著者:福永辰己
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 元スズキ・ジムニーデザイナーがイタリアに移住して、『イタリアンはワインもパスタもデザインも何故おいしいのか?』と問う。その答えに迫るがそれと同時に『豊かさにお金は要らない』との境地に達するという。
 ディゼニャトーレ「イタリア通信」と題して、「ジムニー・スーパースージー」という自動車雑誌のために5年間トリノから発信、連載された全30話62ページをオリジナル・デザインスケッチや写真とともにお届けする。

 ⑴予言とも言える次期ジムニーのデザインを祈願し提案する。⑵イタリアCARABINIERIという軍警察車両の4駆版、ジムニー仕様の御用達を祈願し提案する。⑶ジムニー5ドア仕様発売を祈願しそのデザインを提案する。などなど。事前提案だから結果は後で出る。果たしてその祈願提案が叶ったのか?今ならそれが確認できる。またそれはジムニーにとどまらず、スズキの他機種、さらには他ブランドのものも大胆提案。またそれはバイクや各種グラフィックデザインにも及ぶ。それらは著者のデザイナーとしての履歴書とも言えるポートフォリオ(112ページフルカラー)にも収められる。未発表オリジナル・デザインによる各種デザイン提案・提言が著者の『イタリアンデザインの仕方』にも繋がるデザイン論とともに紹介される。またこのポートフォリオでは前述の『イタリアンはワインもパスタもデザインも何故おいしいのか?』の答えと同時に、これがなぜ『豊かさにお金は要らない』に繋がるのかが明かされる。

 デザイン誌とも自動車誌ともイタリア旅行誌ともスズキ史とも読めるハイブリッド本。何と言ってもポートフォリオにはおいしいイタリアンの画像が満載だ。前半では主に左脳で読んで、後半では「おいしい」をキーワードとして主に右脳で気楽に楽しく眺めていただくというものだ。

 著者はスズキ入社の前年1971年の夏に決行したひと月ほどのイタリア・ヒッチハイク無銭旅行を皮切りに「私のこの半世紀は自由と豊かさを求める旅だった」とし、また同時にその旅は「あれは夢か現か幻か」として、このポートフォリオはその夢や幻に似たもので良い。著者の信じる芸術と同様、見た者が快感を感じるものが良いとして終わるから、本当にそんなポートフォリオになっているのか?あるいは還暦を過ぎて年金でイタリア移住? どこにその動機と力が?それらを思わず自分の目と感性で確かめたくなる。そんな一冊である。

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