性と対応した遺伝子の変異
「キリンの首はなぜ長いか」を解くカギは「適応進化」にある
3.適応進化はどのように起きたか
ヒトの低酸素状態に対する適応と進化
マラソン選手の「高地トレーニング」
チベット人の高地適応進化した遺伝子は安全な妊娠を導いた
チベット人は古代人から高地適応遺伝子をもらった
チベットに連れて行ったイヌはオオカミから高地適応遺伝子をもらった
高地適応の多様性
多様な生物種での「収束進化」
マンモスの極寒への適応進化
極海域での魚の適応進化
遺伝子移入が巨大ネコ属の複雑な適応進化を起こした
適応進化のメカニズムを説明するためのアプローチはあるか
「ゲノム時代」から「エピジェネテイクスの時代」への転換
ワデイントンの「エピジェネティクス」の概念
現代の知識で「エピジェネテイックな景観」を描く
iPS細胞と「エピジェネテイックな景観」図
若返りの秘薬
「細胞系譜」という「エピジェネテイックな景観」図
配線図の正体  個体発生を説明する遺伝子調節ネットワーク
「エピジェネテイクス」の定義の変化
ナニーは「エピジェネテイクス」を「細胞記憶」と定義した
ホリデイは、「細胞記憶」をDNAのメチル化で説明した
「エピジェネテイクス」の定義の分子論的コンセンサス
ゲノム情報は統語論で、エピゲノム情報は意味論である
ウイルスゲノムの言語情報分析
エピジェネテイック・マークの効用
「エピゲノム」は「ゲノム」の新しい解釈の読み解き方を示すもの
「エピゲノム」研究に対する反対声明
プタシュネのエピゲノム反対理由
リプレッサーは環境に応じて遺伝子のスイッチを変えることができる
エピジェネティック・メカニズムの具体例
生殖過程でクローズアップされたエピジェネテイックな制御
ゲノム・インプリンテイング
がんとエピゲノム
がん化とDNAメチル化の異常
がん化とクロマチンを介する制御因子の遺伝子変異
がん化は遺伝子変異とエピゲノムの共謀で起きる
がん化はラマルク的進化のモデル
ルイセンコ論争の「春化処理」はエピジェネテイクスで説明できる
5.エピジェネテイック・メカニズムはどのように成立したか
江戸時代の遺伝学者たち
江戸時代に作られた観賞用朝顔
江戸時代に作られた愛玩用ネズミ
トランスポゾンの発見
利己的遺伝子としてのトランスポゾン
エピジェネテイックなメカニズムはトランスポゾンを抑えるために進化した
DNAのメチル化はトランスポゾンの抑制機構として進化した
ヒストンの進化
ヒストン修飾酵素の進化
エピジェネテイックなメカニズムは多細胞体系への進化を促した
遺伝子の重複化とエピジェネテイクスの役割
大野乾の遺伝子重複仮説
遺伝子多重化の光と影
遺伝子重複の影を克服するしくみ
重複遺伝子の発現を調整するためのエピジェネテイクス
花の色素をつくる遺伝子CYP(チトクロームP450)
ネコとマタタビ
CYPは動物の生理活性物質を作る
CYPは薬の効果に影響を与える
6.環境の選択圧が遺伝子変異を誘導して適応させることはあるか?
福島原子力発電所事故後に発生したヤマトシジミの形態異常
ワディントンの遺伝子同化説
遺伝的同化説を説明するシャペロンのはたらき
洞窟に住むことで眼を失った魚
ヤマトシジミの形態異常はシャペロンの緩衝作用で説明できる?
HSP90は形態進化のコンデンサー
HSP90はエピジェネテイック因子を介して形態形成を制御する
HSP90はトランスポゾンを介して遺伝子変異を誘導する
HSP90はがんの治療効果に影響を与える
7.適応進化のメカニズムを考える
環境への適応は生理学的反応として始まる
適応進化は生体モジュール構造とエピジェネテイクスの共同作業
生物は階層的な制御モジュールを備えた増殖機械
生体モジュールの制御特性
代謝経路モジュール
環境情報処理モジュール
個体発生を説明する遺伝子調節ネットワーク
ヒトの疾患と生体機能モジュール
ヒト疾患関連遺伝子のエドタイピング
疾患制御ネットワーク
木村資生の中立進化説の重要さ
適応進化はモジュールの進化に依存する
エピゲノムの世代を超えた継承
飢饉が胎児に与えたエピゲノムの変更
妊娠時にストレスを受けた母親から子供へのエピゲノムの継承
父親からのストレスの父系の精子の低分子RNAの次世代への継承
「エピ変異」から遺伝子変異への移行
ゲノムの変異率はエピゲノムやクロマチンの動的状態を反映する
メチル化CpGは遺伝子の変異率を高める
養殖魚でのエピゲノムからゲノム変異への移行の証拠
適応進化のメカニズムのまとめ
キリンの長い首はどのようにしてできたかの回答
キリンの長い首をマウスで再現させる
人間が変えた生物の適応進化の歴史
キリンの絶滅を救えるか
8.「知の考古学」として「進化論」を捉えなおす
「エピステーメー」としての「進化論」
「アルシーブ」としてのゲノム
参考論文
著者紹介

[出版社からのコメント]
キリンはなぜ首があんなにも長いのか、ゾウさんの鼻はなぜ長くて器用なのか、子どもの頃に不思議に思った方も多いのではないでしょうか。本書は、最先端の生物学からそうした疑問にアプローチした作品です。かくも奥深い生命の世界を、ぜひじっくりとお楽しみください。

[著者紹介]
帯刀 益夫(おびなた・ますお)

東北大学名誉教授。薬学博士。1943年長野県生まれ。東京大学大学院薬学研究科博士課程修了後、エール大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校へ留学。帰国後は、(財)癌研究会癌研究所研究員。その後は東京大学薬学部助教授、東北大学加齢医学研究所教授、同所長、退職後は、独立行政法人科学技術振興機構プログラム調整室プログラムオフィサーなどを歴任。専門は細胞生物学、分子生物学。

主要著書:「加齢医学」(編著、東北大学出版会)、統合生命科学〈1〉細胞の分化(新・生命科学ライブラリ)(サイエンス社)、「細胞寿命を乗り越えるES細胞・iPS細胞、その先へ」杉本正信と共著(岩波書店)、「われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか」(早川書房)、「遺伝子と文化選択」(新曜社)、「遺伝子アートの世界」(学術研究出版)、「利己的細胞」(新曜社)。

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