著者:大麻博物館
ページ数:115

¥1,200¥0

大麻が社会を騒がしています。去る2016年も「違法な薬物」として、大きな話題となりました。しかし近年、欧米を中心に大きな動きとなっている「ヘンプの産業利用」「医療用大麻」「マリファナの合法化」といった発言も増加しています。一方、縄文時代からほんの60〜70年前まで日本人の衣食住を支え続け、そのアイデンティティーとも密接な関わりを持つ「農作物としての大麻」については、その有用性が忘れ去られ、現在ではあまり知られていません。この書籍は、稲作より早くから日本人が栽培し、様々な形で利用してきた「農作物としての大麻」に関するものです。 【農作物としての大麻】 大麻は「麻」「ヘンプ」などの別称を持つアサ科の一年草です。「違法な薬物」として認識されることが多いこの植物ですが、繊維を衣服や縄、釣糸、漁網に、種を食料に、茎を建材に、根や葉を薬用にと幅広い用途で利用してきました。主要な作物であった名残は「麻」と名のつく地名や人名にも残されています。また神道の世界では繊維を清めのツールとして用い、伊勢神宮のお札は現在も「神宮大麻」と呼ばれるなど日本人の営みに欠かせぬ植物でした。しかし、生活様式の変化などにより、1950年代には37,000軒あった大麻農家が、現在は全国に30数軒、一大産地であった栃木で10数軒(栽培は都道府県知事による免許制)にまで激減しています。 【アカデミックな見地から】 大麻に関する書籍というと、アンダーグラウンド・サブカルチャー的な観点から「違法な薬物」を扱ったものはあるものの、「歴史」「衣」「農」「神道」といった切り口のものは流通していません。誤解や偏見を取り除くためにも、様々な有識者の方々のインタビューも収録し、存続の危機を迎えている「日本人の営みを支え続けてきた農作物」ついて紹介しています。

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