著者:まえだともみ
ページ数:142

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 部活が盛んな南中学校でも人気の部だった合唱部だが、合唱コンクール全国大会出場をのがし、そのうえ、新たにダンス部が出来た事もあり、人気急降下となり、雨音が3年生になった今年は、部員が8人になってしまった。
 それは合唱コンクール出場規定にある最低人数。だから今年から、ピアノ伴奏の雨音もピアノを弾きながら、一緒に歌う事となった。

 そんな合唱部が夏休み合宿で訪れた隣町では、戦争映画の撮影をやっていた
 女優志望の雨音は、なんとか映画関係者と接触出来ないものかと、わずかな自由時間を利用して街を徘徊するも、そううまくはいかなかった。

 そしていよいよ合宿最終日
 家の急用で顧問の谷先生が、一旦自宅へ戻る事になり、部員8人だけでの練習となった。
 いつものように、宿の広間で歌っていると、突然、戦闘服を着た、保、大輔、鉄男、恭平が現れた。
「俺達、特攻隊」
 その言葉で、真っ先にピンときたのは、副部長の環だった。彼らは、この町で撮影している、戦争映画の出演者だ!

 彼らは、仲間の特攻隊が出撃する際、保と大輔が作った歌「大空の彼方へ」を歌って見送っていた。しかし、男声だけでは物足りないと感じ、ソプラノが歌える子達を探していたのだ

 女優志望の雨音は、このチャンスを、絶対に逃すものか!と、やっきになるが、部長の清香は、否定的だった。
 しかし、保達があまりに熱心にお願いし、そのうえ、他の部員達もやる気になっていたので、清香も渋々承諾し、コンクール曲の練習を中断し、保の指導のもと「大空の彼方へ」の練習をする。

 そして、顧問不在をいい事に、こっそり合宿所を抜け出し、8人は、特攻隊が出撃するシーンの撮影に参加し、彼らと一緒に歌う事となった。
 
 撮影は順調に進み、特攻隊が全て出撃し終わると、今度は反対側の空から別の戦闘機がやって来た。
「びーにじゅうくだ!」
 少佐のその言葉に、雨音達は急いで逃げた。

「ま、まさかそんな・・・」
 そこには、思いもよらない展開が待ち受けていた。

「も、もしかして私達は・・・」
「いや、私は信じる!」

 合唱部8人に葛藤が渦巻く。
 
 その謎を解く鍵となるのは・・・

 果たして夢は叶うのか?!

 ミステリアスな長編小説。

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