著者:千川ともお
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「半実験アンコールワット街道口」で登場する国境は、おそらく未だあまり知られていないところだ。そこを訪れ、外観的なことを綴った内容だ。
未だ地雷があり、また、内戦と内戦の終焉を経て現地の人々の今の生活が維持されている。この国内事情を抜きにして、外国から訪れた人の現実的な行動は取りにくく、安易な行動は取れない。こんな前置きを始めに書いておきたいわけだ。
 ずいぶん肩の凝るような書き出しになるのだが、このくらいのことを始めに添えておかないと気にかかることもあれこれと出てくる気がするからだ。
「地雷はどうなったんだ。」
大丈夫である筈がない。
「いつそんな国境が開いたんだ。」
安全だという噂を耳にしたことがほぼない。
「今も事故にあった。」
と、カンボジアにある現地誌を読んで、そのことを知る。
地雷に関する事故を上げると数限りない。それは、散在する地雷を知らせる看板を通じて、今も現地の現状を用心せざるを得ないことを知らされるからだ。
地雷以外のこととして、今まで移動途中に偶然起きたことなどを拾ってみても、とても安全とは言えない。いくつかの体験を語るならばこんなことも出てくる。
一つ目は、雨期に国内の村の道路を通過中、村の中の橋が渡れなくなったことがある。二つ目は、就航したばかりの大型バスにたまたま乗車していて、バス走行中、タイヤが民家のない雑木林の中の道路でパンクに見まわれ立ち往生した。このバスは一度パンク修理に成功し数時間後に走り出したのだが、再びパンクが発生して、またまた心配になってしまったのだ。もっとも2回目のときは、町中での発生で、短時間で修理が成功している。
で、異国の土地を外国人が歩くのだから、トラブルに巻き込まれるのは当たり前だという考えに、地雷や内戦の痛みや心配を常に気にかけていないと油断できないという観点から、「半実験」という言葉をタイトルの中に入れたわけである。
ここで、「半」というのは、果たして自分自身がそれらの土地を通過してみてこちら側が何か被害に遭うのではないかという受身的な意味と、もう一つは、それらの土地自体がこちら側から見て通過することが可能な場所なのかという能動的な意味での実験なのである。もっとも能動的な意味の場合、地雷探知機や火薬を発見する器械用具を携帯するなどというわけではない。が、視界でとらえられる範囲で危険な物はあるのかないのか、心の準備をし用心をし移動を重ねているわけだ。
 だから、この題名は少々「理科の実験授業」じみたタイトルかもしれない。が、いろんな意味で心配をせざるを得ない場所の一つひとつだ。あるいはカンボジアを去った後に悲観的な、さもなくば批判的な言葉を残したくないために、生み出した題名なのである。
安心して行くことが出来ない場所もあるわけだし、かといって、以前のように道路事情が悪いままではない様子も出てきている。だからこそ、この冊子の中で、通過してきた国境のレポートをここにまとめたわけである。
で、こんな気になることを書いておいてさえ、今現在カンボジアは、確実に外国からの訪問者にとって動きやすい状況になり、国全体がさらに以前よりも動き回りやすい交通状況になっているのである。
 以上簡単ではあるが、これを始めの言葉にさせて頂きたい。

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